妊娠後は「妊娠〇週」という表現がよく使われます。はじめての妊娠の場合、妊娠週数や妊娠月数の数え方は少しわかりづらいかもしれません。
この記事では、妊娠週数と妊娠月数の数え方、時期に応じた妊娠中の健康管理のポイントを説明します。
妊娠週数の数え方
妊娠週数は、最後にきた生理期間から数え始め、7日ごとに1週ずつ増えていきます。
以下の図のように、妊娠週数は「最後の生理が始まった日」を妊娠0日として数えます。妊娠1週の終わり頃が排卵期です。
排卵後、妊娠2週で受精が完了すると妊娠2週~3週ごろには受精卵が子宮内膜へ着床し、妊娠が成立します。
この時期は、生理周期を28日とした場合、生理の1週間前頃にあたります。
次に生理がくるはずだった予定日をすぎても生理がこないことで妊娠に気づくケースが多いため、妊娠5週目頃に妊娠に気づく人が多いです。

妊娠月数の数え方
妊娠週数と同様によく使われるのが妊娠月数です。カレンダー上の1カ月は28~31日ですが、妊娠月数は妊娠週数と連動するため、1カ月を28日周期で数えます。
妊娠月数は、妊娠期の区切りなどで使われることが多いです。
妊娠期間は以下のように妊娠初期・妊娠中期・妊娠後期の3つに分類されます。
- 妊娠初期(妊娠4カ月まで)
- 妊娠中期(妊娠5~7カ月)
- 妊娠後期(妊娠8~10カ月)
妊娠期の区分は、妊婦さんの体調の変化や赤ちゃんの成長や発達の説明などで使われますので、自分の妊娠月数も確認しておきましょう。
自分の妊娠週数が不明なときはどうする?
最後の生理日を正確に覚えていなくて、妊娠週数がわからない人もいるかもしれません。生理周期が不規則だと、最終生理日の検討がつかない場合も。
妊娠週数がはっきりわからない場合は、産婦人科の超音波検査によって赤ちゃんの大きさを確認することで、おおよその週数がわかります。
妊婦健診では、エコー検査などで赤ちゃんの身長を計測することができるので、「赤ちゃんがこのくらいの身長だから、妊娠〇週くらいです」と医師から教えてもらえます。
妊娠の兆候や体調の変化が出やすいタイミングと症状
もっとも気づきやすい妊娠の兆候は、予定日になっても生理がこないこと。生理は妊娠が成立せずに不要となった子宮内膜が剥がれ落ちる現象なので、妊娠中は生理がきません。
また、女性の身体は生理周期にともない基礎体温が変化します。一般的に生理から排卵前までの2週間が低温期、排卵後から生理前までの2週間が高温期です。そのため、高温期が2週間以上続く場合も、妊娠の可能性が考えられます。
生理周期と体温の変化については、「生理前に体温は上がる? 基礎体温と生理周期の関連性(医師監修)」の記事でくわしく説明していますので、興味のある方は確認してください。
人によっては早い段階で妊娠の兆候を感じることも
先ほどお話しした通り、妊娠の成立は受精卵が子宮内膜に着床する妊娠2週目の終わりから3週頃。自分の体調の変化に敏感な人では、妊娠4週前になんらかの体調の変化を感じることもあります。
この時期の体調の変化については、「妊娠超初期症状はどんなものがある?PMSとの違いを解説(医師監修)」の記事で詳しく説明しています。
妊娠週数で確認する妊娠中の健康管理
妊娠週数による身体の変化と健康管理について説明します。お腹の赤ちゃんが元気に成長するためにも、妊娠中は健康的な生活を送りましょう。
・妊娠4~11週(妊娠2~3カ月)
基礎体温の高い状態が続き、つわりが始まる人もいます。頻尿や便通の変化、腰が重くなるなど、体調の変化が大きい時期です。仕事に支障があるほど体調不良が続く場合は、早めに職場への妊娠報告をすることも考えましょう。
妊娠中の服薬は、赤ちゃんの成長や発達に影響を及ぼす可能性があるので、あらかじめ産婦人科の医師に相談しておいてください。
・妊娠12~19週(妊娠4~5カ月)
安定期に入り、おっぱいが張る人がでてきます。妊娠5カ月になると、お腹の膨らみが分かるようになってきます。胸のサイズに合わせた下着を使ったり、ウエストがきつくない衣類を着たりして、身体を締めつけないようにしましょう。
・妊娠20~27週(妊娠6~7カ月)
ほとんどの妊婦さんが、赤ちゃんの胎動を感じるようになります。赤ちゃんの向きによっては、超音波検査で性別がわかります。
赤ちゃんの成長に伴って、貧血やむくみが起こりやすいので、塩分を控えて鉄分が豊富な食品をとるようにしましょう。
・妊娠28~35週(妊娠8~9カ月)
お腹の大きさが目立つようになり、妊婦さんらしい体型になってきます。妊娠線が出やすくなるので、クリームを塗るなどお腹の保湿をしておきましょう。里帰り出産をする人は、出産直前ではなく妊娠9カ月頃までに帰省しておくといいでしょう。
・妊娠36~40週(妊娠10カ月)
いよいよ臨月です。おりものが増えたり、尿の回数が増えたりします。いつ出産になってもいいように、荷物の準備や家族との打ち合わせをしておきましょう。
妊娠週数や妊娠月数を理解すると、妊娠による身体の変化を予測できます。妊娠週数に応じた健康管理をしていきましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。