ドラッグストアをはじめ、デリケートゾーンケア関連アイテムのラインナップが増えていく昨今。

自分にあったアイテムをどう見つければ良いのだろうか…?そう考えている人も少なくないないのではないだろうか。

そんな中、2019年、老舗刃物メーカーである貝印が発売したのがVIO専用カミソリ「FEMINICARE」だ。同社が目指すVIOケアとはどのようなものなのか?

貝印株式会社マーケティング本部 大嶋わか菜さん、古井涼子さんに話を聞いた。

左:大嶋わか菜さん、右:古井涼子さん

――― FEMINICAREシリーズはどういった経緯で発売することになったんですか?

大嶋さん:デリケートゾーンの話題が昔よりオープンに話せるようになってきた時代の流れもあり、お取引先の方からの専用カミソリの開発をしてみないかという声を受けて、社内でもニーズがあるのではという判断となり開発が始まりました。

元々弊社でも専用商品として「ビキニT」というビキニライン専用のカミソリはありましたが、各部位の細かいニーズや時代に合わせた商品展開を行うことになりました。

――― 既存の専用アイテム「ビキニT」が発売されたのが2005年。それから商品訴求の表現に変化はありますか?

大嶋さん :ビキニTが発売された当時は「VIO」という言葉がなかったので、「ビキニライン」という表現で、水着や下着からはみ出た毛を処理する用途のカミソリが主流でした。

新しくスタートした「FEMINICARE」シリーズは、生理中のムレなどアンダーヘアがあることによる課題解決なども訴求しています。

古井さん:実際、FEMINICAREシリーズを発売してからVIOアイテムとしてメディアに取り上げていただくことが増えています。

季節要素だけでなく、ここ数年は取り上げていただく数が増えているので、VIO分野への関心が高まってきている実感はすごくあります。

ビューティケアの一環と思ってもらえたらという願いを込めたパッケージ。VIOという文字を目立たせるのではなく、デザインの中に組み込まれている。

――― とりわけFMINICAREシリーズの中でも最初に発売された「FEMINICARE」や「すきカミソリ」は専用カミソリとしては、かなり特徴的な形ですよね。

大嶋さん:とにかくデリケートゾーンは見えづらい箇所で、かつ皮膚自体もデコボコしていて剃りづらさがありますよね。

通常のT字カミソリだと刃の幅がデリケートゾーンに当てるには広すぎるため、幅を縮めています。また、T字タイプだとアンダーヘアを剃っているときに、どれだけ剃っているか剃り具合が見えないため、持ち手に“窓”をつけることで奥が見えるように工夫しました。

あとは、VIOを剃る際に、どのような握り方や剃り方でも剃りやすい形を考えた結果、通常のカミソリと比べるとハンドルがかなり短くなっています。

FEMINICARE

――― カミソリブランドとして様々なアイテムを展開されていますが、その中でも難しかったことはありますか?

大嶋さん:他のアイテムと刃自体は同じなんですが、デリケートゾーンは繊細なので、刃が肌に直接触れないように調整しました。そういう意味では、肌に優しい安全性と操作性の両立が難しかったですね。

「VIO」と言っても、実際にはV、I、Oでそれぞれ理想とする状態が違うことも難しいところでした。

例えば、Vは毛を残したいけど、IとOはつるつるにしたい人がいる。そう考えると、アイテム1個で完結させるのは難しい。

そこで、FEMINICARE発売の2年後の2021年に音波振動型、2022年にすきカミソリを発売して、シリーズ全体で、女性の好みに合った処理をできるようにバリエーションを揃えていく方針になりました。

古井さん:発売開始した2019年時点では、今ほど一般的なものではなかったので、プロモーションやパッケージデザインなどお客様とのコミュニケーションには工夫が必要でした。 

プロモーションするにしても、今はお客様もSNSなどで「こんな商品ありますよ」と言われている方が多いですがが、まだ言いにくい雰囲気がありました。

大嶋さん:そうですね。フェムテックという言葉が出てきたり、生理用品も昔と比べて選択肢が増えて、今は本当に可愛くなってきているように感じています。生活の一部として馴染みはじめていますよね。

カミソリも同じです。昔はT字しかなくて、デリケートゾーンに合ったものが欲しいとかそういうことを求めることすらできなかった。でも、今は充実してきていると感じます。

――― お客様の反応はどうですか?

大嶋さん:とりわけ音波振動カミソリが、FIMINICAREシリーズの他のアイテムよりさらにヘッド幅が狭く操作しやすいと好評をいただいていて、お客さま相談室には「専用の替え刃を販売してほしい」という問い合わせも多いです。

そうしたお客様の声に応えて、専用替え刃を8月に発売予定です。

替刃式カミソリ「FEMINICARE音波振カミソリ デリケートゾーン用」1秒間に約100回振動する音波振動で優しく肌をなでる感覚でケアできる。「音波振動で肌辺りが柔らかく、フィルムガードで安心して使えます」

増える男性のデリケートゾーンケア「DANDYCARE」

―― 男性用の「DANDYCARE」も発売されましたよね。これは何か狙いがあったのでしょうか?

大嶋さん:近年、美意識が高い男性が増えている印象があり、男性用デリケートゾーン用カミソリの需要がさらに増えるのではないかと見込んで同時発売をしました。

FEMINICAREとDANDYCAREは商品の中身は同じアイテムですが、訴求方法を変えています。

ムレやかぶれ、においなどの不快感を軽減したい点は同じですが、特徴的な部分でいうと、アンダーヘアが長いと下着を履く際の巻き込みが痛いという話もありました。

自分が女性ということもあり訴求内容を見つけるのが難しかったのですが、企画部の男性にも意見を聞いて、文言をどう書いたら良いかアドバイスをもらっていました。

ボリュームも思い通り、自分好みのVIOに。

――― そして、2022年には「すきカミソリ」も販売されましたね。

大嶋さん:これは社内の調査チームが市場を調べたところ、毛量を減らす、ボリュームダウン型のカミソリがラインナップとして欠落していることがわかり、開発を進めました。

ただ、ボリュームについても好みが人それぞれなので、社内の女性に商品を配って試してもらいました。

現在発売しているものは、すき率が30%なんですが、10%、30%、50%モデルを作って、それぞれ調査をしました。

私自身も試しましたが、50%だと剃り味はいいが一気に剃れてしまい、ここまで減らすつもりじゃなかった…という問題が出てくる。

逆に10%は剃り具合が少ない。カミソリって剃り始めは、ある程度「剃れた!」という感触がないと「剃れないし使えない」という印象を与えてしまうんです。

剃れるけれども剃りすぎない、そのちょうどいい塩梅を求めた結果、すき率30%に落ち着きましたね。

一気に剃るのではなく、何ストロークかすることで自分の理想の毛量にしていただいた方が良いという結論に至りました。

多様化するアンダーヘアのニーズに合わせた、すき率30%の「FIMINICARE すきカミソリ」

――― すき率30%は絶妙な数字だったんですね。今後アイテムを普及させる上での課題などあれば教えてください。

大嶋さん: VIO専用カミソリだけの話ではないですが、脱毛される方が増えていますので、脱毛とカミソリをどう共存させていくかは課題ですね。

脱毛がより身近な存在になっていますので、脱毛で残ってしまった毛や産毛を処理できるようなラインナップも充実させて、共存していければと思っています。

あとは、毛による不快感をなくすだけではない訴求も考えています。例えば妊婦さんが出産前に剃毛したり、介護される前に介護されやすくするために剃毛する方もいますよね。

より多くの世代の方が使う商品になっていくと思うので、カミソリが今の生活にどのように役立つかをきちんと伝えていくことが大切だと思っています。

「#剃るに自由を」社会の声

――― メッセージを伝えるということでいうと、2020年の「#剃るに自由を」というメッセージ広告も話題になりましたね。

古井さん:弊社は創業100年以上ですが、創業間もない頃からカミソリを販売しており、体毛ケアにずっと向き合ってきた会社です。

そんな中、昨今SNSで「毛を剃らなければならない」「毛はなくして、つるつるが良い」という、社会的圧力や価値観が息苦しいというような声を目にする機会が増えていると感じていました。

そこで、実際に剃毛や脱毛に関する意識調査をしたところ「ファッションや髪型のように毛を剃る、剃らないは自分で自由に決めたい」と考えている方が9割ほどになったんです。

であれば、「毛を剃らなければならない」ではなく「剃る自由も剃らない自由もある」ということを伝えていくことで、体毛ケアをもっとポジティブに伝えられるんじゃないかと思い、「ムダかどうかは、自分で決める。」という広告を出しました。

バーチャルヒューマンMEMEを起用した「#剃るに自由を」のグラフィック

――― 反響はどうでしたか?

古井さん:さまざまなメディアで取り上げられたのもそうですが、「本当に共感した」「こういう広告を出してくれて嬉しかった」という声をお客さま相談室までお電話で伝えてくださる方もいらっしゃいました。

もちろん、少し刺激も強い広告ではあるので、「不快だった」というご意見をお持ちの方もいらっしゃいましたが、「こういう広告メッセージをカミソリメーカーである貝印が出してくれて嬉しかった」というポジティブな声もたくさんいただき、担当者含めて広告を出して良かったと思っています。

――― 社会の声という視点でいうと、環境に配慮した「紙カミソリ」も話題になっていましたね。

古井さん:紙カミソリ自体は環境に配慮しているという観点で取り上げていただくことが多いんですが、実は、その経緯は少し違っていて。

紙カミソリは1回使い切りの紙製カミソリですが、元々は「紙」がはじまりではありませんでした。

企画としては、1dayカミソリがあってもいいんじゃないか?という議論がはじまりです。

旅先で使うときは1回使い切りでいいし、衛生用品なので使い切りの方が気持ちよく使えるんじゃないかと。

ただ、1回使い切りだとそのぶん廃棄も多いため環境を配慮し紙を使うことになりました。

発表した後は、やはり紙でできているカミソリ自体が今までにない新しい商品でしたので、その点に注目が集まりました。

――― 「サステナブルなアイテムとして紙で作ろう」がスタートではなかったんですね。

古井さん:そうですね。あとこのアイテムは、お客様自身に1枚の紙からカミソリを組み立てていただく商品なので、お客様に手間をかけてしまうのはいいのか?という賛否が社内でありました。

ですから、最初はEC限定、数量限定でテスト発売をし、お客様のニーズ調査からはじめようとしたんですが、テスト発売から3日で完売し、想定以上の反響があったため、2022年春からローソンで全国発売になりました。

――― 貝印は、賛否がありそうなプロダクトや表現を出すことにも、挑戦する風土があるということなのでしょうか?

古井さん:比較的チャレンジしやすい風土はあるかもしれません。ただ、それぞれ通ずるのは、この広告も決して自社の思いだけではなくお客様のご意見からスタートしていますし、紙カミソリもテスト発売でのお客様からの反響がきっかけになっています。

企業理念にも「顧客のよろこび」「社会のしあわせ」という言葉があるんですが、お客様のニーズや社会的に何が求められているのかをきちんと感じ取り、時代に合わせた商品を作ることを大切にしています。 

大嶋さん:FEMINICAREシリーズも同じです。お客様のニーズを汲み取りながら、今後もお客様の課題を解決するアイテムを作っていきたいと思っています。

「FEMINICARE音波振動カミソリ デリケートゾーン用」を抽選で3名様にプレゼント

貝印「FEMICARE」シリーズの人気アイテム「音波振動カミソリ」を抽選で3名様にプレゼントします。以下プレゼント応募詳細をご覧ください。

<応募方法> 

1.ランドリーボックス公式Twitterアカウント(@laundryboxjp)をフォロー 

2.同記事をツイートまたは、リツイート、引用リツイート (対象ツイート=@laundryboxjp のアカウントで 本記事をツイートしている全ツイートが対象)

3.下部のアンケート「デリケートゾーンに関するアンケート」に回答

4. 抽選で3名様に替刃式カミソリ「FEMINICARE音波振動カミソリ デリケートゾーン用」をプレゼント

*デリケートゾーンに関するアンケート:https://forms.gle/CVXXRYhNyh2Yg9d59

 <応募期間> 

2022年8月1日(月)~9月4日(日)

※当選者の方にはランドリーボックス公式アカウントからDMにてお知らせいたします。

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