5月28日は、月経衛生デーです。
生理にまつわる沈黙やタブーをなくし、社会的な意識の変化を促すことを目的に、人権問題に取り組むドイツのNGO団体、WASH Unitedによって2013年に提唱されました。
ランドリーボックスでは、2024年の月経衛生デーに際し、生理休暇、生理研修など生理にまつわるアンケートを実施しました。男女別に調査結果をまとめます。
【女性】勤務先に生理休暇が「ない」の回答が半数以上
「勤務先に、生理休暇はありますか?」と質問したところ、現在就業中と回答した女性(生理がある・過去にあったと回答)114名のうち、約半数の方が「ない」と回答。「ある(有給)」と回答した人は約13%で、「ある(無給)と回答した人は約17%でした。
7割の女性が、生理休暇を使用したことない
「生理休暇を使ったことがありますか?」の質問では、生理休暇があると回答した方のうち、7割の方が「ない」と回答しました。
使用したことがある方の声
・生理休暇(有給)の方
生理痛が酷いため。
(30代・不動産業界・パート・アルバイト)
有給だから使いたい。
(20代・製造業界・会社員)
・生理休暇(無給)の方
権利なので使う。有給であればありがたい。
(40代・NPO・経営者・役員)
使用したことがない方の声
・生理休暇(有給)の方
誰も取得していないから。
(40代・サービス・会社員)
・生理休暇(無給)の方
無給になりボーナスにも響くと聞いた。
(20代・医療関係者)
周りに使っている人がいないし、上司が男性なので言いづらい。わざわざ生理休暇を使わず、体調不良と言って有給で休んだ方が楽です。
(20代・コンサルティング・会社員)
手間がかかる上、社内のオープンチャットで申請しなければならない為。
(30代・交通物流業界・契約社員)
・生理休暇をあることは知っているが、有給か無給かわからない方
生理休暇という名称なので申請しづらい。
(30代・建設業界・会社員)
休むほどつらい症状がない。
(30代・建設業界・会社員)
今回生理休暇を使用したことがないと回答した方の約7割が、「生理休暇が無給」と回答していました。「有給だったら取りたい」との声も多く寄せられており、制度としてはあるものの使いづらい現状が見えました。
「生理休暇は誰でも認められる権利」知らない人が8割以上
生理休暇は、労働者の権利として1947年に労働基準法に盛り込まれ、パートや契約社員、派遣社員など、どのような契約でも認められている制度です。
生理休暇が「ない・知らない」と回答した74名に上記を知っているか質問をしたところ、「知らなかった」が8割を越える結果になりました。
「アルバイトだから生理休暇は使えない」「就業規則に生理休暇の対象者が限られている」など、就業規則で生理休暇を取得できる従業員の範囲を限定することは労働基準法違反です。
「生理休暇があったら使いたい」と回答した人は6割以上
生理休暇がないと回答した方に、「制度があったら使いたですか?」と質問したところ、「はい」と回答した人は6割を超えました。寄せられた声の一部をご紹介します。
使用したい理由
低用量ピルを使っていますがやはり腰が痛くて座るのも大変なときがあるので、辛い時は仕事を心配せずに休みたいです。
(30代・パート・アルバイト・翻訳)
閉経前?の症状なのか、生理によっては急激に月経量が増えることがあったり、月経痛を患い日常生活に支障をきたすことがあるため、生理休暇があれば心身の負担を軽減できると思う。
(40代・パート・アルバイト・サービス業)
頻繁にトイレに行きたいので家なら気兼ねなく行ける。
(30代・パート・アルバイト・小売業界)
他にも「生理痛を我慢して仕事をしている」「精神的にも仕事に集中できないことが多い」「休んでコンディションを整えたい」といった声が多く寄せられていました。
使用したくない理由
ズル休みだと思われるから。
(20代・パート・アルバイト・製造業界)
周りに迷惑をかけそうだから。
(30代・パート・アルバイト・教育業界)
一カ月に一度か二度休んでいたら有給を使い果たしてしまうから。
(30代・会社員・医療・保健業界)
更年期で周期が乱れていて、申告しにくく感じます。
(40代・パート・アルバイト・小売業界)
生理休暇を使うのは、自分が生理中だとわかってしまうのが恥ずかしいので、使いたくない。
(30代・パート・アルバイト・エネルギー・資源業界)
更年期になると女性ホルモンの影響により生理周期が乱れたり、経血量に変化がでるといわれています。更年期の生理の変化をきっかけに生理休暇を使用したいとの声もありましたが、同時に「また休暇をとるのか」と思われる不安など、周りの目を気にしてとれないという声が多かったです。
「取りづらい」「無給だと意味がない」女性が生理休暇に思うことは?
生理休暇に対し思うことを自由に書いてもらいました。一部の声を紹介します。
必要な人は取れるようにあるべきだと思う。
(20代・医療関係者・医療・保健業界)
あるのはとってもありがたいけれど、使いづらいです。
(20代・会社員・交通・物流業界)
無給でわざわざ生理です!と伝えて休むのよくわからない。
(20代・会社員・コンサルティング)
上司とコミュニケーションが取れているなら必ずしも生理休暇である必要はないと思う。他の有休と同じ扱いでないと取得するメリットはない。女性は特に生理で仕事のパフォーマンスがしっかり発揮できない日があるため、取得できる休みは多い方がいいと思う。
(30代・会社員(一般職)・エネルギー・資源業界)
生理休暇という名目で休暇を取得したことはなく、有給休暇としてで良いのではと思います。生理が原因で休暇を取ることがあったとしても、生理休暇で申請することはなく体調不良と申請すると思います。
(30代・会社員・金融・保険業界)
もっと浸透してほしいという声が多数ある一方で、現状は「無給だから意味がない」、「申請が複雑」、「上司が男性で伝えづらい」などの理由から「取得しにくい」と感じる方が多く、「もっと使いやすいように制度を変えてほしい」との意見が多数寄せられました。
勤務先で生理研修を受けたことがある人は3%
「生理にまつわる研修を、会社で受けたことはありますか?」の質問に対し、「ない」と回答した人は97%と、生理研修はごく限られた会社でしか実施されていないことが明らかになりました。また、実施していても研修を受けるのは任意であるケースが多く、実際に受けた人は少数のようです。
生理研修を受けたことがある人に、研修内容をたずねたところ、
生理の仕組みとどんな不調があるのか、現代は累計の生理の回数が増えていることなど、インプットをもとに男性社員も交えて対話しました。
(20代・会社員・金融・保険業界)
との回答がありました。また、今回生理研修があると回答した人全員が、満足度を5段階中の5(非常によかった)と回答。「女性も改めて知識のアップデートができた。男性含めて全員が同じ研修を受けて理解度が標準化された」など、内容に非常に満足したことが伺えました。
【男性】生理休暇を取得することへ好意的な意見がほとんど
現在就業中の男性87名(生理がないと回答)のうち、勤務先に生理休暇は「ない」と回答した方は約48%という結果になりました。「知らない」と回答した方は19%と女性側より少し多めの結果(女性:14%)でしたが、「生理休暇がある(有給)」は約15%、「ある(無給)」は約5%でした。
「必要不可欠」「無給だと大変」「理由が本当か怪しい」生理休暇に対する男性のさまざまな声
本人が辛いと感じるときは積極的に使っていいと思います。
(40代・自営業・自由業・IT・技術業界)
女性にとっては大変なことだと思うので生理休暇はあって然るべきだと思います。
(20代・会社員・IT・技術業界)
以前勤めていたすべての会社で生理休暇が会社の規約の中に設けてありました。症状には個人差がありますが、辛い人も多いので休暇は必要不可欠だと思います。
(60代・自営業・自由業・テクニカルライター&エディター)
ほぼ怪我や病気に近い体調不良だと理解してますから、休暇を取られることについては全く不公平とは思いません。むしろ、月に1度はそんな日があって、症状が重い人だと休まざるを得ないと考えると、無給扱いは大変だと思います。一人暮らしだと、経済的に困窮するのではと思います。
(40代・会社員・IT・技術業界)
ほとんどの方は生理休暇を取得することに対し好意的な意見でしたが、こんな意見も寄せられました。
わざわざその名称にする必要もないと思う。
(30代・教職員・教育業界)
男女平等の観点から、普通の有給休暇でどうにかできないのか疑問があります。
(30代・自営業・自由業・不動産業界)
不正な使われ方をしなければあると良い制度だとは思います。
(40代・会社員・建築業界)
身体が資本なので休暇は妥当だが、本当に生理での休暇なのかを証明するのが難しい。
(40代・会社員・交通・物流業界)
体調不良なので休んでも良いとは思うけど、本当に生理が理由での休みなのかは怪しいと思ってしまう。
(40代・会社員・小売業界)
あまり考えたことはなかったが毎月あるもので休みたくなる気持ちもわかるし、かと言って毎月休まれると男性側のモチベーションにも関わってくるので難しいところ。
(30代・会社員・介護・福祉)
生理研修を受けた男性は3.4%「リーダー研修の一環」「女性への配慮」
生理研修を受けたことがあるかの質問は、女性同様「ない」と回答した人が約97%と、受けていない人が圧倒的に多い結果となりました。
受けた方は、「リーダー研修の一環として女性への配慮として受けた」「症状の軽い、重いは人それぞれなので取得に際し批判等は行わない」といった内容の研修を受けたそうです。
感想を聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられました。
満足度5(非常に良い)
男性として実際に研修、講習を受けなければ学べない女性の身体のメカニズムを改めて理解できた。
(40代・会社員・交通・物流業)
満足度4
知らないのがおかしい。
(60代・自営業・自由業・小売業界)
満足度3
寝坊したのに急に生理休暇で休むメンバーがいるため。
(30代・会社員・IT・技術業界)
まだまだ社会のニーズと制度が追いついてないことが明らかに
2019年頃から、生理を話題に取り上げるメディアが増え、今まで語られてこなかった生理の問題が少しずつ可視化されるようになりました。
しかし、今回のアンケートでは生理休暇の制度はあるものの無給が多く、そもそもの制度自体が権利として認められていることを知らない人が多い結果となりました。
「もう少し生理休暇がとりやすい制度になってほしい」という声が多かったように、現状では名前だけの制度になっていることが多く、生理休暇の浸透度はまだ低い現状です。
「とれるならとりたい」のニーズに、社会はまだまだ追いついていません。
また、生理研修を導入している会社が少なかったものの、受けた方の満足度が高かったことから、導入する企業が増えれば増えるほど、より男女にとって働きやすい社会になるのかもしれません。
もちろん生理だけではなく、体調不良時に我慢して働くという選択肢ではなく、休みやすい環境を社会全体でつくれることが理想です。
どうしたら多くの人が働きやすい環境をつくれるのか?
生理研修を増やすことや、生理休暇(有給)をもっと広めていくことが、その一歩になるかもしれません。
一筋縄ではいかないかもしれませんが、みなさんと一緒によりよい方法を考えていきたいです。
アンケートに回答くださったみなさん、ありがとうございました。