
【お悩み】
45歳になり、更年期の症状を感じ始めました。めまいなどの他に、髪の毛の変化があります。元々くせ毛なのがくせが強くなり、ハリやコシもなくなって髪の毛の元気もなくなってきたように感じます。
普段の生活からできる養生を教えてください。
「腎虚」により、髪のくせが強くなる
ご相談者のようなお悩みもとても多くあります。
中医学では、『髪は血の余り』『髪は腎の華』と言われ、髪のトラブルは「血」に加え、ホルモンなど生殖や老化に関係する五臓の「腎」に問題があると考えます。
特にご相談者の場合は、年齢的にも後者の『腎』との関係が深くなってきます。
加齢によって腎の精が衰えることを「腎虚(じんきょ)」と言い、腎虚になることでくせが強くなったり、ハリやコシもなくなって、髪の元気さが失われます。
最近ではストレスや睡眠不足など生活習慣の乱れから、腎の力が弱くなり髪の毛のトラブルで悩んでいる若い人も増えています。
生殖系やホルモン系をつかさどる「腎」
中医学で言う「腎」は一般的な腎臓とは少し違い、生殖系やホルモン系、生命力などをつかさどっていると考えられています。
その腎の働きが弱ったり、衰えることを「腎虚(じんきょ)」と言い、わかりやすい言葉に変えると『老化』にあたります。
腎虚が進むとホルモンバランスの乱れや老化の促進、若白髪、薄毛、髪の毛が細く、元気がなくなるなど老化現象が見られやすくなります。
もちろん髪の毛だけでなく、全身の不調にも繋がってきます。
それでは自分が腎虚かどうか判断してみましょう。
《腎虚チェックリスト》
以下の当てはまる項目に☑をつけてください。
□白髪、抜け毛が増え、薄毛も気になる
□髪の毛が細く、切れやすく、元気がなくなってきた
□疲れやすく、根気が続かない
□足腰が痛い、だるい
□耳鳴り、耳が遠くなってきた
□小さな文字が見にくい(老眼)
□皮膚が乾燥し、シワが増えてきた
□歯や骨が弱い
□トイレが近い、残尿感がある
□性機能が低下してきた
□物忘れがひどくなった
□手足が冷える、または反対に火照る
いくつ当てはまりましたか?
5つ以上当てはまる人は、腎虚の症状は進んでいると考えられます。
ではどうすれば改善するのか、説明していきます。
腎虚を改善する食べ物
①黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、牡蠣、シジミ、海藻類など「黒く鹹味((塩からい)のもの」

②くるみ、松の実、アーモンド、ピーナッツ、ナツメなど「木の実類」

③山芋、銀杏、エビ、ニラ、椎茸、ラム肉、ウナギ、シナモンなど「体を温めるもの」

これらを積極的に食べましょう。
また、紅茶、チャイ、お味噌汁などの温かい飲み物や汁物で体を温めて、ホッとする時間を作りましょう。
腎虚を改善する生活習慣
①体を冷やさない
腎は冷えにとても弱いです。
特に腎のある腰回りや冷えやすい足首を冷やしてしまうと腎を弱らせ、腎虚を進めてしまいます。
冬場は腰にカイロを貼ったり、冬以外も腹巻を巻くなどで体を冷やさないようにしましょう。
⓶たくさん歩き、足腰を鍛える
腎と足腰は深い関わりがあります。
たくさん歩いて丈夫な足腰を作ることが補腎(腎を補うこと)に繋がります。
歩くのがしんどい人や時間が取れない人は、最近流行りの「かかと落とし運動」もおすすめです。
両足のかかとを上げ、ストンと落とすだけです。
この運動も腎と関係の深い「骨」を鍛えることになり、補腎に繋がります。
どちらもやり過ぎず、適度に行ってくださいね。
③冷たいもの、生もの、脂っこいもの、刺激物は控えめに
④極端なダイエット、朝食抜き、偏った食事は厳禁
⑤疲れやストレスは溜め過ぎない
腎虚におすすめのツボ
① 太渓(たいけい)

腎精を補うのにおすすめのツボ。
内くるぶしとアキレス腱の間のへこみを押して、指先に動脈の拍動を感じるところにあります。
優しく押したり、お灸をしたりするのがおすすめです。
②腎兪(じんゆ)

その名の通り、腎の働きを高めるツボ。おへその真後ろの「命門」から両わきへズレたところにあります。
指圧して気持ちよさを感じるところを優しく押しましょう。カイロ等で温めるのもおすすめです。
髪の毛と関係している「腎」は日々消耗していくものです。
そのため、一朝一夕で結果の出るものでなく、毎日コツコツ養生することで、徐々に改善していきます。
中医学の養生はすぐに結果も出ず、長い道のりに感じるかもしれません。
ですが焦らず、毎日少しずつ養生することで髪の毛の質やトラブルが改善するだけでなく、アンチエイジングや健康長寿にも繋がります。
毎日コツコツ続けていきましょうね。
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