誰よりもわかっているようで、意外と知らない自分の身体のこと。自分の身体といえど、年齢や環境とともに変化も出てきます。

これまで性交痛を感じたことがなく、セックスの悩みとは無縁だったというEさん(52)は、50代を超えてから濡れにくくなり、パートナーとの性生活にも変化が出てきたといいます。

知らない感覚に戸惑いつつも、婦人科の医師に相談しながら潤滑ゼリーやプレジャーアイテムを使ってみたり、状況を改善する方法を模索してきたEさん。

現在はパートナーとお互いを労わりあうセックスができるようになりました。

Eさんがどうやって自分の身体とパートナーと向き合ってきたのか、お話を聞きました。

50代を超えて初めて経験する性交痛。セックスを避けるようになってしまった

photo by Kinga Howard on unsplash

ーーEさんは、年齢の変化に伴ってセックスのお悩みが出てきたんですよね。詳しくお聞かせいただけますか?

そうなんです。私は今52歳ですが、50代に入ってから目に見えて身体に変化が出てきました。以前より濡れにくくなって性交痛を感じるようになったり、気分のムラも激しくなったりしてきて。

彼も、年齢を重ねるにつれて中折れしてしまうようになり、セックスがだんだんうまくいかなくなってしまったんです。

ーーパートナーの方も同年代の方ですか?

はい、私と同い年です。お付き合いを始めて6年になります。お互い一人暮らしの単身世帯で、仕事が忙しいときやバタバタしたときはイライラしやすく、性生活にも影響が出やすくなりました。

ーー付き合いが長い分、以前との違いを感じて余計悩んでしまいそうですね…。Eさんは、性交痛は今まではあまりなかったのですか?

それが、一切なかったんですよ。

友人から「セックスが痛い」という話を聞くたびに、「痛いって何……?」と不思議に思うくらい、私には無縁なのかなと思っていたんです。

50代になってから、「あれ、なんだか今日は濡れづらいな、疲れ気味だからかな?」と思っていたら、だんだんそれが頻発してきて。「私にもついにきたか!」と思いました。

ーー今まで未経験だったところから痛さを感じるようになると、セックスをすること自体が怖くなってしまいそうですね。

そうなんです。裂けるような痛みがありました。

多くの人がこんな痛さを経験していたのかと驚きましたし、以前は普通にセックスできていたのに、なんで?と戸惑いました。

気分的にはしたくても、濡れる量が少なくて痛いので、一度痛みを経験してからは彼に誘われてもやんわり断るようになってしまいました。

でも、断ると彼が「最近避けてるよね?俺のせい?」とさみしそうにしょんぼりするんですよ……。彼が悪いわけではないから、申し訳なくてつらかったです。

婦人科の医師や友人たちに相談し、潤滑ゼリーとプレジャーアイテムを取り入れてみた

photo by IFONNX Toys on unsplash

ーー濡れにくくなったことに対して、なにか改善策を試してみましたか?

はい。もともと、更年期障害の診断のために婦人科に通っていたので、医師に相談しました。

医師からは、「潤滑ゼリーを使うといいよ」と教えてもらいました。

私、恥ずかしながらこの歳まで潤滑ゼリーとローションの違いを知らなかったんです。ローションは今までプレイの一環として使ったことがあったんですが、潤滑ゼリーのことは初めて知りました。

潤滑ゼリーとローションの違いはこちらの記事で紹介しています。

セックス用?プレジャー用?目的別の潤滑ゼリーの選び方を徹底レクチャーします

ーー似ているようで全く違うものなんですよね。初めて潤滑ゼリーを使ってみることに対して、Eさんもパートナーも抵抗はなかったのですか?

抵抗はなかったですね。

私も彼も、潤滑ゼリーを使うことでお互い楽しい時間が過ごせるなら、全然マイナスではないよねという考え方でした。

周りの友人に相談してみたときも、潤滑ゼリーの話題になったので、みんな使っているんだなと安心感がありました。

友人の中には、同じく更年期に入ってから濡れにくくなったけれど、ホルモン治療をしたら痛みが緩和されたという人もいたんです。

でも、私は体質的に血栓ができやすいのでホルモン療法はできなくて。代わりに漢方薬を処方してもらって飲んでいます。

先生は、「濡れるようにすることは全然だめなことじゃないんだから、いろいろ併用したらいい」と言ってくれました。

(編集部注:性交痛緩和の方法は人それぞれです。医師に相談し、自身の身体にあった対応をとることをおすすめします)

ーー婦人科で相談する以外に、Eさんが試してみたことはありますか?

……私、今までずっとクリ派じゃなくて中派だったんです。

でも、クリトリスだけで気持ちよくなれれば、彼が中折れしてしまっても、挿入時に痛くなっても大丈夫だと思ってプレジャーアイテムを使って開発を始めました。

ーーなるほど……!挿入でお互いがイく以外の方法を探ったんですね。効果はありましたか?

ほんとにもう、びっくりするくらい!初めてクリトリスでもイけるようになりました。

あれだけ濡れにくいと思っていたのに、セルフプレジャーをするようになったら潤いも出てきたんです。もっと自分で気持ちよさを求めてみようと思うくらい、気持ちが前向きになりました。

私が使っているアイテムはウーマナイザーなんですが、10〜15年前と比べると今は本当にいろいろなアイテムがありますよね。

ーーそれまではアイテムを使うことはあまりなかったのですか?

なかったですね。

でも、一度友人が「最近のアダルトグッズはいいらしいよ」と、アダルトグッズのサロンを自宅で開いているマダムのところに連れて行ってくれたことがあるんです。

当時はセックスの悩みがなかったので、「こんなものもあるのね」としか思っていませんでした。そのときマダムに「彼や旦那に気持ちよくしてもらおうとしなくていいのよ、アメリカじゃ女性がプレジャーアイテムを使うのは当たり前なんだから」と言われたんです。

セックスに悩みだしてから、不思議とその言葉を思い出して、自分でなんとかしてみようと思えました。

身体の変化に向き合う方法を模索する中で、一番の解決策は対話をすることだった

photo by lucas-cleutjens on unsplash

ーーアイテムは、パートナーと使うのではなく一人で使っているんですか?

はい、一人で使っています。でも、クリ用のアイテムを使い始めたという話はしました。

そうしたら、「中じゃないとだめだと思ってた!」と彼のプレッシャーも軽くなったみたいなんです。

中でも外でもイけるようになったことで、自分が中折れしても他の方法で気持ちよくしてあげられるんだと彼も気が楽になったみたいです。

ーーそれはお互いにとってポジティブな変化ですね。

そうですね、セックスは挿入することだけが全てじゃないと思えるようになりました。

お互いの気持ちのいいところでなにかができたらいいな、という方向に意識が変わったんです。

私たちはもともと、セックスに関してオープンで、いろんな話をしてはいたんです。でも、濡れにくくなったことも、彼が最後までイきづらくなったことも、年を重ねたことによる身体の変化だからなかなか言い出せなくて。それが原因ですれ違いが起きてしまっていました。

ーーすれ違いの状況から再びセックスの話ができるようになったきっかけはなんだったんですか?

セックスの最中に、お互い今日はなんだかだめだねって中断してベットでゴロゴロしていて、どちらからともなく「そういえばさぁ、最近うまくいっていないよね」と自然に話が出たんです。

お互い、このままじゃよくない、どうしようかと思っていたんです。

でも、デリケートなことだからお互い言われたくないことだよなと思って言い出せずにいて。

ーーお互いを気遣うがゆえにすれ違ってしまっていたんですね。

正直、彼が最後までイけなくなってしまったのは私のせいなのかなって思っていたんです。

でも、それを打ち明けたら「それはないよ」と笑いながら言ってくれました。「お互い歳だよね、きっと年齢的にそうなる時期なんだよ」って。

彼も、最近自分の衰えを感じていたことを話してくれました。

そうして思っていることを話し合うことで、お互いが無理をせずに労わりあえるようになったんです。

挿入でイくことだけがセックスだと思っていた。今では労わりあうセックスができるように

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ーー労わりあう気持ちは、セックスのどういうところに現れますか。

例えば、彼が中折れしたときは休憩タイムにします。

中折れしている状態で無理をさせるよりは、ゴロゴロしながらなんでもない話をしたり、元気になるのに時間がかかりそうだったらお茶を飲んだり、ゆったりするんです。

そうしたら、彼も無理せずに「ちょっと今日は元気ないかも」と自分から言ってくれるようになったんです。おかげで気まずい空気もなくなりました。

それに、彼が前より前戯に時間をかけるようになりましたし、彼のプレッシャーがなくなったことで中折れする頻度も減ったんです。

今までは、気持ちよくなれるのが中しかないとお互い思っていたので、「中じゃなきゃだめだ!」という固定観念がなくなったのがよかったんだろうなと思います。

「もしだめだったらだめだったで別にいいよね、そういうときもあるさ」くらいに軽く考えられるようになりました。

ーーお互いが、挿入の刺激のみでイくことがセックスだという意識から解放されたんですね。

彼が最後までいくだけがセックスじゃない、お互いが楽しくて気持ちよければいいし、抱き合っていられればそれでいいんじゃない?と思えるようになりましたね。

年齢的に子どもが欲しい気持ちもないので、今は、この年齢でパートナーとセックスができること自体が幸せだなと思えます。

ーーパートナーの方に悩みを相談したり気持ちを伝えているからこそ、問題が解決できたんですね。

実は、今の彼の前に付き合っていた彼は超俺様タイプだったんです。普段もそうだし、ベッドの上でも超俺様で、俺がしたいときにセックスする、俺がしたくないときはしない、前戯も短くて俺が気持ちよければいい、みたいな性格の人だったんですよ。

ーーえぇ、そんな過去が。

彼は私の6つ年上で、付き合ってる頃に何回か中折れするようになったんです。

そしたら突然「俺、しばらくセックスしないから」と言い出して、半年以上セックスしなかったんです。

だから、当時は身体の問題に向きあう以前に、私から要望なんて言えない環境でした。

その経験があるからこそ今の彼とお互い正直に話ができることのありがたみを感じますね。

女性も気持ちのいいことを自分で求めていい。痛みも気持ちのいいことも、我慢しないで楽しんで

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ーー性の悩みを話せることや相談できることって大事ですよね。しかし、パートナーや、友達にも相談しづらいという声もよく聞きます。

そもそも、女性がセックスや性の話をするだけでもタブーという雰囲気もまだまだ感じます。

私はたまたまいい婦人科医に出会えましたし、性の話ができる友人たちもいたから、そこまで深く悩まずに済みました。

潤滑ゼリーやプレジャーアイテムを使う選択肢があると知っているだけでも、全然違うと思うんです。

女性が性のアイテムを買うなんて、と白い目でみられるとか、パートナーに要望を伝えると男のプライドが傷つけられるとかよく言いますが、女性も、気持ちいいことを自分で求めていい。

ーー自分の気持ちいいところを知ることも、逆に嫌なことを嫌だと言えることも、自分の身体のことを知ることですからね。

セックスの悩みや不満って、相手に自分の不満を押し付けてしまう人もいると思うんです。

でも、なんでそんなに相手に求めているんだろうと思います。

女性も、自分でもお互いにでもアイテムを使って気持ちのいい部分を見つけられたらいいセックスができるようになるかもしれない。

ーーセックスにおいて女性が主体的になることで、男性も、「自分が気持ちよくさせなければ」というプレッシャーから解放されますね。

そうです。女性は受け身になりがちだけど、痛さも気持ちよさも、我慢することじゃないと思います。

もっと楽しいセックスができたら、もっと気持ちよくなれる。

楽しまないともったいないような気がするんですよ。これからまた年齢を重ねるにつれて、今対処している方法だけじゃ間に合わなくなるときがくるかもしれません。でも、そうなったときに対処できる方法で楽しめればいいよねと思うと、すごく気が楽ですね。

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