前回のシリンジキットの紹介で、「お互いに嫌な思いをせずにタイミング法をとる」に至るまでの前段階として、夫婦で協力体制をとるまでに4年かかったとお伝えしました。

今では無事に妊娠5カ月の安定期をすぎ、次のステップの出産・育児へと向かっている私たちですが、ここまでが本当に長かったと感じています。

セックスレスに加え、多嚢胞性卵巣症候群が見つかり、5軒の婦人科をめぐって治療をしながら妊娠を目指しました。それまでのプロセスを、夫婦の対話の経過を交えてお伝えします。

話し合い①:入籍直前

31歳を迎えてすぐに同い年の彼と結婚をした私。入籍前に真面目なトーンで私から「子どもがほしいのに1年ほどセックスしていないけどどうするつもり?」と聞いたところ、とても嫌そうな顔をして落ち込んでしまった彼。男性にとってもセックスはセンシティブな問題なので、それ以上私から何もいうことはできずうやむやに…。

過去になにか嫌なことがあったのかな?と想像してしまい、セックスについては男女ともにセンシティブな内容なので深掘りはできませんでした。

今から振り返ると、お互いの話し合いのレベルがまだまだ低かったと思います。

1軒目:家から一番近い産婦人科(31歳)

気を取り直して、入籍後はとりあえず私にできることを始めようと思い、徒歩5分の産婦人科へ。私は生理不順があったので、妊娠できるのか不安な気持ちもありました。

引っ越したばかりだし、もし授かったらそのままここに通ってもいいな〜近いし。という感覚で選んだ産婦人科では、医師に「まずは1カ月、基礎体温表をつけてまた来て」とぶっきらぼうに言われてしまいました…。

そして謎におりものの検査をされて終了。当時は妊活はもちろん婦人科系の知識もなく、なぜ検査をするのか、納得できる説明が聞けないまま診察時間が過ぎてしまいました。

悔しいので、ネットですぐに婦人体温計を購入して基礎体温表をつけ始めることに。結果的に、妊娠するまで4年間毎日続けることができたので、1軒目の診察も無駄ではなかったと思います。

2軒目:家から2駅。有名な不妊治療専門クリニック

基礎体温表を2周期ほどつけてから、再度婦人科を受診したいと思い、エリアで有名な不妊治療専門クリニックを見つけて受診。生理周期が一般的な期間よりも長く、周期もまちまちだったので、さすがになにかあるだろうと思い、街の産婦人科よりも専門性の高そうなクリニックを選びました。

基礎体温表を見せながら症状を伝え、エコーをしてもらった結果、多嚢胞性卵巣症候群が見つかりました。

しかし、「結婚していて妊娠希望」を伝えると、治療は排卵誘発剤の服薬と注射で月3回ほどの通院をすることに。

よくあるケースなのかもしれませんが、「あーはいはい」という感じで、なんだか流れ作業のような印象を受けてしまいました。

ここのクリニックは、エリアで有名な不妊治療外来というだけあってか、予約をしてても1〜2時間待ちでした。不妊治療をしたい人が集まるクリニックなので、医師も最初から具体的な治療の説明をしてくれます。ただ、お年を召した院長で、聞き返さないと理解できないレベルの滑舌でした。

夫とは、子どもを希望するタイミングについてまだ話し合っていないため、私としては「とにかく妊娠しやすい身体に整えたい」という気持ちでした。相変わらず夫ともセックスはせず。

でも、万が一セックスするかもしれないし、30歳を超えてそこそこ焦っている私は8カ月ほどこのクリニックに通い続けました。

しかし待ち時間が長いこと、排卵の様子次第では「明後日また来て」と言われること、仕事の合間に時間を作って通院しているのに、ノーセックスなことに虚無感を感じて、通院をやめてしまいました。

夫の反応(お互い31歳)

2軒目を初めて受診することを、夫にLINEで共有。不妊治療のためのクリニック探しの情報や、検査にかかる費用の情報をやや一方的に送りつけたことが悪いのか、夫からの返信は「しんどい…」との一言。

「子どもがいたらいいな」という雰囲気を出すわりには、具体的なアクションには消極的な夫の態度に内心イライラ。

まだまだ、夫婦の足並みは揃いません。

3軒目:家から自転車で15分ほどの新しくできた婦人科(33歳)

不妊治療クリニックをやめてから半年ほど。結婚生活も仕事も落ち着いたので、やはり今後の自分の身体のためにも生理周期を整えたくて、新しくできた婦人科を受診。女性医師なのと、不妊専門外来ではなく婦人科なので気軽に通えそうだと思って行ってみました。

ここでは、生理周期を整えたいという希望を伝えると、ピルを飲むことをすすめられました。そうすれば、卵巣を休ませることにより、服用をやめたあとに自然と周期が整うかもしれないとのこと。ただし、卵巣を休ませるという効果を考えると、1年ほどは飲み続けることが推奨されました。

つまり自分にとっての選択肢は、1年ほどピルを飲んで周期を整えるか、排卵誘発剤等を使用してタイミングをとるかの2択。3軒目にしてようやくそのことに気づきました。

結婚してから2年が経ち、年齢は33歳になっていました。

話し合い②:33歳の秋

結婚してほどなくしてから続けている、月1回の夫婦での会議。それまでは、家事負担の調整やお金の使い方などがメインでしたが、私がピルの服用を勧められたことをきっかけに、子どもについて検討してみようということで初めて「妊活」が議題にあがりました。

以降3〜4カ月ほどかかりましたが、女性側の妊娠しやすい年齢・体調、ブライダルチェックや不妊治療にかかる費用や出産・育児にかかる費用のリサーチを宿題としながら、のんびり話し合いをしました。ちょうど不妊治療の保険適用拡充が話題になっていた時期でもありました。

ここでの収穫は、子どもについて初めて真剣に調べたこと、検討したことにより、将来の子どものために必要となりそうなお金を少しでも貯めておきたく、子ども貯金を始めたことです。

もしも私たちが、子どもがいない夫婦の人生になったときは、それはそれで旅行や好きなことに使えばいいよね、ということで貯金スタート。

話し合いの結果、1年間ピルを飲み続けた場合「タイミング法をしたい」と思ったときにすぐに始められないのがイヤという私の希望によりピルは飲まないことにしました。

このタイミングで夫が転職することに。仕事をしながらの転職活動の忙しさや、転職後の引っ越しがあり、そうこうしているうちに、子ども会議はうやむやになってしまったのです。

そしてクリニック探しは、引越し先のエリアでまた始まります。

話し合い③:34歳の秋

引っ越しが落ち着いた3〜4カ月後、私は34歳3カ月とまたひとつ年齢を重ねていました。さすがに年齢的な一線の35歳が目前となった不安が募り、夫に相談を持ちかけます。

すると意外とスムーズに、まずはブライダルチェックを夫婦で受けることで話がまとまりました。

このころ結婚して3年が経ち、毎月の会議の成果もあってふたりで話し合いができるベースがやっとできてきたのだと思います。

4軒目:ブライダルチェックができる婦人科(34歳)

クリニック探しもそろそろ慣れてきました。夫婦ともにブライダルチェックができる婦人科は、不妊治療専門クリニックか、一部の婦人科のみ。今までの近所の婦人科よりも、目的に合わせてターゲットが絞られてきていました。

結果、ブライダルチェック後の治療方針も丁寧に相談に乗ってくれそうな評判がいい婦人科を受診。とりあえずブライダルチェックとその結果を聞くだけの受診なので、通いやすさは度外視で、電車で30分+徒歩15分の婦人科を選びました。

採血や内診、分泌物の採取などを一通り終えたあと、問診でセックスレスなので人工授精を考えていることを相談。医師からは35歳から妊孕性がガクっと落ちることの説明のあと、「シリンジ法」を提案されました。

シリンジ法のくわしい体験記はこちら

結婚4年目、挿入なしで妊娠。TENGAヘルスケアのシリンジキット「シードイン」を使った妊活体験

話し合い⑤:34歳の冬

それぞれが受診し、結果が届いたのは年末でした。私は「夫が前向きになっているタイミングがチャンス!」と思い、意を決して夫に説明する用の「子どもについて、私の気持ち」というプレゼンシートを作成したのです。

内容は、下記の通り。

・ブライダルチェックの詳細な結果

・出産年齢があがることによる子どもの障害や母体のリスク

・いつ妊娠するかわからないため、私が仕事をセーブしていること

・もし向こう1年に子どもを希望しないのであれば、生理周期を整える治療のためピルを飲みたいこと

つまり妊活をするかしないかの選択をなるべく早く決めたいということをまとめました。

なぜ私がわざわざプレゼンシートにまとめたかというと、私は夫よりも気持ちを言葉で話すことが苦手なので、話し合いではいつも夫主導で進んでしまうことが気がかりだったから。

結婚して3年以上という時間が経っていることや、私の年齢をふまえて、当時の私は妊活をするか否かについて早めに決断をしたかったのです。

年始に夫にプレゼンしたところ、私の今までにない本気度が伝わったのか、すんなりと「まずは3カ月から半年、タイミングをとってみよう」と受け入れてくれました。

そして、私が排卵誘発剤を飲みながら、シリンジを使ってタイミングをとることで合意。

ここまで長い時間がかかったと思いましたが、これでようやくスタートラインに立てたと感じました。

もちろんすぐに授かれるわけではないという不安もありましたが、パートナーが同じ目線でスタートラインに立っていることが今までになく心強く、むしろ「やるだけやってみよう!」という前向きな気持ちが徐々に湧いてきました。

5軒目:職場近くの不妊外来のある婦人科

やることが決まれば、まず行動するのは女性の私のほうです。今までの経験から婦人科選びもわかってきたので、下記の条件が決め手となり通い始めました。

 ・シリンジ法を伝えやすい女性の医師

 ・仕事の合間にも通いやすいエリア(職場から2駅)

 ・人気の不妊専門外来だと待ち時間が長いので、それなりの規模感のところ

 ・グーグルの口コミをある程度参考に

結果、平日の待ち時間は20〜30分ほど、口コミ通りサバサバした医師(合わない人もいそうだが私にとっては相談しやすい)だが説明はちゃんとしてくれて、必要最低限の通院を提案してくれるクリニックだったので選んでよかったです。

その後、通い始めて2〜3カ月で妊娠検査薬は陽性に。この婦人科で無事に妊娠判定・心拍確認までしてくれて不妊治療クリニックは卒業となりました!

ちなみに5軒目のクリニックは産科はないので、今は家の近くの分娩予定の6軒目の産婦人科に通院しています。

夫婦として対話レベルが上がった

photo by Wes Hicks on Unsplash

結婚した当初はLINEで一方的に情報を送りつけたりと話し合いすらまともにできなかった夫婦だったなと、今振り返ると笑えるほどです。

時間が経つにつれて、私の婦人科系の知識も増え、医師にも私の希望を伝えて相談できるようになり、それを夫にも伝えて対話ができるように成長しました。

夫婦にとって、子どもを持つか持たないか、もし予期せず授かったらどうするかはふたりで決めることです。

私たちの場合は、子どもが欲しいかどうか?をテーマにそれなりに時間をかけて、話し合いレベルも上がっていきました。結果として、これからの出産や子どもの成長にともなう悩みにも、対応できるような夫婦に成長したのではないかと思います。

これからも、ふたりの前にハードルは現れると思いますが、ふたりで同じ目線で判断することを意識して、子育てを含めて生活していきたいです。

これから妊活を始める方や、夫婦との話し合いに不安がある方にとって少しでも参考になれば幸いです。

シリンジによるタイミング法の実践は、こちらの記事に綴っています。

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