ストレスが原因の生理不順
大学生の頃、私は課題やサークル活動にあけくれ、徹夜や偏った食事を続けていた。その結果、半年間、生理が止まった。
生活習慣を改善して、婦人科で処方された薬で生理を誘発したところ、自然と生理がくるように。すごくホッと安心したのを覚えている。
ホルモンバランスに揺れる心と体
しかし、安心したのも束の間、ホルモンバランスの乱れが私の生活を蝕んでいった。
生理はきてないのになぜかお腹が痛い。感情がコントロールできず泣いてしまったり怒ったり、深く落ち込み憂鬱になったり……。
授業やバイトにも行けなくなり、精神的にかなりしんどい日々を送った。
この時期をなんとかやり過ごせば生理がくる。
しかし生理がきたらきたで、脂汗が出てうずくまるしかないほどの生理痛、1〜2時間ごとにトイレに駆け込まなければいけないほどの経血量、気絶しそうな睡魔、お菓子ばかり食べてしまう抑えられない食欲……。
なんだか以前より、生理の症状がパワーアップした気がした。
生理が終わると、1週間ほどは普通の状態に戻るものの、排卵の時期からの3週間は絶不調。
友人と予定を入れようにも、不調な時期に被らないか不安で疎遠になった人もいる。
私の生活は、生理を中心に回っていたのだ。
ある日のこと、恋人の何気ないひと言(たぶん些細なこと)に突然怒り狂い、目覚まし時計を壁に投げつけた。
その瞬間「あ、やばいこれ」と我にかえった。物を壊すほど凶暴な別人格が現れたことに私は危機感を抱き、再び婦人科を受診することに。
救世主ヤーズフレックスとの出会い
クリニックでPMS・PMDDと診断され、勧められたのが「ヤーズフレックス」だった。
ヤーズフレックスとは、休薬期間が毎月必要な従来のピルとは異なり、最大120日間飲み続けることができる超低用量ピル。
つまり、年間最大3回の生理で済むという優れものだ。
薬で妊娠中と似たホルモンバランスにすることで、排卵を抑えたり、子宮内膜が厚くなることを防ぎ、痛みなどの症状を和らげられるという仕組みらしい。
ピルを服用してる間は月経がこないため、毎月出血がなくても身体には問題ない、欧米ではスタンダードな方法だと医師から説明された。
漢方や生活習慣の改善だけでは抑えることができなかった私の生理の症状。迷わず、ヤーズフレックスの服用を始めた。
平穏な毎日を取り戻すことに成功
飲み続けてしばらくすると、排卵が抑制されることでホルモンバランスが安定し、PMSやPMDDの諸症状はかなり落ち着いた。
精神的なブレが少なくなり、友人にも「最近性格が丸くなったね」といわれた。生理痛や出血量も減り、ヤーズ フレックスのおかげで無事に平穏な毎日を取り戻すことができたのだ。
ただ120日間連続で飲もうとしても途中で出血が3日続いたら、自己判断で4日休薬する必要がある。
私は2年間ほど飲み続けているが、だいたい2〜3カ月に1回の生理周期。どれくらいの周期になるかは個人の体のリズムによるそうだが、毎月こないだけでもかなり楽だ。
デメリットは?
主たるデメリットは、やはり血栓症のリスク。40歳以上、喫煙者、肥満などに当てはまる場合は、そのリスクが高まるという。
(参考記事:【ピルの基礎知識】生理痛を和らげる「ピル」の飲み方と副作用は?)
血栓症のリスクを高めないために、私は適度な運動と水分をしっかりとり、利尿作用のあるお酒を飲みすぎないようにしている。
あとは、毎月のピル代がかさむこと。病院にもよるが、ピル代は保険適用で毎月2500〜3000円、半年に1度の血液検査、子宮がん検診などを行う。
私の場合、ピルと検診は、スマホやコンタクトと同じくらい必要なものなので、どうにか家計の予算に組み入れた。
薬に頼るのは「甘え」なんかじゃない
生理ってものすごく個人差があるし、そのつらさは数値化できず、目に見えないもの。
だからこれくらいで……と婦人科の受診をしぶることもあるかもしれない。私も実際そうだった。
お腹の痛みや経血の量なんて人と比べないからなかなか異常だと気づけないし、心が乱れるのも自分が精神的に弱いからなんじゃないかとすら思っていた。
友人に相談しても「私もつらいよ、わかる〜」で話は終わる。問題は解決しない。
誰に相談していいか分からなくて、私と同じような症状に困っている人に、ヤーズフレックスの情報が届いてほしいと思う。
薬に頼ることは、誰がなんといおうと甘えじゃないよ。
(※体質によって特定のピルが合わない方もいるので、医師とよく相談してから決めてください)
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■監修者プロフィール
竹元葉(たけもとよう)
産婦人科専門医/医学博士/女性ヘルスケアアドバイザー/妊産婦食アドバイザー
順天堂大学医学部卒はぐくみ母子クリニックに勤務、2019年12月に『sowaka women’s health clinic』を開院。
現代女性の健康意識改善に注力。気軽に相談できる医師をモットーに活動中。