【お悩み】
50代です。更年期に入り、目の乾きがひどくなってきました。特に仕事でパソコンを見るときがしんどく、夏の時期はエアコンの風もつらいです。おすすめ養生を教えてください。
エストロゲンの減少が、目の乾きにも影響を与える
一般的に更年期とは閉経を挟んだ前後10年(45歳~55歳頃)のことを指します。
この時期はホルモンバランスの乱れによって、さまざまな不調が出てきますが、目の乾燥もお悩みの人が多いですね。
そもそもドライアイの主な原因に涙の量が少ない、ストレス、加齢、コンタクトレンズの装着、PCやスマホなどデジタル機器の長時間使用、画面を凝視することによるまばたきの減少、空気の乾燥などがありますが、更年期のホルモンバランスの乱れもドライアイの原因になることがあります。
女性は更年期になると卵巣機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。潤いホルモンであるエストロゲンが減少し、目の表面が乾燥することで、ドライアイが生じる場合があります。
更年期のドライアイは、同じ頃に始まる老眼と重なると眼精疲労にも繋がってきます。
ドライアイは「肝」と「腎」の潤い不足が原因
では、東洋医学的な観点から更年期のドライアイを見ていきましょう。
東洋医学で、「肝(かん)は目に開竅(かいきょう)する」といい、目と密接な関係を持っているのは血の貯蔵庫である「肝(かん)」。
肝で蓄えられた「血(けつ)」は、大切な「目の栄養源」になり、目を使うと血(けつ)が消耗されます。
普段から夜ふかししたり、目を酷使する習慣があると栄養が十分に行き渡らず、ドライアイや眼精疲労、かすみ目などさまざまな目のトラブルが起きやすくなります。
もう一つの原因となる臓腑が「腎(じん)」です。
東洋医学では腎は生命力や泌尿器、生殖器、ホルモンなどを司り、身体の潤いにも大きくかかわっている臓腑です。
腎は加齢や過度なストレスや疲れ、睡眠不足などの影響を受け、日々消耗しています。
この腎が弱っていくことで体の潤いも減っていくので、肌の乾燥や目の乾燥、口の乾きなど全身の乾燥や潤い不足に繋がっていきます。
特にこの更年期のドライアイや乾燥の状態のことを東洋医学では「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」と言い、この肝と腎の血と潤い不足が原因と考えられています。
肝腎陰虚のチェックリスト
この肝腎陰虚の体質の人は下記の症状が見られます。
□ドライアイ、かすみ目
□手足のほてり
□ホットフラッシュ
□めまい
□耳鳴り
□寝汗
□不眠、眠りが浅い
□足腰がだるい
□全身の乾燥感
□髪が細く、抜けやすい
上記の中で3つ以上当てはまった人は肝腎陰虚の可能性が高いでしょう。
ドライアイのおすすめ養生
では、更年期のドライアイ(肝腎陰虚体質)の対策を見ていきましょう。
まず、食事は肝の血と腎の潤いを補う食材を摂りましょう。
➀肝の血を補う食材
黒豆、小豆、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜、人参、黒きくらげ、イチゴやブドウなどのベリー類、なつめ、肉類など
②腎の潤いを補う食材
黒豆、黒ゴマ、ひじき、牡蠣、イカ、ホタテ、山芋、長芋、クコの実、すっぽんなど
次に生活養生をご紹介します。
・PCやスマホ、テレビなどの目を酷使する活動時間を最小限に
・睡眠を大切に
・考えても仕方ないことは考え過ぎない
・激しい運動や岩盤浴など過度に汗をかきすぎない
・予定は詰めすぎず、余裕をもって生活する
・散歩や軽いストレッチなどで、適度に身体を動かしてストレス発散
・疲れやストレスを溜め過ぎない
これらを日々、意識しましょう!
ドライアイにおすすめのツボ
最後にツボ押し養生をご紹介します。
『三陰交(さんいんこう)』
脾、肝、腎の3つの経絡を元気にしてくれるツボで、足の内側、くるぶしの一番膨らんだ部分から指4本分上の大きな骨(脛骨)のキワのところにあります。
ゆっくり息を吐きながら静かに押して、息を吸いながら離します。じんわりと押して気持ち良い強さで1度に5回程度押してください。このツボ押しは毎日コツコツ続けることが大切です。
根本的な改善のためには、毎日コツコツ
更年期は男女ともに、誰にでも訪れます。
しかし個人差があるため、なにも影響なく過ごせる人もいれば、大きな不調に見舞われてしんどい人もいます。
今回お伝えした養生法はドライアイにはもちろんですが、それ以降元気にはつらつと生きていくためにも大切な養生法です。
何より大事なのは続けること。目薬をさせば一時は楽になるかもしれませんが、
根本的に改善していくには毎日コツコツ続けていきましょう。
その先の未来が、きっと明るくなると思います。
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