政府は、2025年までに男性の育休取得率30%を目標に掲げている。「改正育児・介護休業法」が2021年6月3日に成立し、”男性版産休”とも言われる「出生時育児休業」の新設が大きな話題だ。

現行の育休とは別に生後8週間以内に最大4週間の育休が取得を2回までに分割して取得がすることが可能となった。申請時期も従来の1カ月前から、2週間前までに変更され取得しやすくなっている。

そんな中、妊娠から出産、育児期のママやその家族向けのサービスを展開しているninaruシリーズの運営会社、株式会社エバーセンスが「男性育休に関するアンケート」の結果を発表した。

男性育休の取得を阻む「職場の理解のなさ」

自身、または配偶者が男性育休を取得しなかった人に、その理由を聞いた質問では40%以上が「職場の理解がなかった」と回答した。これに関連し、「昇進したばかりだった」「人員に余裕がなかった」「前例がなかった」という声が多く集まったという。

一方で「収入を減らしたくなかった」「必要性を感じなかった」と回答した人がそれぞれ19.9%と16.2%で、家庭によっては育休を取得する必要がないとの考えもあることが読み取れる。

男性育休取得のためには「上司や同僚の理解・サポート」があることが効果的だと回答した人が最も多い結果に。実際に、2021年5月23日に厚生労働省が発表した調査結果でも、男性の4人に1人が育児休業などを理由にした嫌がらせ「パタニティーハラスメント」を経験していることが明らかになっている。

「上司や同僚の理解・サポート」に次いで多い「職場の積極的な推進」も職場環境の改善が求められる回答であり、やはりここでも職場からの理解が得られていない現状を反映していると見られる。

育休を取得した男性の半数以上が不安を感じていた

育休を取得しなかった男性が、育休取得に関して不安に思っていることは「仕事の引き継ぎ」「復帰後の仕事の影響」が共に60%を超え、「職場・取引先の反応」も半数近くに迫る結果となり、職場環境が大きな懸念ポイントとなっていることが明らかになった。

家計への影響を不安に思う回答も半数以上見受けられ、収入面でも不安に思っている人が多い一方で「家事・育児の知識不足」は4.1%と、不安に思う人は意外にも少ない結果に。

育休を取得した男性のうち、育休を取得する際に不安があった人は半数以上。ここでも不安の理由として「過去に男性で育休を取得した社員がいなかった」「キャリアが断絶するのではないか不安」「育休明けに自分の居場所が残っているか心配」をあげる人が多く、前例が少ないことや職場での対応を不安に思っていた人が多いという結果になった。

育休取得で「子育ての大変さを共有」を男女ともに期待

一方で、自身もしくは配偶者が男性育休を取得した人に「機会があればもう一度取得したい/取得してほしいか」を聞いた質問では、83.9%が「はい」と回答する結果に。

お互いへの感謝や理解が深まったというコメントが多く、中には育休を取ることの不安を自分自身も経験することで、妻の感情を理解できたという声もあったという。

夫婦で育休を取得できた場合に期待することは、男女ともに「子育ての大変さを共有」が1位という結果に。一方で「子育ての楽しさを共有」の項目では男性が60%、女性は38.1%と大きな差がつき、「自分一人の時間が持てる」の項目では、女性は25.6%、男性が9.0%とここでも大きく差がついた。

この調査結果から、これまで主に女性たちが抱えてきた育休によるキャリアの断絶や復職時の不安といった課題が、同じように育休を取得する男性にも表れてきていることがわかった。

職場の理解のなさが男性育休を阻む大きな要因となりつつも、収入に対する不安を抱える家庭も多くあることも同時に判明した結果となり、女性の雇用問題とも切り離せない問題であることがうかがえる。

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