「PMS」(Premenstrual Syndrome、「月経前症候群」)とは、月経前に起こる、カラダやココロの不調。婦人科では、月経前〜月経時にかけて不快な症状が3カ月繰り返され、日常生活にも支障をきたすほどの症状がある場合、PMSと診断されます。
どんな症状?
PMSの症状には個人差があります。主な症状は下記の通りです。
■カラダの不調
カラダ全体や一部がむくむ、胸が張る、胸が痛む、肌が荒れる、体重が増える、カラダが冷える、頭痛、腰痛、下腹部痛、眠気など。
■ココロの不調
気持ちが落ち込みやすくなる、イライラする、怒りっぽくなる、涙もろくなる、感情が不安定になる、集中力が続かないなど。ココロの不調の方が強い場合、PMDD(月経前不機嫌症候群)と診断されます。
原因は?
PMSの要因として、女性ホルモン、特に黄体ホルモンの変動が挙げられます。女性は、年齢による女性ホルモンの変化と、毎月の月経のリズムに影響を受けながら生きています。特に女性ホルモンの変動が大きい生理前の時期は、PMSの症状があらわれやすくなります。日本では、若い女性の70~80%が生理の前に何らかの症状を感じていると言われています。
緩和するには?
PMSは、アルコールやカフェインで症状が悪くなるため生理前にはアルコールやカフェインを少なめにしましょう。しっかりと睡眠と休息をとることも大切です。カルシウムやマグネシウムを多く含んだ食べ物をとることもおすすめです。
産婦人科では、漢方や低用量ピルを使って症状を和らげることができます。低用量ピルは排卵を抑え、女性ホルモンの変動を少なくすることで体調やメンタルが安定しPMS症状、とくにカラダの症状を和らげる効果があります。
生理前に体調が悪かったりイライラする方は、ぜひ産婦人科を受診し相談してみてください。生理の前後は、無理をせずストレスなどを溜め込まないように意識することも大切です。不調を感じたら、なるべくカラダを休めて、リラックスできる過ごし方をしてください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。