ダメだ。もう耐えられない…。

あの日私は夜中の2時に腹痛に耐えかねて夜間の救急外来に駆け込んだ。

「いつも生理痛はひどいタイプ?」

「血の量は多い方?」

「いつも2日目が一番痛む?」

医師からこんなような質問をたくさんされた。

私は心の中で(どうでもいいから早くこの痛みを取って!!もう緊急手術でもなんでもいいから!早く!)と思いながらすべての質問に答えていった。

鎮痛剤を飲んでも脂汗が出るほどの痛み

私の生理痛がひどくなり始めたのは1年半ほど前からだった。もともと生理痛はないタイプで胸が少し張る程度だったが、それがどうしたことか徐々に生理痛がではじめた。

最初は「痛み」というには大げさなほど軽い違和感を下腹部に覚える程度のものだった。

「これが生理痛か。世の中の女性は大変だ」なんて他人事のように思い、楽観視していた。

しかし次の生理を重ねていくごとにどんどん下腹部の痛みは強くなる。

横になっても痛みは治まらないし、市販の鎮痛剤じゃ全然効かない、額には脂汗。

「なんかおかしい…」

そう思って生理痛のことで初めて婦人科を受診したのが1年ほど前のことだ。

産婦人科では「異常なし」

最初に行った地元に1軒しかない産婦人科では、内診とエコー検査をしてもらった。

しかし生理ではない日に行ったためかなにも異常は見当たらず、次の生理のときに使ってとロキソニンを渡されただけだった。

(異常はないのか…じゃあ生理痛がひどいタイプってことなのかな…)

(でも毎回こんなに辛いなら仕事にも行けないじゃん)

そんなことを考えて、頭の中はいつも次の生理におびえていた気がする。

次回は痛みがある生理中に産婦人科に行って診てもらうことにした。

その日の生理痛も、やはり薬を飲まないと激痛だった。

「とりあえず診てみましょう」

そう言って内診と超音波検査、血液検査までしてくれたが、やはり結果は異常なし。

私はがっかりした。

こんなに痛いのに原因がわからない。病名がわからないから治療法もないことに本当にショックを受けた。

(やぶ医者かもしれない)

失礼だがそう思ってしまった私は、隣町の大きな総合病院や個人でやっている評判のいい産婦人科医など、合計で5軒は回った。

でもどこの産婦人科でも異常はなし。なんだか「対して痛くないのに大げさな人」と思われている気がして、虚しくなって何度も泣いた。

結局痛み止めで対処するしか方法はなかった。しかし痛み止めも効かなくなってきて、ロキソニンからボルタレン、座薬のボルタレンへとどんどん強いものに変えていった。

救急外来で「子宮内膜症」と診断

しかし座薬のボルタレンですら抗えない痛みに襲われ、私は、医大の夜間の救急外来に駆け込んだのだ。

医師は問診や超音波検査などをしたあと私にこう言った。

「子宮内膜症の疑いがあります。」

…子宮内膜?…疑い?

頭の中が痛みと「?」でいっぱいだった私に医師はこう続けた。

「子宮内膜症とは子宮内膜が子宮以外の場所で増殖する病気です。疑いと言ったのは実際に中を見てみないと判断できないからです」

私は医師に「どうすればこの痛みはなくなりますか」と聞いた。

医師は「治療法は手術をするか低用量ピルで様子をみるかの2種類がありますが、すぐに妊娠を望まないならまずは低用量ピルで様子をみてはいかがでしょうか」と言った。

結婚はしていたが、子どもはすぐにでも欲しいわけではなかったし、なにより手術は怖かったので低用量ピルというものを飲んでみることにした。

やっと病名らしい病名が与えられたこと、ようやく痛みから解放されるかもしれないことが嬉しくて、痛み止めの点滴をしている間、看護師さんにバレないように静かに泣いた。

ピルを飲み始めて数カ月、痛みはなくなった

生理が終わったあと早速ピルを飲み始めた。医師が言うには、ピルには相性があるためもしかしたら吐き気や体重増加などの副作用がでるかもしれないらしい。

でもピルの種類は本当にたくさんあるから、もし今回のピルが合わなくてもほかのものを探せばいいとも言っていた。

しかしあの辛い生理痛から解放されるなら、副作用なんてどうでもよかった。

私は幸い処方されたピルが合っていたようで、とくにこれといった副作用もなかった。

そしてピルを飲み始めてから初めての生理がやってきた。

…まだ痛い。痛いじゃん!

でも、処方してもらったロキソニンを飲むと楽になる程度の痛みだった。こんなに痛みが軽い生理は久しぶりだった。

たった1シートのピルを飲んだだけでこの効き目なら、次からはもっと生理痛が軽くなるんじゃ……?

読みは当たった。生理痛は、生理が来るたびに軽くなり、3、4回目の生理のときには痛みはもう消えていた。

あんなに生理痛のことで悩んでいた日々が急にバカらしく思えた。

生理痛に悩んでいるすべての人へ

Photo by まぐ / Laundry Box

「生理痛はよくあること」と鎮痛剤を飲みながらやり過ごしている人も少なくない。でも、今回の私がそうだったように、思わぬ病気が潜んでいることもある。

ピルと聞くと「避妊薬」というイメージを持つ人もいるかもしれない。私自身もピルに対する認識はその程度だったから。

しかし、あの憎い生理痛から解放された今、ピルには感謝しかない。

ピルがもっと女性たちにとっての身近な存在になってくれたら、生理痛やPMSで悩む人も少なくなるんじゃないか。そう思わずにはいられない。

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