【お悩み】
予定をつめこみすぎず、リラックスする。これを心がけてはいるのですが、予定がないときでも、緊張感が続いてしまい、リラックスできているように感じません。なかなか難しいです。どうしたらうまくリラックスできますか?
適度な緊張は自然なものだが、緊張感が強いと体調不良の原因に
ご相談者のように休みでもなかなか休めない、リラックスするのが苦手、という人は結構多いです。
人前で話をするときや、初対面の人と会ったり、慣れない場所に行ったりすることはだれでも緊張するものです。
適度に緊張することはごく自然なことですが、それが強すぎたり長く続いたり、緊張しなくてもいい場面でもなかなかリラックスできないでいると、体調不良の原因となります。
西洋医学では、このような過度の緊張(過緊張)は、自律神経系のバランスが崩れて交感神経が優位な状態が必要以上に長く続いている状態ととらえています。
活動や攻撃に向けて身体を調整する交感神経が常に必要以上に亢進(こうしん)している状態です。
東洋医学では、緊張感が続き、リラックスするのが苦手な人は五臓の肝(かん)の機能失調が大きく影響していると考え、その肝の機能を調整することにより「緊張体質」そのものを改善していくように考えます。
緊張体質のチェックリスト
緊張する状況が日常的に繰り返されたり、緊張の度合いそのものが強かったりすると、下記の症状があらわれます。
□イライラしやすい、情緒不安定
□寝付きが悪い
□肩こり
□頭痛(特に側頭部がズキズキ)
□喉のつかえ感(梅核気)
□冷えのぼせ
□胸苦しい、動悸
□食欲が低下する
□ちょっとしたことで緊張しやすい
□お腹や胸、わき腹の張り
□食いしばりや歯ぎしり
□げっぷやおならが多い
など
この中で3つ以上当てはまると緊張しやすく、リラックスが苦手なタイプと言えます。
身体を調節する「汗」 の機能失調が影響
東洋医学では上述したように、過度の緊張には五臓の肝(かん)の機能失調が大きく影響していると考えています。
肝は五臓の一つで、身体の諸機能を調節する臓腑です。この調節機能を疏泄(そせつ)といい、自律神経系や情緒の安定、気血の流れと深い関係があります。(ここでいう五臓は内臓ではなく、肝も肝臓という臓器ではありません。)
この肝の機能が失調したり、弱ったりすると、疏泄機能がスムーズに働かなくなり、過度の緊張状態となります。
これを改善していくためには肝の疏泄をスムーズにし、体の力を抜いて緊張から解放してあげることが必要になります。
緊張感を解放する、おすすめ養生
食養生
気の流れをスムーズにし、体の緊張を緩和するには「良い香り」の食材が大切だと考えます。
みかんやレモンなどの柑橘系のほか、パセリやパクチー、クレソン、三つ葉、セロリ、紫蘇、ミントなどの香草類、それらを取り入れたハーブティーなどがおすすめです。
この中でも特に自分好みで心地よく感じる香りの食材を選ぶようにしましょう。
生活養生
- 「ストレスは溜まるもの」と考え普段からこまめなストレス発散を心掛ける
- ストレッチやヨガなどで、気持ちよく体を動かす
- 休みの日も予定を詰め込み過ぎない
- 散歩の習慣を。花の香りや風など季節や自然を感じながら歩く
- 仲のいい友達や家族、恋人などと楽しくおしゃべりをする
- カラオケや鼻歌などでスッキリする
- ブラッシングや頭を揉んで、滞る気を巡らせる
これらをできる範囲から実践していきましょう。
ツボ押し養生
このタイプの人は「太衝(たいしょう)」、『合谷(ごうこく)」のツボがおすすめ。
太衝のツボは足の甲の親指と人差し指の骨の間を、上に向けて指を滑らせて、指が骨と当たり、止まるへこんだ場所にあります。
合谷のツボは親指と人差し指の骨の付け根が合わさった、V字になったくぼみにあるツボ。
ストレスが溜まったり、緊張しているときにこれらのツボを押すと結構ズーンとした痛気持ちよさがあると思います。
少しズンとした痛気持ちよさを感じるまで息を吐きながら押し、ゆっくり息を吸いながら離す。このセットを5回~10回程度繰り返し、少し体がスッキリするまで押してみてください。
頑張っている自分を認めてあげる
緊張しやすい、なかなかリラックスできないのは気質や性格も関係しています。。
真面目で、まっすぐな人ほどこのような状態に陥りやすくなります。
十分に頑張っている自分を認めてあげながらこれらの養生を取り入れて、たまには自分を甘やかしてあげるのもいいと思います。
頑張りすぎず、ゆるゆるゆるめてあげましょう。
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