「セックスレス」と聞いて、ドキッとしますか? そうかもしれないけど気にしていない、少し悩んでいるかも、実はかなり悩んでいる……。あなたはいかがでしょうか。

セックスが「レス」である悩みは大変デリケートなもの。一人ひとり事情が違うこともあり、誰にも相談せずに自分の中だけに秘めて放置する人も多い印象です。

ではなぜ人は「セックスレス」で悩んでしまうのか? セックスレスについて調査したデータや日本ならではの事情も参考に、もやもやを解決する方法を一緒に探っていきましょう。

セックスレスの定義とは

そもそも、セックスレスとはどんな状態なのでしょうか。性の健康の推進をはかる専門家の団体「日本性科学会」によると、セックスレスとは「特殊な事情が認められないにも拘わらずカップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1カ月以上なく、その後も長期に亘ることが予想される場合」と定義されています。

婚姻関係を結んでいるカップルや、特定のパートナーとの間で起こる、セックスに対する思いのすれ違いや悩みは、他人が想像するよりはるかに深いものです。お互いが長い付き合いであればあるほど、相手に直接相談しにくく、切り出すにはなかなか労力がいると想像できます。

お互いが「セックスはしなくても愛情を感じられるし信頼もある」という考え方が一致していれば、問題はないですよね。

一方で、「体のふれあい=愛情」という考えが強く、スキンシップがないと寂しく感じる人もいます。その場合、セックスレス状態が日に日に辛くなり、スキンシップの多いカップルを目にしたり、セクシャルなコンテンツに触れたりするたびに、ますます落ち込んでしまう人もいるでしょう。

日本がセックスレス大国と言われる理由

2005年に海外のコンドームメーカーがおこなった「性の幸せに関する世界調査※1」によると、日本の年間に行うセックスの頻度は、41カ国の調査のうち、なんと最下位の41位という結果でした。

また「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ 2020」では、日本の夫婦の5割は性的な行為が1カ月以上ないという調査もあるそうです。世界各国に比べて、日本が「セックスレス大国」だと言われる理由は、こうした結果からも見えてきます。

セックスレスの要因は?

セックスレスになるには、さまざまな要因があります。なかでも一番多いのは、男女ともに結婚や出産後の生活や気持ちの変化によるものです。定期的にセックスしていた日常が、いつの間にかセックスレスになってもめずらしいことではありません。

時間や体力に余裕がない

共働きが当たり前な現代において、男女ともに仕事や家事、育児などに追われて疲れている中、時間的にセックスを優先することが難しい場合もあるでしょう。お互い異性として意識していたのに、家族や同志として接するうちに、求め合うセックスの対象から遠ざかってしまうことも。

コミュニケーション不足

恋人から家族にシフトして、ずっと一緒にいられる安心感と新たな幸せを得たにもかかわらず、ライフスタイルの変化とともにじわじわと忍び寄るセックスレス。

日常生活の積み重ねの「慣れ」からくる言葉足らずのコミュニケーションも一因です。残念ながら、どんなに近しい間柄でも言葉にしないと想いは伝わりません。疲れていて話すのが面倒になり、「まあいいか」の積み重ねが、コミュニケーション不足となります。まずは一言だけでも、自分の想いを話してみるようにするとよいですね。

それでも「やっぱり話しにくい。話すきっかけが作れない」という人は、手書きの手紙を書いてみるのもおすすめです。スマホでメールを一言送るよりも、自分の気持ちの整理もできますよ。こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

参考記事:拝啓、親愛なる夫へ。セックスレスについて悩んでいます。

住宅事情や環境の変化

同棲する部屋の狭さや、結婚後の同居問題など、隣の部屋や家族に音が聞こえるのが気になりセックスがしづらいと感じるように。こうした日本の住宅事情がセックスレスへ影響している可能性も少なくありません。

出産後の夫婦の場合、住居の間取りの事情から、夫婦の寝室に子どもが一緒に寝ている家庭もあるため、物理的に夫婦でセックスすることが難しいというケースもあります。

産後などホルモンバランスによる変化

また産後は、身体的な負担や、ホルモンバランスの影響から、セックスに嫌悪感を感じる女性も多いため、セックスレスに陥りやすいと言われています。

こうした事情がある一方で、出産を経験した女性の76%が「今後もパートナーとセックスをしたい」と前向きな考えを示していることが、調査により明らかになっています。

参考:「産後、セックスをしていない」が約7割。ただし約8割が「今後もしたい」と好意的(調査結果)

まずは自分の状態を知り体や心を大切にして、相手に理解してもらえるよう、対話をはじめてみてはいかがでしょうか。

参考:夫の気持ちに応えられない。産後のセックスレスのお悩みに僧侶のアドバイスは?

妊活などのプレッシャー

また「子どもが欲しいのにセックスレス」という状況で悩んでいる人も多いです。友人知人から出産の話を聞いて、落ち込んでしまう人もいるでしょう。

性欲のギャップ

パートナーとの性欲の違いで悩む人も多いです。上記のようなさまざまな要因から性欲自体が減退してしまうこともあります。誰しもが同じレベルの性欲を持っているわけではありませんし、年を重ねたり、環境が変われば変化もします。

こうした状況を相手になかなか伝えられず諦めてしまうと、セックスレス状態がいつまでも解消しないまま悪循環に陥ってしまいます。「自分はセックスについてどう考えているのか」自分の心に向き合い、相手とも真摯に話し合ってみることが大切です。

セックス観について話し合い、お互いのベストを見つけたカップルもいます。パートナーと対話をはじめる参考にしてみてください。


参考:交際3年、セックスレス。自分を責めていた私たちが、話し合いの末に気づいたこと

セックスレスと性の多様化

パートナーとのセックスレスで悩み、性欲のバランスを保ちたい人へ向けた、セックスのアウトソーシングサービスが登場しています。

例えば、女性向けの風俗(女風)を利用して、好みの男性と本番(いわゆる挿入)以外の擬似セックスを楽しんで体と心を満たす人、既婚者専用マッチングアプリなどで信頼できるセカンドパートナーを探して、セックスをする人などさまざまです。

セックスレスについてとことん話し合った結果、相手の恋愛を許可しあうオープンマリッジという形をとる夫婦や、公認のパートナーを作るといった、本来の夫婦の関係から独自の進化を遂げて、セックスレス状態を解消する人もいます。

しかし、これらはトラブルに発展するリスクがあるため、パートナーとの話し合いを経て、お互いの理解を得た上で検討したほうが良いでしょう。

セックスレスは悪いこと?

結論として、セックスレスそのものが「悪」ではありません。ですが、「自分だけ、または大切なパートナーだけが辛い思いをしている」のは、よろしくない状態です。

セックスしたい気持ちは、男女ともに、付き合う年月や生活環境、年齢を重ねても大きく変化していくもの。パートナーが今どう感じているのか、思いやりをもって歩み寄りたいものです。

そして「(私は今)セックスをしたいか、したくないか」は、自分の意思で決めることが何より大切です。したい場合も、したくない場合も、きちんとパートナーに意思を伝える。そうすることで、セックスレスで悩むことから解放されていきます。

常に自分の思いをアップデートして、今の気持ちを素直に相手に伝えられるよう、一歩を踏み出す勇気を持ちたいものです。

セックスレスという言葉にだけとらわれて悩むのはもうおしまいにしましょう。あなたらしく、自分らしく生きるために、今の気持ちを大切にして悩みを解消していけますように。

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