2021年の調査では、30〜34歳の39.7%が「経験なし」という結果が出ており、30代女性の3人に1人が「処女」だと言われています。

48歳まで処女だった私が、自分の経験を公の場で書きたいと思ったのは、同じように性体験がない30代や40代の女性に「性体験がないことは特別なことではない」と伝えたいという強い思いからでした。

これまでリアルな声を実際に聞き、多くの人に届けることで、「性体験がないということで悩む人たちの助けになるのではないか?」と考え、「性体験がない」、「長い間処女だった」という2人の女性のインタビューをしてきました。

今回は、3人目の女性として現在も性体験がないという40代のYさんにお話を聞くことができました。

40代まで処女だった理由の裏には、「自分の身体を大切にしたい」という思いがありました。

母が教えてくれた“性教育”

photo by Jon Flobrant on Unsplash

ーー幼少期、性に関してどんな興味を持っていましたか?

生理のしくみについては、3歳か4歳くらいのときに、保健師をしていた母が具体的に教えてくれました。一緒にお風呂に入っているときに母が生理だったことがあり、ナプキンを股に当てている姿を見て「なんで血が出てるの?」と素朴に聞いたのがきっかけでした。

「赤ちゃんはどこからくるのか?」という質問にも「コウノトリが運んでくる」といったファンタジーな話ではなく、「お父さんの中に虫(精子)がいて、お母さんの中にある卵(卵子)と一緒になると、赤ちゃんができる」という伝え方で、誤魔化すことなく具体的に教えてくれました。

そんな母の影響もあり、小さい頃から同年代の人たちと比べると知識はかなりあったと思います。

ーー男性への興味はありましたか?

実は、小学生のときに通学中に露出狂の男性に遭遇したんです。そのときに勃起した男性器を見せられてしまって…。見せられたときは、何が起きているのかわからなくて身体が固まってしまいました。

その後に性教育でセックスという行為を知ったのですが、露出狂に遭った経験が忘れられず…。その経験によって男性は一方的で暴力的という歪んだ理解になってしまったと思います。

中高生時代は、性に関しては比較的オープンだったと思います。ある日、放課後に教師が「コンドームを見てみたいか?」と聞いてきたことがあったのですが、女子生徒たちが「見たい!見たい!」とわ〜っと集まっていくような環境でした。そんな中で、私は真っ先に飛びつくタイプでしたね(笑)。

それでも、露出狂に見せられた男性器のことを思い出してしまって、「本当にアレが入るのか?」という疑問や、その男性器に対する嫌悪感や恐怖感のほうが強かったです。

ーー周囲の友達とは性体験に関する話をしていましたか?

もしかしたら性体験をしたことがある友達もいたのかもしれませんが、そういう話はしませんでした。

地元は田舎で狭いコミュニティなので、あっという間に噂が広まってしまうんですね。噂にされたくない話をあえてしなかったのかもしれません。

最後まで至らなかった3年間の交際

photo by Naassom Azevedo on Unsplash

ーー(事前アンケートにて)大学生のときに3年間お付き合いされていたとのこと。

大学生になってから、初めて男性とお付き合いをしました。その彼と出会ったことで男性観の歪みはなくなってきたと思います。

ーー彼が男性への恐怖心を取り払ってくれたんですね。現在も未経験ということは、セックスはしなかったのですか?

セックスをする機会はあったんです。でも、市販のコンドームのサイズが合わなかったのか、どうしても入らなくて…。

コンドームが使えないとわかったとき彼には、避妊をしないことによる妊娠の可能性や、妊娠をしたら女性は命をかけて出産をするということ、中絶に関するリスク、そして自分たちは学生で子どもを産んでも責任を持てるか不安だということなどをしっかりと話しました。

とにかく、私は避妊ができない状態でセックスをするのは嫌でした。避妊しなかったことによって、次の生理が来るまでドキドキしながら過ごすのは女性の私ですし、それならセックスはできないと伝えたんです。

ーー彼はその話を受け止めてくれたんですか?

はい。彼は「それなら挿入はなしにしよう」と言ってくれました。私は彼が避妊することを拒否したり、不機嫌になったりするのかな?と思ったのですが、何ひとつ嫌な顔はしませんでしたし、無理強いもしませんでした。

ーーその後もセックスはなしでお付き合いをしてきたわけですよね?

そうですね。キスやペッティングなどの挿入なしの行為だけで3年間お付き合いしました。挿入以外のことは全部したと思います。彼も毎回射精していたので。

好きな人とセックスをしたいという思いはもちろんあったのですが、避妊なしでするのは絶対に無理でした。妊娠する可能性がないのならセックスはしたかったです。

ーー避妊なしでセックスしたがる男性が多い中で、その彼はYさんを大切に思ってくれてたんですね。とても素敵です

残念ながら、大学を卒業して私が地元に戻ってしまったので別れてしまいましたが、そうだったのかもしれませんね。

ーー別れた後は誰ともお付き合いがないのでしょうか?

彼と別れてからはありません。好きな人ができて直前までいったりはしましたが、さまざまなトラブルがあってセックスはできなかったので、今も「挿入」に関しては未経験です。

挿入=セックスなのか?という悩み

photo by Jonathan Meyer on Unsplash

ーーセルフプレジャーはしますか?

はい、セルフプレジャーはします。いろんな妄想をしてするのが好きなんです。

ーーどのような感じでするんですか?動画を見たりとか?

動画は見ないです。ネットで体験談を読んだりして、想像を膨らませてすることが多いです。

たとえば、ラブホテルの従業員さんの話とかすごく好きなんですよね。ホテルに来る人たちの人間模様や、行為後の話を聞くと想像力を掻き立てられます。

フィクションの小説より、ノンフィクションがいいんです。だから掲示板の投稿系も大好きです。

ーーセルフプレジャーアイテムは使いますか?

アイテムは好きじゃないんです。自分の手で触るのが好きですね。あと、最後まで挿入できたことがないのもあって、モノを挿入するのが怖いんです。

ーー婦人科検診に恐怖を感じるというお話でしたが、挿入できないというのもありますか?

それはあると思います。器具を見ただけで緊張しますし、貧血を起こして倒れたこともあります。

あと、婦人科検診に行くと「性行為のあり・なし」を聞かれて悩んでしまうんですね。自分は挿入には至っていませんが「性行為はした」という認識なので、「性行為って何?挿入しないと性行為じゃないの?」って気持ちになるんです。中途半端なので、どう答えたらいいのか迷ってしまうんですよね。

あと、性交渉がないことを伝えたら、医師から「じゃぁ、子宮頸がんの検診はしなくてもいいね」とさらっと言われて、「なぜしなくていいのか」の説明もしてもらえなくて、モヤモヤしました。

結婚はできなくても健康な毎日を過ごしたい

photo by Larm Rmah on Unsplash

ーー「処女」という言葉について、どう感じていますか?

「処女」という言葉については嫌なイメージはありません。ただ男性器を女性器に挿入したことがない人の状態を示すことであって、恥ずかしいことではないと思います。その人が経験したかどうかの身体の状態を表すだけで、尊いとか綺麗とかではなく、「経験をしていない」という状態なだけだと。

ーー現在も処女であることに焦りはないですか?

処女であるということについては、以前は焦りというか、自分にパートナー(彼氏)がいない、付き合っている人がいないというのがつらい、悲しいという気持ちはありました。セックスができないというよりも、恋愛する相手が欲しいのに得られないということのほうがつらかったんです。求めているものが得られないのが本当につらいですね。

恋愛はしたいし、セックスもしたいです。そうしたい相手がいれば、自分からホテルに積極的に誘いますし、そうしてきました。ただ、今はそういう相手はいませんね。

ーー趣味に没頭しているそうですが?

今は、日々ソロキャン(ソロキャンプ)を楽しんでます。大きなマイナス点もないけど、大きなプラス点もないというような、平和なソロキャンを満喫していますね。最近は人付き合いに疲れたので、キャンプに行くと誰とも話をしないで焚き火をしています。

ーーキャンプで出会いはないんですか?

キャンプ場には出会いがあるとよく言われてますが、実際はそんなにありません。地元の人から栗をもらったりとか、どこのキャンプ場がいいのかみたいな話はしますけど、おじいちゃんやおばあちゃんばかりですね。

でも、恋愛をするならパートナーと一緒にキャンプ場に行きたいし、温泉にも行きたいですね。

ーー結婚は諦めているとのことですが、なぜですか?

実は、私は片付けがとても苦手で自宅がとにかく散らかっているんです。だから、他人との共同生活は無理かなと感じています。結婚は共同生活ですから。

ーーこれからどんな人生を歩んでいきたいと思いますか?

結婚はできなくても、健康な毎日を過ごしていきたいです。親が入院しているのもあって、最近は自分も健康でありたいと思っています。

でも、結婚の前にまずは恋愛をしたいです。共同生活がしたいのではなく人付き合いをしたい。今はそういう思いが強いです。

ランドリーボックスでは、「処女」という言葉の違和感や考え方について掘り下げています。

ご自身の「処女」についてのご経験・お悩みを共有していただけませんか?

同じ悩みを持っていたライター・miraeさんが、インタビューします。

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