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「40過ぎたら一気に老け込むよ」と言われた30代

私は42歳ですが、現役プロレスラーでイギリスでは現在チャンピオンです。同時に仙台で女子プロレスの会社も経営しています。トップで居続けるにも順風満帆ではありませんが、今の自分はとてもいい感じです。

「常に自分をアップデートさせていく」

今回はこれがテーマです。

「40過ぎたら一気に老け込むよ」若い頃によく大人の方々から聞いていました。今でも世間でよく耳にします。30代後半は、その境目はなんなんだろう?と考えていましたね。

実際に40歳になって思ったことは「人ってそんなにすぐに衰えない」ということです。そして「衰えないから、もっとできることに挑戦しよう」と40歳になったときに世界で挑戦することを決意しました。

女子プロレスラー25歳定年説?

女子プロレスの世界では、どんどん選手生命が延びていますが、30年前は女子プロレスラーの25歳定年説があったんです。その時代の先輩方からは「25歳過ぎたら一気にスタミナ落ちるから気をつけな!」とよく聞かされました。

10代だった私にはその言葉がけっこう重くて、25歳になることが怖かったほど。また、反骨精神もあり「絶対衰えるもんか!」と思い、スタミナや筋力を上げる練習を欠かさずやっていました。

その結果、25歳になったとき、まったく衰えを感じませんでした。「やっぱり先輩たちの単なる数字の思い込みじゃん!」って。

怪我が重なった時期でもありましたが、トレーニングを積み重ねてきたおかげでリカバリーも速かったです。世間の言葉にも惑わされずプロレスを続けてこれたので、42歳になった今も現役プロレスラーなのかもしれません。

25歳になるのが怖かった10代の頃(本人提供)

里村流!自分をアップデートする方法

「衰え」とうまく付き合うという考え方もありますが、私はアスリートであるからこそ、衰えないように少しずつでも自分をアップデートしていくことを心がけています。私のアップデートの方程式はとても単純で「小さな努力×挑戦」です。

そして努力に大切なのは日々の積み重ね。筋肉や貯金、信頼もそうですが、小さな努力を積み重ねていくことで大きくなりますよね。年月を重ねるほど大きくなる、そうイメージできると、年齢を重ねることも悪くないって思えてきます。

さらに「挑戦」を少しずつ付け足していくと、自分の容量がどんどん大きくなっていくんです。

失敗するより挑戦しない方が怖い

私は1995年にデビューして現役27年になるので、もう5世代くらい時代も選手も代わっています。プロレスの世界は実力社会であり、同時に人気商売でもあるので、定期的に「このままでは若い選手に先を越されてしまう」、「もう自分は終わりなんじゃないか」と不安が襲ってきます。

ここで自分に変化をつけなければ取り残されてしまう。その不安を拭うのはやはり新しい挑戦でした。新しいことをはじめると、細胞が刺激されている気がして、学ぶたびに心身が生き返る感覚になります。

もし挑戦に迷ったときは、それがワクワクするものなのか自分の直感に問いかけてみます。いくらそれが険しく、難しいと感じた場合でも、私はその「ワクワク」を選んできました。

近いところだと、2021年、コロナ禍でイギリス移住を決めたときです。世界一のメジャー団体と契約したことにより、大規模な組織形態を学ぶことができています。この経験は将来の自分、会社に活かすためだと信じて。結果、一年経った今、挑戦して良かったと満足しています。

がんばりすぎて燃え尽きてしまわないように

ただ、挑戦するにあたって、自分の許容範囲をきちんと知っておくことも大事です。がんばりすぎていつの間にか精神バランスが崩れてしまう。気がついたときには無気力……。そういう人もたくさん見てきました。

アスリートによく起こる「燃え尽き症候群」、私も何度か経験しています。練習や試合のほか、会社も経営しているので自分で課した営業ノルマを終えた瞬間などに燃え尽きます。ホントに精魂尽きた状態です。少し休んで、次にそれ以上の挑戦をしようとしたときに、自分にブレーキがかかるのです。

とはいえ、自分の許容範囲って目に見えないし、よく分からないもの。人の体は思った以上に今いる環境下に順応してしまうので、無理をしている段階では気が付きません。身体に反応がくるときにはすでに遅し。過去に、顔に蕁麻疹が出たり、帯状疱疹で悩んだ時期もありましたが、思い返せば精神的にきつかったときで、完全に我慢のバロメータを超えていたんだなと。

それからは、日々自分の「感情」に意識を向けています。「無感情」であればキャパオーバーのサイン。「疲れたけど今日もがんばったな」、「本当にいい仕事ができた」など成し遂げたものが喜びとなっているか。感動できる余裕って大事です!

ストレスで顔に蕁麻疹が出たとき(本人提供)

何歳になっても挑戦は自分をイキイキさせてくれる

先日、作家の櫻井秀勲さん(91歳)がフェイスブックで「わたしはまだ老後の準備をしていません」と投稿されているのを見たとき、とても感銘を受けました。100歳まで働くからだそう。

また、当時96歳だった医師の日野原重明先生の講演を聞きに行ったとき「5年先まで講演のスケジュールがビッシリ詰まっている」とおっしゃっていました。長寿や先輩方の活動は止まらず、言葉は重く、自分はまだまだだと思い知らされます。

今挑戦していることは「英語」です。プロレスや会社ではトップのつもりでいたのに、英語ができないだけで「自分はなんて小さいんだ!」と感じます。でも、諦めずにコツコツとイギリスの若い選手に英語を教えてもらっています。
できることはやってきた。できないことは無限にある。これからも生きている限り、アップデートを繰り返しながら我が道を進みます。みなさんの挑戦も心より応援しています。

1995年と2022年の私(本人提供)

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