国際ガールズ・デー月間である10月に、ユニクロは全国のシェルターや施設に入居する女性たちの暮らしを支え、自立を支援する取り組みの一環として、同ブランドの「エアリズム 吸水サニタリーショーツ」2,265点と、ファーストリテイリングのグループブランドの衣料5,320点、合計7,585点を寄贈することを明らかにしました。
コロナ禍でさらに増えた、見えにくい「貧困」
最初の緊急事態宣言が出された直後、職を失った人の数は男性約32万人、女性は約74万人までに達しました。男性に比べ、女性の非正規雇用者が多いことが原因のひとつとされています。
また内閣府によると、外出できない状況下でDV(家庭内暴力)を受けるなどの相談件数が、2020年5~6月の時点で前年の約1.6倍に増加しています。この傾向は日本だけではなく、世界中で見られます。
避難先でも「衣・食・住」を快適に
虐待や暴力被害などから着の身着のままで逃れ、シェルターや婦人保護施設、自立援助ホームや子どもシェルターなどに避難する女性は少なくなく、日々の支援を必要としています。
ユニクロによると、ファーストリテイリンググループはこれまでも、ジェンダー平等実現へ向けた活動の一環としてシェルターに暮らす女性へ服を寄贈しており、その数は2018年からの累計で5万点を超えているそうです。
また今年3月には、東京・大阪のユニクロ/GU店舗でシェルター入居者を招待して好きな服を選んでもらい、プレゼントするイベントも開催。スタイリストによるアドバイスや、プロのカメラマンによる写真撮影も行ったとのこと。
今回ユニクロは、日本国内で困難な状況に置かれた女性を支援する一般社団法人「若草プロジェクト」が開設した、支援の要望をデジタル上で集約するプラットフォーム「TsunAが~る」を活用し、全国84のシェルターや施設で過ごす女性たちのニーズに合わせて「エアリズム 吸水サニタリーショーツ」と、ユニクロ、ジーユー、セオリー、プラステの衣料を贈る予定だとしています。
「若草プロジェクト」とは
「若草プロジェクト」は、瀬戸内寂聴さん、村木厚子さんらが代表呼びかけ人となり、2016年に発足。貧困、虐待、ネグレクト、DV、いじめ、性的搾取、薬物依存、育児ノイローゼなどの社会問題を背景に、SOSを心に抱えた少女や女性たちと、企業などの支援者とをつなげる取り組みをしています。ニーズを丁寧にひろい上げ、当事者の心に寄り添った支援を実現することで、女性たちに「エール」を届け、社会のなかに「大きな応援団」をつくり出すことを目的としているとのこと。
社会の中で不可視化されるジェンダー不平等が、パンデミックという未曾有の危機で明るみに出てきたからこそ、見落とされがちな貧困への継続的な支援が必要です。今後も、こうした企業の取り組みにも注目していきます。