生理前はどうしても甘いものが食べたくなって、おやつに手が伸びてしまうという経験はありませんか?生理前に甘いものが食べたくなるのは、女性ホルモンやレプチン、セロトニンなどの脳内物質の影響だと考えられています。この記事では、生理前に甘いものが食べたくなる理由や、食べすぎない工夫について説明します。
生理前に甘いものが食べたくなる理由
生理前に甘いものが食べたくなるのは、プロゲステロンという女性ホルモンの影響だと考えられています。
女性の身体は、生理周期によってエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌量が大きく変化します。
- エストロゲン
エストロゲンは生理期間から排卵に向けて、分泌量が増えていきます。そして、排卵が終わると分泌量が減ります。
- プロゲステロン
プロゲステロンは排卵後から、次の生理が始まる前までの間、多く分泌されます。そして、インスリンの働きを悪くする作用をもっているのです。
インスリンには食事をとった後に上昇する血糖値を下げる働きがあります。しかし、プロゲステロンがその働きを悪くすることで、なかなか血糖値が下がりません。
インスリンを分泌しているのに血糖値が下がらないことから、脳は「インスリンの分泌量が足りていない」と判断し、さらにインスリン分泌を行います。
結果として、過剰にインスリンが分泌され、血糖値が下がりすぎてしまいます。すると、今度は血糖値を上げようとして、すぐに糖になる甘いものを食べたくなってしまう。
こうしたメカニズムで、生理前は甘いものが食べたくなるのではないかと仮説がたてられています。
生理前の食欲を抑える方法
生理前の食欲を抑えるためには、過剰なインスリン分泌を起こさないよう、血糖値を急激にあげないことが大切です。
血糖値が乱高下すると、甘いものが食べたくなるだけでなく、イライラしたり、集中力が途切れたりする原因にもなるので、血糖値を急激にあげない食事の仕方に気をつけましょう。
具体的には、以下を心がけてみましょう。
- ゆっくり噛んで食べる
- 食事は少ない量を1日5~6回に分けて食べる
- 血糖値の上がりやすい白砂糖や白米などを避け、玄米や全粒粉の食材を食べる
- 低脂肪、高たんぱくの食材を食べる
食欲が高まりすぎないように、空腹の状態が長く続かないようにするのもポイントです。空腹の状態で食事をすると、いつもよりたくさん食べたくなり、血糖値が急激に上昇しやすいからです。
また、食欲に意識が向きすぎないように、散歩やストレッチなどの軽い運動をする、趣味に没頭するなど、楽しく過ごせる方法を考えてみましょう。
生理中におすすめの食べ物
生理中の食欲を抑えるためにおすすめの食べ物は、以下のような低脂肪で高たんぱくな食材です。
- 肉
赤身肉やささみ、など
- 魚
鮭やマグロ、オイル未使用のツナ缶、など
- 大豆製品
豆腐や豆乳、納豆など
どうしても甘いものが食べたくなったときは、ドライフルーツやナッツ、カカオの含有率が高いチョコレートなど血糖値があがりにくいものを選びましょう。
生理前は食欲だけでなく、気分もイライラしがちです。甘いものばかり食べるのは避けた方がよいですが、我慢しすぎてストレスをためるのもよくありません。身体と気持ちを優先しながら、生理前の甘いものを食べたい気持ちとうまく付き合っていきましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著書に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。 https://twitter.com/ayako700