画像=Laundry Box

【今月のお悩み相談】

30代・既婚、共働きです。

夫が家事に全く参加してくれなくて、ワンオペ状態。ゆっくりできるはずの家なのに、私の方が家事をやるばかりで休む時間もなく、本当に疲れてしまいます。

お互いの仕事については、夫の方が帰宅時間は1時間ほど遅いのですが、土日は夫婦どちらも休みです。でも、お互いが休みのときでさえ私が家事をしていて、夫はというと家事を「手伝う」スタンス。

私にも仕事の忙しい時期や体調が優れないときもあるのに、溜まっている家事を見るとなおさらイライラして心が休まりません。

もともとは、結婚して一緒に住み始めるとき、家事の分担を話し合いで決めてはいました。しかし、夫は、自分の担当の夜の食器洗いもたまにしか行いません。

結局、夫よりも少しだけ早く帰ってきて比較的家にいる時間が長い私が行っている状況です。

夫と話し合う必要があるのは心の底では分かっているのですが、わざわざ時間を取って、夫と話をするのも疲れると思い、不満に思っていることをなかなか切り出せていません。

どうすれば夫も家事に参加してくれるようになりますか?

(35歳・女性)

夫婦の仕事の差は1時間、家事の差は妻が3倍というデータも

Photo by Annie Spratt on Unsplash

心も体も休まるはずの自宅で疲れてしまう…なんともつらい状況ですね。

夫婦の家事分担は、多くの家庭で抱えている問題かもしれませんが、だからこそ、「あるある」だと自分のなかで片づけてはいけません。

今後のご夫婦の関係のためにも、この問題にあらためて目を向けてみましょう。

男性の約75%が「このままでいい」と回答

まずは、男女の家事分担の日本の現状について少し見てみましょう。

現在、日本では性別での役割分担をやめようという動きが高まっていると思います。ジェンダーギャップ(男女のちがいで生じる格差)の解消に取り組む兵庫県豊岡市の調査(注)では、こんなデータが発表されました。

(注):神戸新聞NEXT「家事・育児の時間、女性が3倍長く 仕事はわずか1時間差 男性8割「このままでいい」」参考

それは、子育て世帯で、仕事の時間は「男性の方が女性よりも1時間長い」という結果に対して、家事や育児の時間は女性の方が男性よりも3倍長い、という結果です。

しかも、調査によると、驚くべきことに男性の約75%が「このままでいい」と回答したといいます。

でも、このままでいいはずがありませんよね!

人間とは、楽ができるものならなるべく楽をしたい生き物です。そのためなら、相手との関係をみながら、自分にとって都合のいい言い訳や理由を考えるのも得意な存在です。

だからこそ、相談者さんはしっかりと意見を言い、話し合うことが大切です。

しかし、話し合うことが億劫になってしまうお気持ちもよく分かります。なぜなら、家事をしない男性から、一見、正当と思われる意見を言われると、ついひるんでしまうからです。

例えばこのようなことを言われたことはありませんか?

「俺の方が長く働いている」

このような言葉は、労働時間を理由にして、自分は「家事をする時間がない」と言っているにも等しいと思います

さきほど述べたように、労働時間については女性が男性よりも1時間短いという傾向があるようですが、この背景には、女性が子どもの保育園のお迎えを全面的に負担していることや、会社による雇用時間の調整のために短時間しか働かせてもらえない…といった女性に対する「シワ寄せ」が背景にあります。

「働けるものならもっと長く働きたいわ!」と思っている女性もたくさんいるでしょう。

残念なことに、女性なら押しつけてもいい、女性なら無理を言いやすい。また、無理を言っても大丈夫、許されるといった、都合よく考えるパートナーや経営者はいまだにいます。

「俺の方が稼いでいる」

そして、もっと厄介なのは「今の状態に不満があるみたいだけど、俺の方が稼いでいる」と言う人です。

これほどあきれるセリフはないでしょう。

そもそも、夫婦の賃金格差は、個人の能力や働きぶりの差だけではなく、日本の男女における雇用の格差や賃金の格差が関係しています。

それを知らない社会人が、この先仕事で大きな成果を出すのは難しいと個人的に思います。このセリフを自信満々で言ってしまう人に、家事の参加を期待するのもつらいでしょう。

家事や育児には終わりがなく、ある意味、24時間休めない状態です。

家事育児が大変だということを知ると、誠実な人であれば仕事を早く切り上げたり、休日を利用するなどして積極的に家事育児をするようになるでしょう。

しかし、そうでない人だと、家事育児が仕事と同等、あるいは仕事よりも大変だと知っても、それから逃げるためにわざわざ仕事を増やしたり、帰宅時間を遅くするなんてこともかもしれません。とても不誠実だと思います。

今のパートナーと共にいたいなら、話し合ってみましょう

Photo by Jonathan J. Castellon on Unsplash

現在、家事の分担を守ることについて話し合いができず、また、話すことも諦めている状況であれば、夫婦として生活することを見直してみてもいいかもしれません。

家事の話し合いができない関係性だと、この先考えられる育児や介護の負担についても話し合うことは至難の業でしょう。

少しでも今の夫と共に生きていきたいという気持ちがあるなら、どうか、話し合ってみてください。

話し合うのを避け、現状を放置しても、状況は改善しません。

「さすがにこういう状況になれば、夫もこれぐらいはしてくれるだろう」といった期待を抱くだけで、察してもらおうと相手に丸投げせず、自分から積極的に向き合ってみてください。

自宅は、自分の心身を休め、社会生活の疲れを癒す大切な場所です。

「話し合い」は「話し愛」でもありますが、「話す試合」の「話し合い」でもあります。たとえ賃金の格差があっても、仕事時間が違っても、家庭であなたとパートナーは同じ土俵に立つ対等な立場です。

分担の割合は夫婦によってさまざまでしょうが、分担すると約束したことは、お互いに守らなければいけません。ぜひ、自信を持って、話し合ってみてくださいね。お互いに納得できるかたちで、生活が送れるよう祈っています。

*本記事の内容は個人の見解です。心身の不調が続くようであれば、医師や専門家への相談をおすすめします。

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