妊娠中に赤ちゃんの性別が気になる人は多いでしょう。「お腹が前に突き出ていると男の子、横に広がると女の子」などのジンクスがありますが、医学的な根拠はありません。この記事では赤ちゃんの性別がどうやって決まるか、いつ頃わかるかを説明します。
赤ちゃんの性別はいつ決まるのか
赤ちゃんの染色体上の性別は受精した瞬間に決まります。私たちの染色体は、常染色体と性染色体の2種類で構成されています。性染色体の組み合わせは「XX」と「XY」に2種類があり、「XX」の場合は女の子、「XY」の場合は男の子です。
卵子はX染色体のみで、精子はX染色体かY染色体のどちらかを保有しています。卵子にたどり着いた精子がどちらの性染色体をもっているかによって、身体の性別は決まります。
赤ちゃんの性別がわかる時期
実際に、赤ちゃんの身体の性別がわかる時期は妊娠5カ月~7カ月です。この頃になると、赤ちゃんの身体が大きくなり、頭や手、足など全体像がエコー画面で判別できます。
医師はエコーを使用したときに、赤ちゃんの股間を見て性別を判断します。足と足の間にピーナッツのようなものがあれば男の子、何もなくコーヒー豆のような形をしていれば女の子。男の子の場合は性器が外に出ているのでわかりやすいですが、女の子の場合は「おそらく女の子です」と伝えられることもあります。
ただ、赤ちゃんの体勢によっては股間がまったく見えなかったり、手や足で隠れてよく見えなかったりすることも。そのため、事前に医師から聞いていた性別が必ず合っているとは限りません。
実際には妊娠7~8週くらいで性の分化が始まり、11~12週くらいには、見た目の違いがでてきます。しかし、赤ちゃんの身体がまだ小さいため、この時点でエコー画面で性別を確認することは難しいです。
赤ちゃんの性別の伝え方
赤ちゃんの性別を知りたい人は、妊娠5カ月ぐらいのエコー検査のときに医師に質問してみましょう。
ただ、エコー検査は性別を知るために行われているのではなく、子宮内の状態や胎児の様子、発達具合などを確認する目的で行われています。
また、「間違えて性別を伝えないように」と医師も慎重になっていますので、はっきりわかるまで明言を避けることも多いです。性別がある程度はっきりとわかるまで気長に待ちましょう。
また染色体上は女の子であっても、身体や心は男の子として生まれてきたり、その逆のこともあります。
さらに、赤ちゃんの性別を出産前に知りたくない人は、そのことを早めに医師や看護師に伝えておきましょう。そうしないと、医師が良かれと思って性別を伝えてしまうことがあるからです。健診時の問診票の備考欄に「性別は教えないでください」など、希望を明記しておくと安心です。
赤ちゃんの性別が気になる親御さんはたくさんいらっしゃいます。一方で男の子、女の子どちらであっても、健康で生まれてきてくれればいいと考える親御さんもいます。お母さんが健康で、赤ちゃんが元気に生まれてきてくれることが1番大切です。妊娠週数にあわせて、少しずつ出産の準備を進めていきましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。https://twitter.com/ayako700