女性の半数以上は尿もれ(UI)を経験したことがあるという調査報告があります。(参考:日本女性 20代から60代 40,000人 に聞く、UI(尿もれ)実態大規模調査

尿もれは中高年の女性に多いようなイメージをもつ人もいるかもしれませんが、実は20代で経験する人もいて、さまざまな世代の女性がもつ共通の悩みです。

この記事では、尿もれの症状や原因、対処法についてお話しします。

尿もれの症状や原因について

自分の意思とは関係なく、尿がもれてしまう症状を「尿もれ(尿失禁)」といい、大きく4つの分類があります。

それぞれの症状や原因を説明しますので、どの症状に当てはまるか確認してみましょう。

1. 腹圧性尿失禁

2. 切迫性尿失禁

3. 溢流性尿失禁

4. 機能性尿失禁

1. 腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは、お腹に力が入ったときに尿が漏れてしまうこと。

重い荷物をもって立ち上がったときや、咳やくしゃみをしたときなどに起こるもので、女性の尿失禁の中では一番多いです。なかには、笑ったときに尿もれしたり、セックスのときに尿もれを感じる人もいます。

腹圧性尿失禁の原因は、尿の通り道である尿道を支えている骨盤底筋が緩むことです。加齢や出産、便秘、くりかえす咳や喘息発作などが骨盤底筋を傷める原因になります。

2. 切迫性尿失禁

切迫性尿失禁とは、急に尿がしたくなり、トイレに行く前に漏れてしまうこと。

切迫性尿失禁は、本来は脳からの命令でコントロールされている膀胱の働きが、なんらかの理由でうまくいかなくなることで起こります。

原因としては脳梗塞などの脳の病気、女性は子宮脱などの骨盤臓器脱、男性では前立腺肥大症などの病気が多いですが、はっきりと原因がわからない場合もあります。

3. 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁とは、尿を出したいのにうまく出しきれず、尿が溜まりすぎて漏れ出てしまうこと。

溢流性尿失禁の原因は、直腸癌や子宮癌の手術後などによる膀胱の神経の機能低下や、男性では前立腺肥大症であることが多いです。残尿が多いと細菌感染しやすく、膀胱炎や腎盂腎炎になりやすくなるため注意が必要です。

4. 機能性尿失禁

機能性尿失禁は、足腰の筋肉の低下や麻痺、認知症が原因の尿失禁です。歩行障害で排尿したいのにトイレに間に合わない、認知症のためにトイレで排尿できないケースなどです。

軽度の尿もれの対処法

軽度の尿もれの場合は、生活の工夫や以下のようなケアやエクササイズで症状の改善が期待できます。肥満やひどい便秘がある方は、体重をへらしたり便秘薬を使用することも効果が期待できます。

・尿もれケア用品を使う

吸水ケア用品を使うことで、ニオイや衣服が濡れるといったストレスを軽減できます。

尿もれ専用の吸水パッド(例:natracare オーガニックコットン 吸水パッド)や、洗って繰り返し使える吸収型ショーツ(例:modibodi SENSUAL HI-WAIST BIKINI 吸収型ショーツ)などがあります。

Laundry Box

・骨盤底筋を鍛える

腹圧性尿失禁の原因となる骨盤底筋を鍛えましょう。エクササイズを続けることで効果が期待できます。

骨盤底筋のエクササイズは、以下の1~3を1日数回に分けて5セット以上行います。

1.仰向けに寝て、膝を立て、足を少し開きます。膝の間はこぶしひとつ分くらい開き、体の力をぬきます。

2.肛門を閉めながら腟と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、息を吸いながら、肛門と腟を胃の方に吸い上げるように力を入れます。その後、30秒くらいリラックスします。これを1セットとして、10回繰り返しましょう。

3.同じように肛門、腟、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、この「キュッ(締める)、パッ(緩める)」を1セットとして、10回繰り返します。

慣れてきたらだんだんと回数を増やすとよいでしょう。

(参照:東京女子医科大学東医療センター 骨盤底筋訓練

こちらの、日本臨床内科医会の動画でも紹介されています。
IFrame

こうしたトレーニングのほかに骨盤底筋を鍛える「腟トレ」グッズも豊富に販売されるようになりました。(編集部おすすめ:Elvie Trainer 骨盤底筋トレーニングデバイス・産後ケア・尿もれ防止


Laundry Box

・膀胱トレーニング

切迫性尿失禁で軽度の場合は、排尿の間隔を少しずつ空ける「膀胱トレーニング」を試してみましょう。

膀胱トレーニングとは、尿意を感じ始めてから5〜10分ほど我慢することで、膀胱の筋肉を鍛えるトレーニング。しばらく尿をためてからトイレに行く習慣をつけることで、膀胱が本来の機能を取り戻し、尿もれが軽減する効果が得られます。

こうした対処をしても症状が改善しなかったり、症状が重かったりする場合は、泌尿器科やウロギネ科(女性泌尿器科)などを受診しましょう。検査や治療方法についてご相談できます。

尿もれの検査について

尿漏れの検査は以下のような内容です。

・排尿状況を数日間記録した排尿日誌をもとに問診を行う

・検尿や尿ケア専用パッドを使用したテスト、エコーによる残尿量測定などの検査を行う

・状況によって、さらに内診台での診察や精密検査を行う

尿もれの悩みは、なかなか人に言いにくいですよね。でも、尿もれは多くの女性が経験している症状です。軽度の方はエクササイズを試したり、ケア用品を使うなど、快適に過ごせる工夫をしてみてください。

監修者プロフィール

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医

柴田綾子

2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。

https://twitter.com/ayako700

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