更年期に入ってデリケートゾーンの乾燥が気になってきたという方はいませんか?
それはGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)かもしれません。
GSMは、膣部分の乾燥以外にもさまざまな症状を引き起こします。しかし、早期に適切に対応すれば、不快感を予防することも可能です。
GSMとは?
閉経前後のタイミングでデリケートゾーン部分にさまざまな症状が出てくることを、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)と言います。
<GSMの主な症状>
膣の症状
- デリケートゾーンの乾燥・痛み
- 膣が乾燥する
- おりものが減る
性交時の症状
- デリケートゾーンに触れると痛い
- セックスで挿入し辛くなった
- 濡れにくくなった
- 性交後に痛みや出血がある
- オーガズムが弱くなった、または感じなくなった
排尿時の症状
- 残尿感や頻尿がある
- 膀胱炎を繰り返している
- 排尿時にしみる
GSMの症状を持つ人の割合
小林製薬が行った調査によると、日本国内でGSMの症状を持つ人の割合は40~70代の11.6%であることがわかりました。また40代が1番多く、年代が上がるにつれてGSMの症状を有する人は減少していくようです。
70代でGSM症状がある人の割合が最も低く、40代の割合が最も高いことが分かります。
GSMは加齢に伴って増加すると考えられていますが、若い年代の方がより高い割合で症状を有しているようです。
GSMの対策
GSMの基本的な対策は保湿と、洗いすぎを避けることです。
デリケートゾーン用の保湿剤を使用したり、膣に触れる商品を肌・粘膜への刺激が少ないものに変えることで症状が緩和される可能性があります。
保湿に加え、膣部分の洗いすぎを避けることも大切です。高圧・高温のお湯で洗ったり、トイレのたびにウォシュレットを使用することは避けましょう。また、ボディソープを膣部分に使用すると、洗浄力が強すぎるために「洗いすぎてしまう」ということが起こります。
デリケートゾーンを洗う際には、刺激の少ない専用のソープを使うことがおすすめです。
<参考記事>
おすすめデリケートゾーン用ソープはこれだ!【iroha/EVE/ILLUMINATE比較レビュー】
GSMの治療方法
保湿しても症状が緩和されない場合は、医療機関の受診をおすすめします。
病院では診察と問診の両方を行い、総合的な観点からGSMかどうかを判断します。
薬の処方のほか、症状が強い方にはレーザー等(自費)を使った治療を相談します。悩んでいる方は、早めに婦人科または泌尿器科にかかるようにしましょう。
最後に
デリケートゾーンの不快な症状は、閉経後の女性の約半数に起こるといわれています。
海外では認知拡大や治療が積極的に行われていますが、日本ではまだまだ知らない方が多いのが現状です。
相談できずに放置してしまったり、市販の軟膏などを使い症状が悪化してしまったという人も少なくありません。
我慢して過ごすのではなく、医師に相談してください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。