生理になると腹痛、腰痛、気分のイライラ、肌荒れなど身体の不調を感じる女性は多いです。この記事では、生理時に腰痛になる原因や対処法を解説します。
生理時の腰痛の症状や原因
生理痛の原因にはいろいろあり、子宮筋腫や子宮内膜症などのほかにプロスタグランジンという物質によるものがあります。プロスタグランジンとは体内で作られる物質でさまざまな作用がありますが、生理の経血を子宮から排出するために子宮を収縮させる働きがあります。
プロスタグランジンは重要な役割を果たしていますが、過剰分泌されると子宮の収縮が強くなりすぎて生理痛や腰痛を引き起こしてしまうのです。
生理時の腰痛を和らげる方法
生理時の腰痛を緩和するには、プロスタグランジンの過剰分泌を抑えたり、お腹や腰を温めるのがよいとされています。
自分でできる方法としては、以下がおすすめです。
・生理痛を和らげる市販薬を服用する
腰痛が重い場合は、生理痛を和らげる市販薬を服用するといいでしょう。生理痛に効果的な薬は非ステロイド性炎症薬で、解熱効果があることから解熱鎮痛剤とも呼ばれます。解熱鎮痛剤はプロスタグランジンの生成を抑え、腰痛も含めた生理痛全般を緩和してくれます。
薬が効くまでには時間がかかるため、痛みを感じそうだと思ったら早めに服用しておきましょう。
・腰やお腹を温める
腰やお腹を外側から温めるために、薄手の腹巻やカイロ、ブランケットなどを利用してみてください。
そして、身体を内側から温めるために、冷たいものを控えて温かい食事や飲み物を選んだり、身体を温める効果のあるショウガの入った料理を食べたりしましょう。シャワーだけですまさずに湯船につかるのも効果的です。
・血行をよくするためにストレッチをする
仕事中は椅子に座りっぱなしという人もいると思います。日常の中で立ち上がって腰を回す、座った状態でつま先を上げ下ろしするなど、簡単なストレッチから始めてみましょう。身体が温まっているお風呂上りのストレッチもおすすめです。
痛みがあると身体が緊張してしまい、気持ちも落ち込んでしまいがち。お気に入りのアロマを焚いてのんびり過ごすなど、リラックスを心がけて生理の期間を乗り切ってみてください。
腰痛の痛みが強い場合は、病気が原因であることも
腰痛を和らげる方法を試しても痛みが治まらず、日常生活に支障があるほど痛みが強い場合は、子宮筋腫、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性があります。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮内で筋肉が異常に増殖してできる良性の腫瘍のことです。この子宮筋腫ができると、経血量の増加や月経痛が悪化します。また筋腫が大きくなると、腰痛や下腹部の圧迫感を感じることがあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮の中にあるはずの子宮内膜組織が、卵巣や腹膜などにも発生してしまう病気のことです。毎月の生理の度に炎症を起こしてしまい、症状が少しずつ進行するため、痛みが増していきます。子宮内膜症については、「子宮内膜症の原因と症状、治療法について。生理痛が重い人は要チェック(医師監修)」の記事で解説していますので、気になる方は確認してみてください。
生理時の腰痛がつらい人はお腹や腰を温めて鎮痛剤を服用しましょう。痛みが重く日常生活に支障がある場合は、婦人科系の疾患が原因である可能性もあります。気になる症状がある場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。