閉経ーー。
もう生理がこなくなる。あの煩わしかったものから解放されるのはどんな気分なのだろうか。
寂しさを感じる人もいるし、第二の人生としてこれからが楽しみという人もいる。同時に更年期障害の辛さもあると聞く。
この連載では、閉経について、経験者に語ってもらう。
今回は45歳で閉経した60代前半の方です。
45歳で閉経、「心底悲しかった」
私は45歳の時に閉経しました。当時は身長164センチ、体重50キロあるかないか。たしかに痩せ形ではありましたが激やせしていたわけでもないですし、フィットネスクラブに週4ペースで通って運動してました。
健康には気を遣っていたのに、45歳という若さで閉経してしまったことが不思議でした。そして本当に残念な気持ちでいっぱいになったので、かかりつけの内科へ行きました。
しばらく血液の循環を改善する漢方薬を飲みました。でも月経が再開する兆候はまったく見られず……。「閉経したと思っても一時的なことかもしれないから半年間くらいは様子を見て」と言った医師を信じました。
しかし、どんなに待っても月経は起らなかったのです。「閉経が早いと老化スピードが速くなるから気をつけるように」と医師から言われ、それは心底悲しかったです。
閉経前後の更年期で私が感じたのは異常なだるさと発汗、そしてイライラです。漢方薬を飲んでいても発汗と突然のイライラが苦しかったです。
時に喉にも違和感が出て固形物が飲み込みにくくなり、意味もなく不安にかられて…。人との交流も面倒に感じて人を避けるようになってしまったことも。
これは更年期の症状を通り越して更年期障害だろうと思い医者に相談したところ、まさにこの症状が更年期障害そのものでした。それがわかったとき今までモヤモヤしていたのが腑に落ちたことをはっきり覚えています。そこから更年期障害の治療が始まりました。
更年期のイライラで仕事も続かず、収入が安定しない日々
私はシングルマザーなんです。更年期障害でひとつの職場が長続きしなかったため収入が安定せず困りました。
この頃はこどもがまだ学生でお金がかかっていた頃だったのでなんとかして仕事を長く続けて安定した収入を得たかったのですが、どんなに頑張っていても最後はイライラから短気を起こしてしまいその流れで退職しました。
後先考えず「とりあえず明日から職場へ行きたくない」という考えを押し通して、良くない辞め方をしてしまいました。
ふつうは1日休んで気を落ち着けるのでしょう。当時の私はイライラがマックスに達すると、一旦休むという考えができず、いきなり辞める方向に向かっていたので周りも困惑したと思います。
家族にもさんざん迷惑をかけました。私が仕事を辞めるたび「またか…」という感じでしたから。家の中の雰囲気も悪かったですよ。
レディースクリニックに行った日から症状が改善
いくつかの病院へ行って症状を訴えました。ひとつは先述したかかりつけの内科です。そこの医師は漢方に詳しくて専門ではないけれど見立てが良いのです。
私の訴えがたくさんあったから医師も困って漢方の処方をいろいろ変えていたのですが、その医師の見立てが悪かったのではなく、私が更年期障害だったから漢方薬ではどうにもならなかったということだったのです。
カラダと心の苦しみをなんとかしたいと毎日思っていました。漢方薬を3種類出してもらっても、イライラが治まらない、眠れない、食べられない日があって体重が減っていき、限界に達した頃レディースクリニックへ行ったのです。
レディースクリニックでは採血と内診をしました。血液から女性ホルモン量がどれくらい減っているかがわかります。そこでホルモン療法がスタートしました。内服薬と腕にホルモン入りジェルを毎日注入。
これをはじめたその日にイライラと発汗が治まったのです。
寂しさを感じた閉経も、いまは前を向くことができる
閉経は実に寂しく残念なモノでした。月経が始まったのは中学生の頃で早くもなく遅くもありません。だから一般的な閉経の年齢までは当然月経があるモノだと思っていたのに、45歳で閉経だなんて情けないやら悲しいやら……。
カラダだって大きい方なのに、健康のためにフィットネスクラブに通ったり、サウナに入る習慣もあったのに何かの間違いじゃないかと思いました。
だけど落ち込んでいるだけではダメなんですよね。カラダは常に変化しているから数年閉経が早くなっただけと考えることにして、これまで以上に自分のカラダと向かい合うことにしたのです。
ホルモン療法でカラダと心がラクになったから、前を向くことができているんだと思います。人生はまだまだ続くのだから、自分のカラダを可愛がることを意識しています。
私にとって生理という存在はありがたいものでした。生理痛に悩まされることもなく、生理があった頃はイライラもモヤモヤもありませんでした。シングルマザーとして生きていくのは大変でしたが、それでも生理があった頃は頑張れたんです。そして頑張っている自分が大好きでした。
面倒だから生理なんてこなくていい、という女性もいますが、完全に閉経してみれば寂しい気持ちもわかると思います。
ランドリーボックスでは特集『#閉経エトセトラ』を始めました。
約40年、向き合ってきた生理。
そういえば、初潮はお祝いされるけど、なぜ閉経は祝わったり、お疲れ様と伝える機会がないんだろう。
欧米では、閉経や更年期を「change of life」と言うらしい。
人生の転機。
閉経を迎え、生理の煩わしさから解放されたと喜ぶ人もいれば、女性が終わるようで寂しいと感じる人もいる。
でも、ただ一言「お疲れさま」と自分と向き合うきっかけがあってもいい。
ありがとう、私のカラダ。これからもよろしくね。
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