初潮を迎えて以来、月経困難症と診断され、症状が落ち着くまで、母はずっと私の重すぎる生理と戦ってくれました。
今回は母の日ということで、改めて母に当時の思い出や最近の体調などをインタビューしてみることにしました。
私と母の「生理戦争」を思い返しながら、今日私が健康で過ごしていられる幸せを噛みしめて。
初潮の痛みで救急車を呼んでほしかった、小学校の卒業式
*以下、母・エミリと略します。
エミリ「唐突なんだけど、私が初めて初潮を迎えた日のことを覚えてる?」
母「忘れもしないよ。あの日は、あなたの小学校の卒業式だったの。生理が来ちゃって、エミリはお腹がとても痛いってのたうち回っていた。本当に痛そうだった」
エミリ「それを見てどう思った?」
母「最初は、初めての生理だからびっくりしているんだろうなって思った。『救急車を呼んで』って言われたのを覚えているけど、実際に呼んでもできることはさほどないだろうと思った。けれど、あまりにも痛がっていたから、本当に不憫だった」
エミリ「異常だとは思わなかった?」
母「思ったよ。何回か同じようなことがあって、周りと比べて生理が重いのは明らかだったし、私自身生理痛がほとんどなかったから、これは異常だなってすぐに思った。何とかしてあげたいともね」
エミリ「本当にあの時代はつらかったよね~(笑)。今あの頃の私に対して思うことある?」
母「もっと優しくしてあげたかったな。エミリの気持ちをもっと理解してあげたかったなって少し後悔してる。だから、私は少しでも助けになればと、病院を調べることにしたの」
母は、つらそうな顔で当時のことを振り返っていました。
実際、ここから、母と私の「自分に合った病院探し」が始まったのです。
医師の「生理は病気じゃないからおおげさ」発言に、怒ってくれた母
母に、当時の生理に対する日本の医療体制への印象について聞いてみました。
エミリ「当時、周りに私のように生理が重い子もあまりいなかったし、婦人科に生理痛で通う子も少なかったよね」
母「そうねぇ。今思えば、日本だけじゃなくて、世界的にも生理に対してアプローチできることが少なかったような気がする。それが最近ではフェムテックの流行とか、かなり価値観が変わって来たと感じる」
エミリ「たとえば、どんなときに不満を感じた?」
母「覚えていると思うけど、街のベテラン婦人科医の、女性の医師がいたでしょう?その先生が、腹痛に苦しむエミリに、『子どもを産めば治るわよ』って言ったんだよね。14歳の女の子にそんなことを言って、『役に立たない…我慢しろ』って言ってるのと同じだと思った」
その話は私も忘れられません。
何回か、女性医師や、看護師に「子どもを産めば治る」「大人になれば楽になってくる」と言われた経験があります。。言われるたびに絶望して、泣いてしまいました。
この流れで、当時母を大激怒させた事件についても聞いてみることにしました。
エミリ「私が生理痛で気絶して運ばれた病院の男性の先生に『君、病気じゃないんだから大げさだよ』と言われたことに対して今はどう思う?」
母「今でも本当に許せない!本当に怒りたかった!エミリに止められたけど直接怒りたかったよ!」
エミリ「あははは(笑)その気持ちだけで十分だよ」
医師を探してくれたママは私の救世主
当時の生理に対する日本の医療体制に遅れを感じていたという母に、もう少し詳しく話をきいてみました。
エミリ「当時どんな方法で病院探しをしていたの?」
母「日本も世界的にも生理に対するアプローチは遅れてるって言ったけど、それでも私は海外のほうがまだ少し医療的に進んでるような気がしたから、主にネットで探したよ。エミリの『子宮腺筋症』という病名を英語で検索したの。そしたら、論文を出していた先生にたどり着いた。そして、『娘をどうか診てください』と必死になってメールをしたってわけ」
エミリ「すごい行動力…」
母「だって大事な娘だもん。当たり前じゃん」
私の母は、「子宮腺筋症」と診断された私のために、専門で診てくれる医師を論文から探し出したのです。そこでヒットしたのが、今もお世話になっている先生でした。
それまでにたくさんの病院に通ってきましたが、最終的に落ち着いたのは今の病院でした。
そこから6年、私は新しい生理ライフを送っているのです。紛れもなく母のおかげで今の私があります。
エミリ「ママは私の救世主だよ本当に」
母「当たり前だよ」
40歳で私を産んだ母の、意外なきもち
母は、私を40歳で産んだ、当時ではいわゆる「高齢出産」でした。当時のことを振り返っていろいろ聞いてみることにしました。
エミリ「出産って未知の世界だけど、40歳で妊娠って怖くなかったの?」
母「初産じゃなかったし、正直不安はなかったな。まあ、『40歳で産むのすごいでしょ!』とは思っていたかもね!でも、『40歳から育てるほうが大変だ!』って思ってたよ(笑)。
それに産んでから、エミリはきっと若いお母さんのほうがいいんだろうなぁと思ったことはある。学校行事に参加したときにそういうことを感じて寂しくなっちゃったことはあるね」
エミリ「えー、そんなこと思ってたんだ!知らなかった」
インタビューをしてみて初めて、母がそんなことを想っていたなんて知りました。いつもマイペースな母で、周りの事なんて気にしないタイプだと思っていたので、意外な答えに驚きました。
最近ではなんでも話せる仲になってきたのですが、実は長らく反抗期があった私…。母にはきっとたくさん悲しい思いをさせてきたと思います。
今回の少しでもお互いの知らなかった気持ちを知ることができる機会になればいいと思っていましたが、既に効果でした。
「歳をとった」話は好きじゃない
最近の母の体調についても聞いてみました。
エミリ「ママはずっとバリバリ働いてきた人間だけど、最近調子はどうなの?」
母「定年退職して、コロナ禍になって時間ができたから医者に行くことが増えたね。昔なら忙しいからって無視していた身体のサインを今は見過ごさないでちゃんと診てもらうようになった。
それに毎日一万歩は歩いてるよ。意識的に動くようにしてるの。あとは、歳をとったっていう話しは好きじゃない。ポジティブな話しをしていたいね。これからは、やることをもっとたくさん見つけたいなって思ってるかな」
エミリ「いいね、かっこいい。応援してるよ。」
最後に、私の活動について聞いてみました。
母「私が一番最初のファンだってこと忘れないでよ?(笑)。でも、本当にフリーランスでよくここまで頑張ってると思う。いつも誇りに思ってる。自慢の娘だよ」
結局私が照れてしまう展開で終わってしまいました。
長い反抗期で私が大人になりきれていなかったせいで、母と過ごした時間には後悔も多いのですが、やっとしっかりと母の目を見て、母の気持ちを受け止められるようになったのです。
母の日、素敵に過ごして欲しいな~。
*
ランドリーボックスでは、母の日に合わせて特集「母娘で語る、カラダのこと」を始めます。
親子でも個人差があるカラダのこと。
だけど、自分が年齢を重ねる中で、更年期をはじめ当時気づけなかった母の苦労を知ることも。
あの頃、語り合えなかったカラダのこと。気づかなかった母の胸の内。
今だからこそ、母娘で語り合うことで、より互いを支え合えるのではないでしょうか。
今年の母の日は贈り物や感謝の気持ちとともに、お母さんに話しかけてみてはいかがでしょう。