性教育パペット「ばあばるば」は、体の構造を正しく、楽しく対話するために、おばあちゃんたちと一緒につくっています。

現在、ばあばるばとランドリーボックスでは「女性器の呼び名」がないこと、正確には親密性がある「愛称」がないことについて調査をしています。

企画概要はこちら:女性器に呼びやすい名前がない問題。いつからそこはNGワードになってしまったのだろうか?

適切な呼び名が見つからない。耳にする言葉は声にしづらい。と感じているのは女性だけではありません。

今回は、6歳の娘をもつ父親 Kさん(35歳)に話を聞きました。

Kさんのお仕事はコピーライターで、コロナ禍を経て働き方がフルリモートに。その結果、娘が0歳のときからお風呂を担当しているそうです。

積極的に育児に関わってきたKさんがいまだに困っているのが、娘の「あそこ」を、なんと呼べばいいのかという問題です。

娘とのお風呂。最初の難関

ーー Kさんは娘さんが0歳の時からお風呂にいれています。戸惑いなどはなかったですか?

性別関わらず、赤ちゃんの体を洗うこと自体、はじめての経験でした。さらに娘となると、女性器をどう洗えばいいのか、まったくわからなくて。

男性器と違い、体の中に直結しているというか、とてもデリケートな場所を洗うのが怖かったんです。妻が産婦人科で習った洗い方を教えてもらって、恐る恐る洗っていたのを覚えています。

ーー 洗い方を学んだんですね。うまくできましたか?

赤ちゃんの頃は、寝ながら洗えるので洗いやすかったのですが、3〜4歳くらいから娘が立てるようになり、逆に難しくなりました。

石鹸を使うのもよくないと妻に聞いていたので、お股はなんとなく水で洗い流して、まあこんなもんかという感じで済ませていました。

娘が自分の股間に向かって言い放った言葉


ーー 確かに動き回るようになると難しいですよね。他に困ったことはありますか?

娘の女性器を洗うときに「〇〇洗うよ」と話しかける必要がありますが、何て言えばいいのか困ってしまい、妻に何て呼べばいいのと聞きました。

妻と「おまた」と呼ぶことに決めて、娘には「おまた洗うよ」というコミュニケーションをとっていました。娘も3、4歳くらいのころには「おまた」という言葉は理解していました。

でも、娘が5歳くらいになったときに、保育園で「おちんちん」という言葉を覚えてきて…。ある日突然、自分の股間に向かって「おちんちん」と言ったのでギョッとしたのを覚えています。

そうだよおちんちんだよ、と答えつつ、何て返事したらいいかわからず、「あんまり人前でそういうことは言わないよ…」とか話を濁したような気がします。

ーー 突然面と向かって言われると、どうしようかとなりますね 笑。

そうなんです。娘にとって、それはとにかく面白いものであるらしく「パパのはソーセージみたいで、自分のはホットドックのパンみたい」だとか、おまたのカスを“パンカス”と呼んだりと…。

なんと反応していいのかわからず「はいはい、ちゃんと洗ってね」くらいしか回答できていません笑。

6歳になり、ひとりで体を洗う練習も必要になってきているので、最近は「パンカスついてない?ちゃんと洗おうね!」とか、娘との会話の中で出た言葉を便宜的に使ったりしながら一緒に体を洗っています。


ーー パンカス!斬新な表現ですね。でもたしかにホットドックと言われたら、ホットドックですね笑。洗い方の情報は、どうやって集めましたか?

妻に口頭で教えてもらったんですが、いまいちよくわからなくて。

ネットで調べてみても、記事によって書いてあることが違ったり、図や絵だとわかりづらかったり。結局「なんとなく」で洗っているような気がします。

体の洗い方って、親がちゃんと教えないと、その後に誰かから教わる機会ってほぼないと思うんです。保育園の先生が教えてくれたらどれだけ助かるか、とも思っています。

話しづらいのに、早く学ぶ必要がある知識

ーー とくにプライベートパーツに関しては、大事なところだから自分で洗おうねと伝える際に、洗い方も伝える必要がありますよね。娘さんができて、体や性に対する考え方に変化はありましたか?

娘の体は、自分とは違うんだなと純粋に感じます。

性的な意味ではなく、娘も「パパと自分の体は違うんだ」という純粋な興味があると思います。

だからこそ、娘が6歳のこの時期が、先入観も恥ずかしさも抜きに、体を学べる絶好の機会かもしれません。

変なルートで、正しいかどうかもわからない性の情報にアクセスする前に、信頼できる親や先生から基本的なことを教えておいてあげたい。

ーー 気づいたら「おちんちん」という言葉を覚えてくるので、どこでどんな情報にアクセスするかはわからないですもんね。ご家庭で教えられそうですか?

そうですね。とはいえ、親からいきなり話すのはハードルが高いと感じて。保育園や学校で話してもらって「こんな話があったよ」と親子で話せる流れができるといいなとも思っています。

あとは、女性の場合は、小学生から中学生くらいで生理もあったり、男性より早く学ばなきゃいけない知識が多いと気づきました。

いわゆる「おちんちん」よりずっと話しづらいのに、早めに向き合わなきゃいけないことがある。

なので、そのジレンマを学校まかせにするのも不安だし、親がちゃんと向き合わないとなあとは思っています……まだ向き合えていないですが。

娘の存在で気づいたこと。パパだって学びたい。

ーー Kさんから見ても、生理や女性器は、男性器の扱われ方とは異なると感じるんですね。娘をもつ父親同士で、このような話をしたことはありますか?

娘がいる男性の先輩に、娘と何歳まで一緒にお風呂に入っていたかと聞いたことがあります。

その先輩は、小学校中学年くらいまで一緒だったようで、娘と最後のお風呂の日はふたりで泣きながら入ったと聞きました。

自分も、娘と一緒にお風呂に入れるのは長くてあと3年かもしれないと思うと、少し寂しい気持ちもあります。その方は、今年大学生の娘さんとすごく仲がいいそうなので、自分もそうなれたらと思います。

あと「お風呂で(娘の女性器)洗っていて、あれは尊い場所だと思った。絶対に大切にしなきゃな」と話す方もいて、すごく共感しました。

なんというか、その感情はパートナーに対して感じるものとは全く違う感情で、娘という存在のために、ちゃんと学ばなきゃという気持ちにさせられます。

先輩パパたちに相談した経験はそれくらいですが、娘をもつパパで「女性器のことよくわからん、どうしたらいいんだ」と悩んだことがある人は多いと思います。

今は子育てにコミットしてるパパも増えていると思うので、女性器の知識やケアをパパが学ぶ機会が増えていくといいなと思います。

大切な人と関係を築くためにも必要なこと

ーー 本企画のキャッチコピーでもある「名前はないの?娘に聞かれたらなんて答えよう」はKさんの実体験からの言葉です。企画に携わるなかで気付いたことはありますか?

記事や書籍で調べるなかで、女性器がタブー視されることで、学ぶべき知識が女性に届きづらくなっているんだなと気付かされました。

少なくとも、女性自身が知る機会が少ない、憚られるというのは良くないことだし、変えるべきことだなと。

ラランドサーヤさんが出演していたNHKのEテレの番組『はなしちゃお!』で「なんで、まんこって言っちゃいけないんだろうね?」と言っていて、そもそもこの言葉の印象がハードルを高くしていると思いつつ、たしかに!と。

そう考えると、子どもが一番最初にぶつかる男女不平等の壁って、じつはこれなのか?とも思いました。

ーー 最後に、女性器にまつわる社会や性教育についてご意見を聞かせてください。

女性器の話は、調べれば調べるほど様々な議論と混ざり合い、複雑になりやすいテーマだと感じました。

ただ少なくとも、子どもやそれを伝える親が体の知識を学べるよう、もっと話しやすく学びやすくするべきだと思っています。

性的な話というより健康に生きるための話ですし、いつか出会うパートナーと幸せな関係を築くための話でもあります。

あと、昨今の「性=防犯」という浸透のさせ方にも不安を感じています。身を守ることは大切だけど、それだけだと性がすごく怖いものになってしまいそうで。

本来、性とは、好きな人との関係を築くハッピーなものですよね。堅苦しくジメっとした性教育じゃなくて、幸せで楽しくて、笑顔になれるような性教育がもっともっと増えてほしいと感じます。

ーー Kさん、ありがとうございました!

正しい情報を伝えるために切っても切り離せない「名称」。

娘に聞かれて初めて気づいたという男性も多いのではないでしょうか?

ランドリーボックスでは、女性器の名称についてのアンケート調査を行なっています。みなさんのご意見を以下アンケートで教えてください。

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集