子宮内黄体ホルモン放出システムIUS(ミレーナ)は、婦人科で装着してもらうことができる子宮内避妊器具です。避妊効果だけではなく、子宮内で黄体ホルモンを持続して放出することで、子宮内膜の増殖を抑え、月経量を減少させるとともに月経痛が軽くなります。

illustration:ぷーこ

過多月経や月経困難症と診断された場合には、保険適用となり、生理痛や経血量の多さに悩んでいる人の新たな選択肢にもなります。

しかしながら、IUSについて教えてもらう機会がない。実際どうなんだろう……?ということで今回は、IUSを使用している、NPO法人ピルコン代表 染矢明日香さんにお話を伺いました。

装着済みの友人たちが大絶賛していた

――IUSを装着されているそうですね。

そうなんです。2019年2月に装着しましたが、出血はもうほとんどないです。IUSを入れると1年以内に約20%の人は月経がなくなると言われていたのですが、私は早い方だと思います。今も問題がないか、婦人科に定期検診に通っています。

――なぜIUSを入れることにしたんですか?

私は生理痛がすごく重いわけではありませんが、生理中に貧血やカラダの不調があって。

妊娠する前まではずっと低用量ピルを飲んでいたんです。なので、出産後にピルを再開するかIUSにするかで悩みました。

最長120日連続服用ができる低用量ピル「ヤーズフレックス」もありますし。月経困難症の治療薬で、保険適用なら月1300円ぐらいのものもあると聞いていたので、それもいいなと思っていました。

でも、一番気がかりだったのが、子育てもバタバタだし、1日1錠ちゃんとピルを忘れず飲めるだろうかと。それに、2人目の出産までは、まだ期間をあけたいなと思っていたのでIUSを入れることに決めました。

事前にIUSを入れている友人に話を聞いていました。ほぼ全員が大絶賛しており、自分のカラダに合わなければ、また取り出せばいいかなと。2人目を産みたいと思った時には、また取り外す予定です。

たった数分で装着完了

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――IUSの挿入には痛みが伴うと聞きました。

それが、私の場合は全然痛くなかったんです。子宮頸がん検診より痛くなかった。失神しちゃう人もいるって聞いていたので、覚悟して行きましたが、え、今入ったんですか?くらいの痛みでした。でも、それは稀らしいです(笑)

人によっては、出産よりも痛くて、次にIUSを交換する際は麻酔してもらうと言っている人もいたので個人差がすごくあるんだと思います。

婦人科で装着にかかった時間はほんの数分です。

―――IUSの価格についてはどうでしたか?

私の場合は、月経困難症の保険適用だったので1万2000円ほどで入れられました。最長5年くらいは入れっぱなしでいいと考えると、低用量ピルよりコストパフォーマンスもいいし、入れっぱなしでいいというのは本当にラクだと実感しています。

ピルの方がいい場合も

―― ピルにしかない効果もあるんですか?

子宮内膜が厚くならないだけで、排卵はするので、PMSやホルモンバランスの乱れが気になるならピルのほうが効果的だと婦人科の先生に言われました。そこは悩みましたね。実際カラダのだるい日や肌荒れを感じることはあるので、それを改善したい人にはピルのほうがいいみたいですよね。

――私もIUSを入れたいと思っているのですが、生理用品のレビューができなくなるしなあと。

それもわかります。私は、生理で経血の様子を見て、今の自分はこんな感じだと確認していたので、それがなくなっちゃったのは少し悲しいです。月経カップを使っていたんですが、自分の経血を見るのが好きだったんですよね。終わりかけ経血はにおいが変わったなとか、観察していたので、ちょっと楽しみがなくなったっていうのはあります(笑)。

――月経カップも使われていたんですね。

月経カップを使っている友だちに、人生変わると言われて。当初は値段が高いと思いましたが、試してみることにしました。でも、買ったものの、初めは膣内にうまく入らないし、取り出せなくて、風呂場で汗だくになっていました。

最初は使いこなせなくて、買ったことを後悔してました。でも、せっかく買ったんだからと続けていくうちに習得できました。慣れるまでは3カ月くらい。コツを掴めば、折りたたむ位置も取り出す位置もわかってくる。

慣れてからは入れっぱなしでいいのがラク。経血と皮膚が紙ナプキンにくっつくのが嫌だったので、月経カップに変えたら、ムレずに、サラッとしていられるのも良かった。

――わかります。月経カップが出てこないとき焦りますよね。

もう、このまま一生出てこないんじゃ……とか思っていましたね。そうか、いきむってこういうことか!みたいなね(笑)自分の膣と仲良くなれますよね。

それまであまり自分の膣の中に指を入れる経験がなかったんですが、月経カップを使うことで、指で膣内を確認するため、膣の形状を把握できました。ポコポコしているなーって。

ピルと月経カップで人生変わったと思っていましたが、IUSはそれを超えました(笑)こんなにラクになるのか……!って。

選択肢を知る機会がもっとあってもいい

―― 入れる前に相談できる友だちがいたのは大きいですよね。なかなか情報を入手できる場所がないですもんね。

そうですね。アメリカに留学していた子は、海外だと思春期でも入れられる小さいIUSみたいなのがあって、出産経験がない人でも痛みが少なく入れられると聞きました。大学生でも「私、こないだIUS入れてきた」というような話を普通にしているそうで。

一方、私は出産したあとの避妊指導ですらIUSについて詳しく知る機会はなかったです。もっと教えてほしかったなあと思います。

出産後の赤ちゃんの世話の仕方のレクチャーに少しだけ避妊も入っていましたが、「ピルはすぐに飲めないし、IUS、IUDというのもあるけど、当面はコンドーム」とだけ伝えられましたね。確かに、つけられる期間は決まっていますが、今後のためにもっと詳細を教えてほしいなと。一般の人が知る機会は希少なので。

―― 染矢さんは自分のライフスタイルをどうしたいか、その判断軸でIUSを選択された。どうしても最初の選択って緊張しちゃうんですよね。

そうですね。ただ、もし使ったとしても、合わなかったらやめればいいと思っているので。低用量ピルも最初は不安でした。大学時代に飲み始めましたが、当時は、周りに飲んでる人がいなくて。でも、もしダメだったらまた考えようくらいの気持ちで軽く試してみたら意外と良かった。

徐々に知識を身につけて、改善していきました。自分がラクになれて、納得できるよう、情報に敏感になれたらと思います。

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染矢 明日香 NPO法人ピルコン理事長

慶應義塾大学環境情報学部卒業。民間企業のマーケティング職を経て、性の健康啓発を行うNPO法人「ピルコン」を2013年に起業・現職。若者向けのセクシュアルセミナーやイベントの企画・出展の他、中高生向け、保護者向けの性教育講演や性教育コンテンツの開発・普及を行う。大学生ボランティアを中心に身近な目線で性の健康を伝えるLILYプログラムをのべ200回以上、2万名以上の中高生に届け、思春期からの正しい性知識の向上と対等なパートナーシップの意識醸成に貢献している。その活動は、メディアでも注目され、性教育の社会状況について、マスコミに登場、発信する機会も多くなっている。著書に「マンガでわかるオトコの子の『性』」。

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