ダイエットしたい人が、テレビや広告やSNSなどで「1カ月で10kg痩せた」「◯◯をするだけで5kg痩せた」といった極端な情報を目にすると、つい惹かれてしまうことがあると思います(私もかつてはそうでした)。
でも、特に女性にとって、ダイエットで極端に体を作り変えることや偏ったボディイメージを持つことの危うさを、私は自分の経験を通して感じてきました。
今回は私が思春期に始めたダイエットと、生理への影響についてお伝えしたいと思います。
ダイエットを通して加速した、承認欲求
思春期の頃、自分の外見が気になりはじめ、少しずつおしゃれに気を遣ったり眉毛や髪型を整えるようになった経験はないでしょうか。
女の子では自分の体が丸みを帯びてくることに違和感を抱き、ダイエットを意識し始めた人も多くいるでしょう。例に漏れず、ぽっちゃり体型だった私も成長に従って体型コンプレックスがどんどん強くなっていきました。「かわいくなりたい」「痩せなきゃ」「彼氏ほしい」という言葉を、自分も周りの友達も、当たり前のように言うようになっていたのです。
そんな高校生だった私は、好きな人に「痩せてほしい」と言われたことをきっかけに大幅なダイエットを決意。当時流行っていた「プチ断食」を真似て、極端な食事制限で体重を減らすことに夢中になりはじめました。
彼氏や周りの人に「痩せたね」と言われたり驚かれたりすることも嬉しく、体重が減ると自分の自信に繋がる気がしたのです。幼少期に体型をけなされた経験(連載第1回)が、ダイエットを通して感じる他者からの承認や優越感への欲求をより加速させていきました。
でも、実はその頃から生理不順が当たり前になっていました。予定日より何週間も遅れる、周期はバラバラ、生理が無い月もたびたび、常にイライラしていて、ふらつきもありました。
食べる量が少なかったため、栄養も足りていなかったはずです。友達には「それだけしか食べないの?」「もっと食べた方がいいよ」と心配されるような食事量でした。それでも「普通の食事」に戻したら、また太るかも…という不安を抱いていたし、「我慢して痩せれば好きな人に褒められる」ということが嬉しかったのです。
80kgから47kgへダイエット成功。しかし心身のバランスは崩れていった…
当時の私にとっては、生理や栄養バランスよりも、とにかく痩せることがもっとも大事でした。
無理なダイエットを続けた結果、80kgあった体重は、18歳で47kgになりました。しかし今度は過食症に陥り、体重が増えたり減ったりを繰り返すように…。そうして、心身のバランスを崩していったのです。
「1度あんなに痩せることができたんだから、またできるはず」という妙な自信が、余計に私を苦しめることになります。十分な栄養を摂らず無理やり食事量を減らして体を飢餓状態にしていたことが、より太りやすく痩せにくい心身を作り出しました。そして思うようにコントロールできない自分が嫌いでたまらなくなったのです。
生理周期が安定しないことは心のどこかで気になりつつも、「これは自分がまだ10代だから。それに、生理は大人になって妊娠を考えるときに向き合うものだよね」と考えていました。今思うとこれは大きな間違いで、結局そのまま何年も生理不順は続きました。
心身を壊してわかった、生理の機能の大切さ。違和感があればクリニックへ相談を
10代の頃は、「生理の話=なんだか恥ずかしい」というイメージがあり、人と話すことに抵抗があったテーマです。しかし、大人になってあらためて周りの友達と話をしてみると、きちんと毎月生理があり、自分の生理周期を「私は◯日周期だよ」と、把握できている人がいることに驚きました。
クリニックに相談し、ピルで生理周期を整えた経験もありますが、安定してきたのは、今から数年前(今は34歳です)。それでもまだ完璧な生理周期とはいえないのですが、高校生の頃からずっと悩んでいた摂食障害が26歳ごろに治りました。バランスを崩していた心と体重が、徐々に安定し始めた時期は、生理のリズムが回復していった時期にも重なります。
女性の体にとって、生理がホルモンバランスを表すサインになることも。まだ妊娠を考えていなくても、生理に関する悩みや違和感は、女性特有の病気や不妊に関係する場合があります。少しでも気になったら後回しにせずクリニックへ相談することがおすすめです。
健康的なダイエットの常套句である、
「食べないダイエットはNG!きちんと食事を摂りましょう」
「短期間で極端な減量目標を立てるのではなく、無理せず1カ月1kg程度から始めましょう」
これらは思春期の頃から耳にしていた言葉です。それでも、その本当の意味がわかったのは、自分が心身を壊した後でした。
冒頭でもお伝えした通り、世の中には極端な減量方法がもてはやされ、話題になります。痩せたい人にとっては魅惑的に感じる情報ですが、偏った情報を鵜呑みにして本来あるべき体の機能や、心の健康を後回しにしませんように…と心から願っています。