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家族や友だちにも話しづらい生理の悩み。10代の多感な時期ならなおさら、性に関する悩みをひとりで抱え込みがちだ。

2019年12月某日、ネットと通信制高校の制度を活用した「学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校」(以下、N高)の生徒を対象に、ランドリーボックスとのコラボ企画で「生理と向き合うワークショップ-ひとりで抱え込まない-」を開催した。

参加したのは、N高生徒の女性11名。“ひとりで抱え込まない”というテーマのもと、不安や疑問を互いにシェアし、産婦人科医から正しい知識や対処法を学ぶ機会をもうけた。ワークショップの模様をレポートする。

個人差があるから、悩みが伝わりづらい

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まずは同じテーブルについた3~4人の生徒同士で自己紹介タイム。そのベースとなるのが4マスに区切られた自己紹介シートだ。

① 自分の生理に名前をつけるとしたら?
② 自分の生理を一言で言うと?
③ 生理の失敗談
④ 生理の良い思い出

それぞれが4つの項目に沿って、自分の生理をキャッチーに表現していく。

ある生徒は“大蛇”と紹介。「長期間、生理が途切れず、水泳の授業に参加できなかった」という経験談を話してくれた。ほかにも、生理の重さから“4トントラック”、生理不順に悩まされているため“ロシアンルーレット”と名付ける生徒も。

自己紹介では、「生理痛」「メンタルダメージ」「だるさ・眠さ」「日常生活への支障」を5段階スケールで表したシートも用意。

「生理痛はほとんどないけれど、気分がすごく落ち込む」という生徒もいれば、「生理痛がひどくて動けない」と訴える生徒も。症状に個人差があるとわかった一方で、「それこそが悩みだ」という声も上がった。

「家族は生理の症状が軽い。つらいことをわかってもらいたくても、私ほど重くはないので、難しい」

生理の症状だけでなく、家庭や学校、バイト先など人間関係の悩みには共感する声も多かった。「日常生活への支障」の項目は、ほぼ全員が高い数値をマークしていた。

新しい生理用品との出会い

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会場には、紙ナプキンやタンポンだけでなく、さまざまな生理用品を用意。ランドリーボックス代表の西本美沙が、自身の体験を交えながら解説していく。

最初に紹介したのは吸収型サニタリーショーツ。吸水性のある繊維があらかじめ縫い込まれているため、ナプキン不要のアイテムだ。ただし、「経血量が多い日は、濡れた水着を身に着けている感じになります(笑)。多い日にはナプキンやタンポン、月経カップなどと併用し、そろそろ生理がくるかもという時期や、生理が終わりかけのときならこのショーツだけでも安心」とアドバイス。

次に、サニタリーランジェリーブランド「K+1%」のブラ&ショーツを紹介。一般的に地味なデザインが多いサニタリーランジェリー。ベロア生地とデザイン性の高さに、生徒は「生理でもテンションが上がりそう」と興味津々。

そして、シリコン製の月経カップ。初めて見るという生徒も多く、西本が使い方を説明。いくつかメリットを紹介した。

・経血が外に出ないのでにおいが気にならない
・紙ナプキンのように肌が荒れたりかぶれたりしにくい
・プールや入浴時にも使える。
・繰り返し使えるのでエコフレンドリー

西本自身は、6年前から月経カップを使っているため「経血の状態や、どれくらいの量が出ているのかが目視できる」と、実感を交えて語った。

「生理痛はみんなあるもの」と思わずに婦人科へ

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ここからは、産婦人科医の竹元葉先生が登壇。

竹元先生は2019年12月3日に、東京都・千代田区に『sowaka women’s health clinic』を開院。行きづらいと思われがちな婦人科を身近に感じてもらい、「気軽に相談できる場所を作る」ために尽力している。

まずは生理の基礎知識を学び直す。子宮や卵巣などの位置関係や、卵胞期→排卵→黄体期→月経といった一連の流れ、そのときカラダで起きる変化をスライドで解説。

ちなみに、明治時代の女性の生涯の生理回数は約50回なのに対し、現代では約450回。「時代の変化に伴い、出産回数など女性の生き方が大きく変化した」と豆知識を交えながら話した。

続いて、生理周期・生理期間の話へ。直近の生理が始まった日から、次の生理開始前日までが25~38日、生理期間は3~7日が正常値といわれているが、「10日ほど月経が続き、そのまま排卵期にさしかかり、排卵出血と混ざって2週間くらい出血が続く場合もある」という。

参加者の中には、生理不順に悩む生徒も。竹元先生によると「10代のうちはホルモンの出方が落ち着くまで数年かかり、20歳くらいまで生理不順が続く方もいます。人間はロボットではありません。規則的に生理が来なくても、今はそこまで心配しなくても大丈夫だと思います」と話した。

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続いて、89%の女性が経験しているという「生理痛」の話題へ。

生理痛の要因と考えられているのは、子宮の収縮を促すプロスタグランジンという物質。これによって起きるひどい生理痛は機能性月経困難症と呼ばれる。

一方、子宮内膜症や子宮筋腫など病気が原因のものは、器質性月経困難症と呼ばれる。この場合、不正出血や重い生理痛といった症状が見られることも。

「子どもがほしいと思ったときに病院へ行き、初めて病気に気づく人もいます。『生理痛なんてみんなある』と思わずに、自分の人生設計のためにも生理で困っていることがあれば、病院に来てください。治療のための選択肢を医師から提示できると思います」(竹元先生)。

すべては「P」のせい!? 自分を責めないで

続いて、今回の参加者でも多くの人が悩まされているPMS(月経前症候群)の話に。

PMSとは、生理が始まる3〜10日前から起こる不快感のこと。乳房の張りや痛み、下腹部の張りといったカラダの症状と、イライラ、気分が落ち込むなどの心の症状に分けられる。

この原因とされるのが、排卵後に増加するプロゲステロンというホルモン。竹元先生は「生理前の症状はすべて『P(=プロゲステロン)のせい!』と覚えていてくださいね(笑)」と笑いを誘いつつ、ひとりで抱え込んだり自分を責めたりしないようにと生徒に伝えた。

次に、PMSや生理痛の対処法を紹介。

病院では痛み止め、漢方、低用量ピルなどを処方されることが多い。医師と相談しつつ、自分に合った治療法を探すのがベストだ。

自分でできる対処法として、まずはカラダを温めること。「プロスタグランジンが血管まで収縮させてしまい、骨盤まわりの冷えに繋がることも。それがだるさに表れることもあります」。血流を良くするという点では、適度な運動も効果的なのだとか。そして、次の生理やPMSへの備えとして、自分の周期や変化を記録することもアドバイスした。

優しく気遣ってくれる男性も

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生理の知識や対処法について詳しく学んだあとは、「生理痛」「PMS」「メンタル」といった悩み別のグループに分かれて生徒同士でトークした。

「メンタル」のテーブルでは、周囲の理解を得づらいという意見に共感が集まった。

なかなか生理について学ぶ機会がないため異性からの理解が難しいという話もよく聞くが、「同性よりも異性のほうが優しくない?」との声に、皆が大きくうなずく場面も。

「ある男性が、元恋人が生理痛が重かったらしく『休んでくる?』と気遣いの声をかけてくれた」

「彼氏が『こうするといいらしいよ』と自主的に調べてくれた。自分よりも詳しくなっていて驚いた(笑)」

一方で、生理がある人は皆理解しやすいかというと、そうでもないという話題もあがった。

「女性は自分が基準になるので、症状が軽い人から『なんで?』と思われる。男性より女性の理解を得るほうが難しいと感じるときがある」

結果、ひとりで抱え込み「自分の心と身体がリンクしていなくてすごく落ち込む」こともあるという。

学校のレポート提出時期と被ってつらかったという経験や、生理前になるとSNSがネガティブな発言ばかりしてしまう“病み垢(病みアカウント)”化するというエピソードも飛び出した。

苦悩の一方で、その時期をどう乗り越えるか、それぞれの体験もシェアした。ハーブティーを楽しむ、好きなことをやる、エステなど自己投資の期間にする、信頼できる人に話す……。それぞれの生理ハックに、明るい表情で耳を傾ける生徒の姿が印象的だった。

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グループワークの最後は、「自分へのメッセージカード」をそれぞれ3枚記入した。1枚目は、今日のワークショップを経て「大切にしたいこと」。2枚目は「つらいときの自分へ」。そして最後に「未来の自分へ」。

これから多くのことを学び、いろいろな人と出会うなかで、今回のワークショップの記憶は少しずつ薄まっていってしまうかもしれない。

それでも、もし女性特有の問題で傷ついたり、悩んだり、ひとりで抱え込みそうになったときには、ふと見返してみてほしい――そんな思いで用意したものだ。

後編では、「竹元先生への14の質問」を公開します。お楽しみに!

ランドリーボックスでは今後も、学生向け、大人向け「生理やカラダのワークショップ」に取り組んでまいります。教育機関、企業の人事担当の方などご関心ございましたら、こちらまでお問い合わせください。

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