フランス政府は2021年9月9日、25歳以下のすべての女性を対象に経口避妊薬などの避妊法利用を無料化すると発表した。AFPBB NewsやThe Guardianなどが報じている。
18歳以下の女性が対象となっている制度の対象を拡大
この制度は現在18歳以下を対象としており、その対象を25歳以下の女性に拡大する形となる。
対象となる避妊法は、経口避妊薬(ピル)や避妊リング(IUSデバイス)のほか、避妊用インプラントなどで、避妊のための医療機関受診料も無料になる。
オリヴィエ・ヴェラン保健大臣はこれについて「一定数の若い女性の間で避妊法の使用が減少しており、その主な理由は経済的なもの。女性が自分の身を守ることができず、避妊をしたいと思っても、経済的余裕がないために避妊できないというのは受け入れがたい」と述べた。
25歳を基準にした理由について同氏は、自律性の高い年齢であることと、25歳になると親の補完的な健康保険への加入ができなくなるからだとしている。
また、25歳で避妊をやめる女性が多いことが研究で明らかになっており、その理由が子どもを産むためでなく経済的理由であることも明らかにした。
欧米諸国で進む若者の「避妊無料化」の流れ
避妊の無料化は、女性の権利向上や若者の貧困削減を目指すフランスのエマニュエル・マクロン大統領が推し進めている施策のひとつ。
フランス政府は昨年、未成年者の人工妊娠中絶をなくすことを目標に、対象を15~18歳としていた避妊無料化を15歳未満にも拡大している。実際に、2012の中絶件数は妊娠1000件あたり9.5件だったが、2018年には妊娠1000件あたり6件にまで中絶の数が減少したとThe Guardianが報じている。
なお、ドイツやベルギー、オランダ、ノルウェーをはじめとする欧州諸国では、10代の若者に避妊が無料化されている。また、イギリスでは、年齢を問わず誰もが数種類の避妊法を無料で利用することができる。