「デリケートゾーンにかゆみを感じるけど大丈夫かな…」そんな心配をしたことはありますか?かゆみの原因はかぶれや感染などの可能性があり、原因によって対処が違います。この記事では、デリケートゾーンにかゆみを感じたときの対処法や予防を紹介します。

デリケートゾーンのかゆみの原因

デリケートゾーンにかゆみを感じる主な原因には、かぶれや感染があります。かゆみを感じている原因が分かれば、対処や予防がしやすいです。

かぶれが原因のかゆみ

かぶれは外からの刺激に皮膚が反応して、炎症を起こした状態です。外からの刺激とは、汗や皮脂、熱、乾燥、アレルギー反応など。こうした刺激は、下着やストッキングによる締めつけやムレ、石けんや消臭剤、生理用ナプキンとの接触などによって起こります。

また、排卵日前後のおりものが増えるとき、出血がある生理中、生理直後はむれやすく、おりものシートや生理ナプキンとの接触などの刺激が起きやすいです。

感染が原因のかゆみ

感染によるかゆみは、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などが粘膜から入りこんで繁殖し、かゆみを引き起こします。腟の粘膜や皮膚は、手足と違ってバリア機能が弱く、デリケートゾーンは高温多湿で皮脂や汚れが溜まりやすいため、細菌などが繁殖しやすい環境です。

なかでも性行為が原因の感染症は性感染症(STD)とよばれ、以下のようなものがあります。

  • 性器ヘルペス

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスとよばれるウイルスによって、性器周辺に水ぶくれや赤いポツポツ、ただれなどが起きる感染症です。感染しても無症状である潜伏期間が2~10日と長いため、気づかないうちに他人に感染させてしまうことも。

症状としては、外陰部や子宮頸部などにかゆみや違和感をともなった直径1〜2ミリの水ぶくれや赤いポツポツが複数でき、痛みや発熱、リンパ節の腫れを感じます。痛みは激しく、排尿や歩行に支障がでることがあります。

  • 性器クラミジア

性器クラミジアは、クラミジア・トラコマティスと呼ばれる菌によって起きる感染症です。ほとんどが無症状で、おりものの増加や不正出血、下腹部の痛み、性交時の痛みなどがあります。

無症状であるため感染が広がりやすく、日本で最も感染者が多い性感染症といわれています。気づかずに放置していると、菌が子宮の奥に入り込んで卵管炎や卵管閉塞を引き起こす可能性があり、子宮外妊娠や不妊症の原因になることもあります。

  • トリコモナス腟炎

トリコモナス膣炎は、膣トリコモナスという原虫によって、陰部のかゆみ、膣の刺激感、おりものの増加などが起きる感染症です。性交時に痛みを感じることがあり、膀胱に感染していると排尿時にも痛みを感じます。無症状であることが多く、知らない間に感染を広げてしまうこともあります。

  • 外陰腟カンジダ症

外陰腟カンジダ症は、膣内常在菌であるカンジダ属の真菌(カンジダ菌)の異常増殖によって、外陰部のかゆみ疼痛、おりものの変化などが起きる感染症です。

おりものは白く濁り、酒かすやカッテージチーズのような形状です。外陰腟カンジダ症は性感染症ではなく、疲れやストレスなどによる抵抗力の低下、抗生剤の使用後や妊娠中に発症しやすく、女性の5人に1人が経験しています。

デリケートゾーンのかゆみの対処法・治療法

デリケートゾーンのかゆみの原因がかぶれだった場合は、下着を通気性のよいものにかえ、保湿をして炎症を抑える非ステロイド性抗炎薬や弱ステロイドが配合されている市販薬の軟膏で解決する場合があります。

しかし、以下の症状に当てはまる場合は性感染症の可能性が高いので、婦人科の診察を受けましょう。

  • かゆみが激しい
  • おりものの色や匂いがいつもと違う
  • 市販薬を塗っても治らない
  • ブツブツや潰瘍がある

おりものの色や匂いが気になる場合は、『おりものの色やにおいが気になる!性感染症が心配なおりものとは(医師監修)』の記事も確認してみてください。

また、外陰膣カンジダ症は、再発時は市販薬で治療できますが、はじめて症状が出た場合は、病院での治療が必要です。

かぶれによるかゆみの予防法

かぶれによるデリケートゾーンのかゆみを予防するポイントは、以下の3つです。

清潔に保つ

デリケートゾーンを洗うときは、ゴシゴシ洗いすぎないようにしましょう。汗や皮脂がたまりやすいので、お風呂に入ったときに弱酸性のデリケートゾーン用ソープ(例:iroha INTIMATE WASH デリケートゾーン用ソープ など)を利用して丁寧に洗いましょう。生理中はこまめにナプキンを変えて清潔な状態を保ってください。

デリケートゾーンを締めつけない

下着だけでなく、タイトなジーンズやストッキングはデリケートゾーンのムレにつながります。身体を締めつけない服装を心がけましょう。

疲れをためない

外陰腟カンジダ症などは、疲労や風邪ぎみのときに発症しやすいです。なるべく疲れやストレスをためないように過ごしてください。

デリケートゾーンのかゆみは、なかなか人に相談しにくい悩みです。おりものの異常があったり、市販薬で改善しない場合は、かぶれではなく性感染症の可能性があり、そのままにしておくとパートナーに移してしまう可能性もあります。心配な症状がある人は、早めに産婦人科を受診しましょう。

監修者プロフィール

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医

柴田綾子

2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。

https://twitter.com/ayako700

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