世界的に人気の生理追跡アプリ「Flo」を提供するFlo Healthと、GoogleおよびMetaが、ユーザーの機微な健康データを無断で共有したとして訴えられていた集団訴訟で、GoogleとFlo Healthが和解に合意した。和解金の総額は約5,950万ドル(約60億円)にのぼる。ロイターなどが報じている

和解金はGoogle約48億円、Flo約8億円

9月24日、サンフランシスコ連邦地方裁判所に提出された和解案によると、GoogleとFlo Health、そしてすでに廃業したモバイル分析会社Flurryの支払い内訳は以下の通り。

  • Google: 4,800万ドル(約48億円)
  • Flo Health: 800万ドル(約8億円)
  • Flurry: 350万ドル(約3.5億円、3月に和解済み)

和解金の対象となるのは、2016年11月から2019年2月の間にFloアプリを使用し、月経や妊娠に関する情報を入力した米国内のユーザーだ。

なお、和解は裁判所の承認が必要で、両社とも不正行為は否認している。

「同意なくデータ共有」とユーザーが主張

訴訟を起こしたのは、Floアプリのユーザーたち。彼女たちは、Floが「情報を機密に保つ」とプライバシーポリシーで約束していたにもかかわらず、実際には月経周期、妊娠状況、性生活といった極めてセンシティブな個人情報を、Google、Meta(旧Facebook)、Flurryなどの広告テクノロジー企業と共有していたと主張した。

これらのデータは、ユーザーの同意なくターゲット広告に利用されていたという。

原告側は、この行為がカリフォルニア州プライバシー侵害法に違反すると訴え、違反1件につき5,000ドルの法定罰金を求めた。理論上、損害賠償額は数十億ドルに達する可能性もあった。

Metaは和解拒否、8月に有罪評決

一方、第4の被告であるMeta Platforms(FacebookとInstagramの親会社)は和解を拒否。2025年8月4日、2週間の裁判の末、陪審はMetaに責任があると認定した。

Metaは判決を不服として控訴する見込みで、損害賠償額を決定する審理が予定されている。

欧州初のフェムテックユニコーンFlo

Floは2015年に設立され、月経周期の追跡、症状のモニタリング、妊娠や更年期に関する健康情報の提供などを行う、世界有数のフェムテックアプリだ。2024年には米国の投資会社General Atlanticが主導するラウンドで2億ドルを調達し、欧州初のフェムテックユニコーン企業となった。

今回の訴訟は、ヘルスケアデータを扱うフェムケア市場において、プライバシー保護と信頼性が改めて問われる事例となっている。

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