生理が重たい人にとって「経血漏れ」は深刻なお悩みのひとつです。

日本産科婦人科学会によると、生理の1周期あたりの正常な経血量は20~140mlとされています。経血量が140mlを超える場合は「過多月経」と呼ばれますが、経血量を実際に測ってみることは難しいし、人と比べる機会もないと思います。

今回は「過多月経のお悩み座談会」と題して、経血量の多さや漏れに悩む4人の女性にお集まりいただきました。

日常生活の中での困りごとや、過多月経あるある、生理の体験談を赤裸々に語ります。

「夜用ナプキンを2枚使っても漏れる」これって過多月経だったんだ

—— 経血量は人と比較できないので自分が「過多月経」だと気づかない人が多いと思います。皆さんは、どんなきっかけでご自身の過多月経に気づきましたか?
ミミさん:ランドリーボックスのSNSで「過多月経チェックリスト」を見て、これって普通じゃなかったんだ!と気づきました。自分が過多月経だという自覚もなく、女性として与えられた使命なのか…と諦めて過ごしていたので、もっと早く知りたかったです。

かおるさん:学生時代から、経血が漏れちゃうことが多くて困っていたんですが、当時は今ほど生理用品の選択肢があまり多くなかったと思います。過多月経用のエリス クリニクスの存在を知って選択肢が増えたことが嬉しいと同時に、そういうナプキンがあることで自分の過多月経にも気付けました。

センスイさん:常に経血が多いわけではないのですが、年齢を重ねていくうちに急に量が増えてきて。タンポンや夜用ナプキンを使っても1時間でいっぱいになるような量だったので、もしかしたらそうなのかな?と。

かほさん:「お願いクリニクス」のプロジェクトをきっかけに過多月経や過多月経のための生理用品を知りました。若い頃からずっと経血量が多いことに困っていました。夜は夜用ナプキン2枚重ねとタンポンを併用しても漏れてしまうのであまりぐっすり眠れません。

—— 人と比較できないから、自分が過多月経かどうかに気づく機会がなかなかないですよね。今回のプロジェクトでは少しでも理解が広まればと、産婦人科医の宋美玄先生に監修いただき、チェックシートを作成しました。

「イスに経血のシミが!」仕事中に起きた生理の悲劇

——みなさんの過多月経で困った経験を教えてください。

ミミさん:営業職なので外出が多いうえ、お客様との約束だと自分のタイミングでお手洗いに行けず困っています。服や持ち物の準備にも気が抜けないし、いろんなことにずっと気を遣って過ごさなきゃならない。取引先で、もし経血が漏れてイスを汚したら本当に最悪です。

かおるさん:イス、すごく気を使いますよね。私は会社のイスに漏れてしまって、みんなが帰った後にスポンジと洗剤を使って染み抜きしたことが何回もあります。生理の日はちょっと厚めのタオルを椅子に敷いて万が一に備えます。会社だけじゃなく美容院のイスにもつけちゃったことがあって…。帰宅後に気づいたんですが、気まずくてその美容院には行けなくなってしまいました。

イラスト:せるこ安藤

カホさん:私も職場のイスを汚してしまったことがあります。前職が心理士だったんですが、面接をしているときはトイレに行けないことが多かったです。相談者の方がようやく話をしてくださったとき、私自身も「今は話を中断したくないな」と思うのでどうしても長時間になってしまい、そうこうしているうちに経血が漏れてしまいました。

センスイさん:すぐにトイレに行ける環境だったとしても、仕事が忙しすぎてトイレに行けないということもありますよね。

私は飲食店の派遣の仕事で白衣を借りて着るときに、漏れたらどうしよう…という緊張感があります。長時間なかなかトイレに行けない日があって、やっとトイレに行ったら血が溢れていてあせりました。白衣はギリギリ大丈夫だったんですが、トイレを汚してしまったのでキレイに掃除してから出ました。もっと大変な人もいると思いますが、夜用ナプキンとタンポンを併用して対策していても漏れちゃうので仕事中は本当に困ります。

カホさん:海外のホテルでシーツを汚してしまったときは、なんとお伝えしたらいいのかなと困りました。Google翻訳で調べながらホテルの人にお伝えしたら、すごく親切な方で「全然大丈夫よー」と言ってくださってありがたかったです。

イラスト:せるこ安藤

「朝のドバッと漏れ」「便座に血が」過多月経の人の生理あるある

ミミさん:自宅でもシーツに漏れたらへこみますよね。私は普段から睡眠時間をしっかり確保したいタイプなのでギリギリまで寝ていたいんですけど、生理のときはゆっくり寝て漏らしちゃったらシーツを洗わないといけないし、朝の準備もいつもより時間がかかるから早めに起床します。結果いつもより眠いし、体もだるいしコンディションは最悪です。

かおるさん:朝起きたときの“ドバッと漏れ”ってありますよね。ゆっくり寝たいけど起き抜けのドバッとが怖いのですぐ起きてトイレに行きます。経血が多いと、お尻にも経血が広がるので便座に血のあとがついちゃうことがあります。

ミミさん:ありますね。自宅だと拭けばいいやと思えるんですけど、外出先だと気を使うので、私はトイレットペーパーを便座に敷いてから座るようにしています。

センスイさん:コロナ禍以降に増えましたけど、便座用の除菌クリーナーが設置してあるトイレはありがたいですよね。

一同:うんうん。

センスイさん:過多月経の私には、「多い日用」と書いてあるナプキンでもすぐにいっぱいになっちゃうんですけど、皆さんはどうですか?

一同:「わかります!」「私もです」

ミミさん:世の中にはすごく薄いナプキンもありますよね。あの薄さで大丈夫な人もいるなんてびっくりです。たまにSNSで「この生理用品がおすすめ」みたいな投稿を見ても「いやいや、この人はきっと私とは違う世界の人だから」って思っちゃいます。経血量は個人差が大きいと思うので、口コミは安易に信用できません(笑)。

一同:「ああ〜」「あるあるですね」

過多月経の私たちが、とくに多い日に工夫していること

—— みなさんの苦労が伝わってきます。生理のときはどんな風に過ごしていますか?何か工夫していることがあれば教えてください。

ミミさんトイレに行けるときにこまめにトイレ行くとか、どんなときでも夜用ナプキンを多めにストックしているくらいですね。最近はいろいろな生理用品がありますが、果たしてそれが私にとって大丈夫なアイテムなのかどうかわからないですし、失敗したときのダメージが大きいのでなかなか新しいものに踏み出せずにいます。

センスイさん:過多月経の人向けの「エリス クリニクス」の存在を知ったときは「夜用ナプキン5枚分の吸収力(*)」に感動しました。薄いナプキンとは真逆ですごく分厚いですけど、そのぶん安心感があります。多い日の仕事中、クリニクスがすごく頼りになります。夜用ナプキンでも不安になるくらい多い日はもうこれ使ったほうがいいって思っています。1枚で夜用ナプキン5枚分だと考えたらコスパがいいと感じます。

(*「エリス 新・素肌感 多い日の夜用 羽つき」との比較)

かおるさん:私も多い日はクリニクスを使っています。先ほど便座に血のあとがつくという話をしましたが、クリニクスは表面がサラッとしているから、そういうこともなかったです。

エリス クリニクスを担当する大王製紙株式会社 H&PC部門グローバルマーケティング本部 出野結香さん

クリニクス商品担当・出野さん:クリニクスについて少しご説明しますね。クリニクスは横漏れを防ぐためのギャザーが二重(以下、写真参照)になっているので、染み出しが少ないところ、このギャザーの部分に糸ゴムが入っているので立ち上がりがあって横漏れしにくくなっています。さらに独自の「スピード吸水システム」を採用していて、経血をスッと引き込んで奥まで浸透させます。表面がベタつきにくく、サラッとしているのが特徴です。

クリニクスはダブルギャザーを採用

カホさん:私はクリニクスを使用したことがないので興味があります。ちなみにこれはレバー状の血の塊も吸い込んでくれるのでしょうか。

出野さん:大きさによっては少し残りもあるかもしれないですが、ある程度のものだったら吸収します。

カホさん:いいですね。生理用品の進化に驚きます。

—— 生理用品のほかに、どんな工夫をしていますか?

センスイさん:服やシーツに経血の染みがついたとき、手洗いしないとなかなか取れないですよね。繊細な生地だとあまり強くこすると破けちゃうので、優しく洗ってもよく取れる市販の液体洗剤を、ネットの記事や口コミを頼りに選んでいます。

なんとなく「怖い」? 婦人科受診のハードル

—— 経血が多い人のなかには、治療すべき疾患がある人もいます。今回のプロジェクトでは、過多月経の対策のほかに婦人科受診の大切さを伝えていますが、経血量の多さで婦人科を受診する人の割合が低いのが現状です。婦人科受診のハードルが高いと感じるのはどんなところですか?

センスイさん:風邪をひいたときの内科だと、だいたいの料金がわかるけど、婦人科ってあまり馴染みがないのでどんな検査で、どれくらい医療費がかかるかわからない。それに、いつも混んでいて待ち時間が長い印象がある。

ミミさん:ちょっと不安なだけで具体的な症状がない人よりも、妊婦さんの方が優先順位高いんじゃないかと遠慮してしまう気持ちもあります。

かおるさん:内診台がちょっと怖いんですよね。どんな先生なのかも気になりますし、漠然と「痛そう」とか「怖い」といったイメージを抱いている人は多そうです。

カホさん:私自身は自分の経血量が人と比べて多いという自覚がそもそもなかったですし、婦人科での診察が必要な症状であるという意識が足りなかったことが、受診しなかった要因でした。経血量の多さを医師に相談して、治療を提案してもらえるということがわかれば、受診する人も増えると思います。

—— ピルを服用するなど治療によって経血量は減らせるということを婦人科医の方や、ランドリーボックスでも情報発信をしているのですが、広く届いていないのが課題ですね。

もちろんお薬が全ての人に適したものではないですし、手術が必要になるような疾患の可能性もあるので、まずは受診することが大切です。

ミミさん:私は5年ほど前、健康診断で「貧血の疑い」が出たんです。男性の医師は「気になるなら病院で検査してみたら」という程度だったんですが、女性の医師に「子宮筋腫や婦人科系の病気の可能性もあるから、婦人科で診てもらったほうがいい」と言われて受診しました。

実際に婦人科で検査をしたら、疾患などはなくホッとしたのですが、貧血の傾向はあるのでお薬を処方してもらいました。生理が重たい原因に疾患の可能性があるということをそのとき初めて知りました。何もなかったらなかったで安心できるので、やっぱり受診することは大切ですね。

過多月経の人が少しでも過ごしやすくなる社会とは?

—— 最後に、生理を取り巻く環境がどんなふうに変わると良いなと思いますか?

かおるさん:外出先のトイレに置いてあるサニタリーボックスがすごく小さいので、使用後のナプキンを捨てようとしたら中身がいっぱいになっていて困ります。サニタリーボックスは大きくしてほしい。

一同:「わかる」「小さすぎますよね(笑)」

ミミさん:過多月経なので家のサニタリーボックスもすぐにいっぱいになっちゃいます。ゴミ袋を取り替えるのが面倒なのでぎゅうぎゅうに詰めていたら、袋が裂けてナプキンをばら撒いてしまったことがあって。あのときはつらかったです…。

—— みなさんのお話を聞くと、イスに漏れた経験がある方も多そうなので、オフィスや公共施設のイスはできるだけ黒っぽい色にしてほしいなと思います。

一同:「本当に」「白だと緊張します」

ミミさん:過ごしやすさで言えば、育児休暇や産休と同じように生理休暇も当たり前に取れるようになると、女性はもっと働きやすくなるのになと思います。無理して仕事しても気持ちが落ち込むし、体調が悪いと効率も下がる。生理痛だけじゃなくPMSが酷くてイライラしちゃうから休みたいという人もいると思います。

—— 生理休暇の制度は整備されていても実際には取得しづらいという声はよく聞きます。厚労省の調査でも生理休暇の取得率は1%を下回っています。休みづらさは感じますか?

かほさん:私が以前いた職場は月2日まで生理休暇が取れる環境でした。ありがたく利用していたら上司との面談のとき「全然元気そうに見えるけど」とやんわり指摘されてしまって、取りづらい雰囲気を感じました。

センスイさん:生理を軽く見られているんじゃないかと思うと「休みます」って言いづらいですよね。

ミミさん:生理の不調はその日になってみないとわからないので、前もって申請しなきゃいけないルールがあったりすると難しい。それに女性の中にも「生理くらいで休むの?」って思う人もいそう。生理のない男性から理解してもらうのも難しいと感じます。

かほさん:性別関係なく、情報に触れる機会があればもっと理解が得られるのかなと思います。

ミミさん:先日テレビ番組で生理の特集をやっていて男性の芸人さんが「勉強になった。全人類が見た方がいい」とコメントしていてかなり好感度が上がりました。男性も女性ももっと生理を知る機会があれば、生理を取り巻く社会が変わるのかもしれません。

「#お願いクリニクス」プロジェクトでは婦人科受診の大切さを伝えています

ランドリーボックスと大王製紙株式会社は、#お願いクリニクス #生理のサイン見過ごさないで プロジェクトにおいて、過多月経の対策と、婦人科検診の受診の大切さを伝えています。
このプロジェクトでは、個人差があり人と比較しづらい経血量について、定量的なデータを集めたいと考えています。ぜひこちらのアンケートにご協力をお願いします。

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