12月22日、人工妊娠中絶を手術を介さずに薬の服用で行う「経口中絶薬」について、イギリスの製薬会社が日本国内での使用を認めるよう、厚生労働省に承認を申請した。NHKなどが報じている

承認された場合、日本では初めての経口中絶薬となり、手術を伴わない中絶が選択できることになる。

<2022年9月26日追記>

2022年5月17日、承認審査を行っている厚労省が参院厚労委員会で、イギリスの製薬会社「ラインフォーマ」が製造する経口中絶薬を承認する見通しだと述べた(注1)。

しかし同時に、厚労省の橋本泰宏子ども家庭局長は「経口中絶薬を飲む前に、女性は原則として配偶者の同意を得る必要がある」とも述べた(注2)。

*注1・注2:第208回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号令和4年5月17日より

薬が承認された場合の価格は?

承認の申請が行われたのは、イギリスの製薬会社「ラインファーマ」が開発した薬、「ミフェプリストン」と「ミソプロストール」の2種類。この2種類の薬は、順番に服用することで中絶を行う。

なお、「ラインフォーマ」が行った治験では、妊娠9週までの120人に薬を投与した結果、93%に当たる112人が24時間以内に薬だけで中絶を完了したという。

この薬は、すでに諸外国では80以上の国と地域で承認されており、平均価格はおよそ740円ほど。WHO(世界保健機関)も、この薬を安全で効果的だとして推奨している。

また、2021年4月には、「ラインフォーマ」が行った治験の結果が日本産科婦人科学会で報告されるなど、経口中絶薬が承認された場合の価格についても注目が集まっていた。

NHKの報道によると、日本産婦人科医会は、薬の処方の費用について、「10万円程度かかる手術と同等の料金設定が望ましい」という考えを示している。

これに対してネットでは「妥当性に疑問」、「日本産婦人科医会は女性の味方じゃないのか」、「薬へのアクセスは人権問題ということが、理解されていないのでは」といった疑問の声もあがっていて、承認後の料金設定に注目が集まっている。

日本における人工妊娠中絶手術の現状

Photo by Marcelo Leal on Unsplash

経口中絶薬が承認されていない日本の中絶手術は、子宮に金属の器具を入れてかき出す「そうは法」や、器具で吸い取る「吸引法」、そしてその両方を併用する手術が行われている。

日本の一般的な人工妊娠中絶手術の費用についても、およそ10〜20万円(妊娠週数や麻酔の種類、病院により異なる)ほどかかるとされている。

また、WHOは、中絶の安全面において「そうは法」は子宮内を傷つけるといったリスクがあり行うべきでないとし、より安全な経口中絶薬か真空吸引法にするべきだとしている。

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