【お悩み】
雨が続いて、気分まで晴れず、落ち込んだり不安になることが多いです。天気がいいと散歩などでストレス解消ができるのですが、それもできていません。梅雨時期におすすめの過ごし方はありますか?
梅雨の時期は雨や曇りの日も多く、ジメジメして気持ちまで鬱陶しく落ち込みやすくなるため、苦手な人が多い季節です。
西洋医学的には日照時間が減ることや気圧・湿度の変化、閉鎖的な家にいる時間が増えストレスが増えるなどの原因があるとされています。
もちろんそれらも原因ですが、東洋医学的な視点ではまた少し違ってきます。
今回は東洋学的な視点から「梅雨鬱」のお話と対策をご紹介します。
湿邪の影響を受けると見られる症状
梅雨鬱と深い関係があり、東洋医学で梅雨時期に心と身体に不調をもたらす大きな原因とされるのが湿気の邪気「湿邪(しつじゃ)」。
この湿邪が体の中で悪さをすると、下記の症状が見られやすくなります。
□ 梅雨の時期や雨が降ると調子が悪い
□ 頭や身体が重だるい
□ 気圧が下がる日に体調を崩しやすい
□ うつ傾向
□ 特に下半身がむくむ
□ 頭痛、めまい
□ いくら寝ても眠い
□ やる気が出ない
□ 気分が落ち込みやすい
□ 消化不良、食欲低下
□ 下痢、軟便
□ 睡眠の質の低下、夢が多くなる
特に梅雨時期や雨の日はこれらの不調が出やすいと言う人も多いと思います。
梅雨でも元気な人としんどい人の差は?
では、梅雨でも元気にカラッと過ごせる人と、だる重でしんどくてメンタルも落ちてしまう…という人の差は一体何があるのでしょうか?
その差は「脾(ひ)≒胃腸」にあるとされます。
胃腸には全身の水を代謝し、全身に運ぶ働きがあります。胃腸が元気であれば、湿が溜まることなく心も身体もスッキリ元気に過ごすことができます。
しかし、この胃腸は「湿気」にとても弱いんです。
そのためもともと 胃腸が弱い人や普段から暴飲暴食をしている人、脂っこい・味の濃い・甘い・冷たい飲食物が好きな人はこの梅雨時期の高い湿度の影響を受けて、胃腸が弱り、湿邪が体と心に悪さをします。
その結果、身体に余分な水分や汚れである「痰湿(たんしつ)」が生まれます。
湿邪や痰湿は水なので重さがあります。
そのため、身体に悪影響が出ると梅雨鬱や頭や身体が重だるい、倦怠感、スッキリしない、気分の落ち込みややる気の低下、いくら寝ても眠いなどといった症状が見られやすくなります。
梅雨鬱の対策におすすめの過ごし方
梅雨鬱の対策では下記の2つが大切になってきます。
➀胃腸を元気にする
②湿邪を上手にさばく
では、具体的な対策をご紹介していきます。
(1) しっかり除湿する
雨が降っている時は窓を閉めて湿気を入れないようにし、晴れたら窓を開けて室内の風通しを良くします。
乾燥剤や除湿器を置く、エアコンの除湿モードを効率的に使用するなどして除湿を心がけましょう。
外側から湿気を寄せ付けないことはとても大切です。
(2) 胃腸を元気に保つ
胃腸を元気に保つには暴飲暴食や脂っこい・味の濃い・甘い・冷たい飲食物はできるだけ避けるようにしましょう。
食べるものはできるだけあっさりとした味つけで、温かいものを腹八分目に良く噛んで食べるように。
内側から湿邪、痰湿を外に追い出しましょう。
(3) 晴れた日はお散歩で日光浴を
梅雨の晴れ間はとても貴重です。どうしても日照時間が減る梅雨は、晴れた日には10分でもいいので外を散歩しましょう。
その際には背中で日光浴するように意識してみてください。背中には督脈(とくみゃく)という身体を温める陽気が流れている経絡があります。
日光にもあたることで身体も温まり、気持ちもスッキリすると思います。
(4) お風呂につかる習慣を
梅雨は案外気温も低く、また濡れることで身体も冷やしがちです。お風呂につかることで身体を温めることもでき、また軽く汗をかくことで身体の内側から湿邪を追い出すことができます。
40℃前後で10~30分程度、無理のない範囲で入浴する習慣を身につけましょう。
また、お風呂に入っている時などにふくらはぎを揉むとむくみも楽になると思います。
(5) こまめに身体を動かす
じっとしていると血流も悪くなり、身体の水の代謝も悪くなるので痰湿が生まれやすくなります。
梅雨の時期なので、外で身体を動かすことは難しい日も多いと思います。
もちろん散歩やウォーキングなどができたら良いですが、マンションや家の階段を何度か往復するでも良いですし、自分が気持ち良いなと思うストレッチやヨガのポーズをするでも良いです。
その場で足踏みやその場でかかと落としでも良いです。
自分の無理のない範囲で身体を動かすようにしましょう。少しでも身体を動かすことで、気持ちも少し晴れ晴れすると思います。
梅雨鬱におすすめのツボ
豊隆(ほうりゅう)
脛(すね)の少し外側で、膝と足首のちょうど中間あたりの高さに位置します。少し硬く押しにくいので、深呼吸でフーッと吐きながら親指でグーっと押し、息を吸いながら緩めていってあげましょう。5回程度を1セットとし、1日に2〜3セット程度やりましょう。また、お灸もすごくおすすめです。
ついお家にこもりがちな季節なので、仲の良い友達や家族と外食したり、遊びに行ったり、気分転換もとても大切です。
その上でこれらの習慣を日常に取り入れて、今年の梅雨は気分もスッキリ過ごしましょうね。
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