「生理用品を軽減税率対象に!」 大学生の私が署名を集めているわけ

今日も、朝ごはんか生理用品かで悩んでいる人がいる。

2020年01月06日谷口歩実
2020年01月06日
谷口歩実

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  • 世界の生理


    (illustration by Alice Skinner on freeperiods.com)

    はじめまして。「生理用品を軽減税率対象に!」キャンペーンをしている谷口歩実と申します。

    当キャンペーンは、現在消費税10%が課税されている生理用品を少なくとも軽減税率対象の8%に引き下げることを目的に、インターネットで署名を集める活動です。

    生理用品は軽減税率対象ではない

    (出典:国税庁)

    2019年10月1日、消費税の引き上げと同時に開始されたのが軽減税率制度です。国税庁によると、税率8%に留まる軽減税率対象の品目は「飲食料品」と「週2日以上発行される新聞」のみとのこと。生理用品やおむつなどの日用品は含まれていません。

    世界の現状

    現在、世界では生理用品にかけられる税(通称 tampon tax)を撤廃する動きが広がっています。2004年にはケニアが、それに続いてカナダ、マレーシア、インド、オーストラリアなどが続々と生理用品を課税対象外にしています。

    これらの動きはたくさんの女性、そして女性以外の生理を経験する人の切実な声によって実現されています。

    不平等に気づくための学問に出会った

    私は、幼少期はベトナムとマレーシアで育ち、中高は女子校で過ごしました。

    今は東京の大学4年生で、ジェンダー・セクシャリティ研究と教育学を専攻しています。自転車で30分かけ、通学しています。中学1年生からずっと剣道部です。先月初めて月経カップを入れたまま稽古をしました(とても快適でした!)。

    ジェンダー・セクシャリティ研究って何?とよく聞かれるのですが、正直なところ、いつもきちんと答えられません。

    私の通う大学のホームページでは、ジェンダー・セクシャリティ研究の学習目的は「近代社会が男女二元論や異性愛主義を土台に構築されていることに気付き、ジェンダーやセクシャリティ以外の様々な不平等(人種、社会階級、民族、教育、障がい)にもセンシティブになること」だと記されています。

    つまり、ジェンダー・セクシャリティ研究はあらゆる不平等や差別に気付くための学問なのだと私は認識しています。

    私がジェンダー研究に興味を持った理由はたくさんあるのですが、その中から2つ紹介します。1つは私が中学生の頃から大好きなテイラー・スウィフトです。

    彼女が音楽業界での性差別や女性の生きづらさについて声を上げていて、ストレートに影響を受けました。

    2つ目は、ジェンダー研究が私のモヤモヤとした気持ちに言葉を与えてくれると感じたからです。「女の子なんだから脚を閉じて座りなさい!」「大学入ったら彼氏つくらないとね!」「就職決まったら次は結婚だね!」——なぜ私の同意もなく、いろいろなことが決められているのだろうか。そんなモヤモヤに、大学で初めて受けたジェンダー研究の授業が理論や説明、言葉を与えてくれました。

    一度ジェンダー・セクシャリティの視点を得てしまうと、社会の様々なことが気になって仕方ないです。「女子力」という言葉、テレビで平然と使われる差別用語、職場や学校の服装規定、ちょっとした冗談やからかい……。この学問と出会う前の私ならスルーしていたでしょう。

    さらに、周りの人の話を聞く中で、多くの人が抱える悩みはジェンダー・セクシャリティの問題に行き着くと思ったのです。

    異性のパートナーを作らなければならないプレッシャー、子どもを産まなければならないプレッシャー、「女らしい」「男らしい」服を着るプレッシャー。どれもこの社会の男女二元論であったり、異性愛主義の産物なのではないかと思ったのです。

    より多くの人がジェンダー・セクシャリティの視点を得ることができれば、あらゆる人にとって生きやすい社会になるのではないかと思っています。

    生理がある人はあらゆる面で不利な構図

    現在取り組んでいる卒業論文では日本人大学生の月経について研究しています。具体的には、生理を経験する大学生が月経をどう捉えているか、そして社会には月経のある人にとってどのような障壁があるのかを調べています。

    研究の為にインタビューをしていく中で「この社会は生理のある人を前提につくられておらず、生理はないものになっている」と感じるようになりました。

    例えば、小学校のトイレにサニタリーボックスが置いていなかったり、生理でプールの授業を休むと成績が下がってしまったり、部活中は長時間トイレに行けなかったり、生理のある人にとって不利な構図になっているのです。

    そしてその最たる例として、生理用品への課税があると思いました。


    (Photo by Laundry Box)

    生理のある人は生理用品なしに日常生活が送れません。経血を流しながら生活することはほぼ不可能だろうし、流しながら生活したとしても不便なことが多いと思います。

    よって、生理用品は生活するうえで必需品であり、どんな経済的状態でも手に入れなければ暮らしていけません。

    頻繁に買い足さなければならない生理用品に10%の税が掛けられていることは、生理のある人を経済的に不利な状況に追い込んでいるのです。経済的に困窮している人がいる場合、より苦しまなければならない状況です。

    忘れられない、おばあちゃんの話

    私がなぜここまで生理用品にこだわるのか、考えてみれば私の祖母の経験が大きな影響を与えていると思いました。

    私の祖母は高校卒業と同時に上京し、狭いアパートでルームメイト2人で暮らしていました。生活費もギリギリの中でコマ肉ともやしで食い繋ぎ、買い物はいつも最小限に抑えていたそうです。

    月末になり、お金がなくなると「ジャム入りのパンか生理用品で選ばなきゃいけなかった」と言うのです。

    「朝ごはんか生理用品 !?」それは二択にかけられるべきものなのか?私にとっては信じがたい事実だったのです。この衝撃は10年近く私の心に引っかかっていました。

    先進国でも「生理の貧困」はある

    先日ランドリーボックスで「目指すは生理用品の無償化。『生理の貧困』と向き合うフランス」の記事を読みました。

    その中で、日本での「生理の貧困」について知った時に、祖母の話を聞いた時と同じ衝撃を再び受けたのです。

    いわゆる「先進国」の日本で、しかも2019年に、生理用品を買えずに苦しんでいる人がいる。私の祖母のように朝ごはんと生理用品で悩まなければならない人がいるのです。

    そして私は、「生理用品を軽減税率対象に!」の署名活動を始めました。

    まだまだ小さな活動ですが、私がこの活動で大切にしていることは「生理はみんなのもの」ということです。これには2つの意味が込められています。

    1つは生理のある人も、ない人も、自分のこととして捉えてほしいという意味です。「生理のある人を知らない!」という人は1人もいないはず。必ず自分の身近な誰かが生理を経験しています。

    「私には関係ない」とは思わないで、どうか自分のこととして1人でも多くの人に考えて頂きたいです。

    2つ目は、「生理がある=女性」、「女性=生理がある」とは限らないという意味です。トランスジェンダーで生理を経験する人、ノン・バイナリーで生理を経験する人など、さまざまな人が生理を経験しています。

    つまり、生理は女性だけのものではないのです。その人たちの声を無視して活動をしてはならないということを肝に銘じています。

    生理のある人が、活躍できる社会に

    この署名活動は税率を少なくとも8%に引き下げることを目標にしていますが、そこで終わるのではなく、より生理に対するニーズの声が上げやすい社会、生理のある人がより快適に活躍できる社会を実現したいと思っています。

    その第一歩としてこの署名活動を始めました。私の祖母のように生理用品か朝ごはんで悩まなくても良い社会のために。

    これから生まれる子どもたちが、安心して自分らしく暮らせる社会のために。ぜひご賛同・シェアして頂けたら幸いです。

    日本語署名ページ:https://www.change.org/p/19334609
    English Petition:https://www.change.org/p/19388652

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    谷口歩実
    1998年生まれ。「生理用品を軽減税率対象に」キャンペーン中。大学での専攻はジェンダー・セクシャリティ研究と教育学。趣味はル・ポールのドラァグレースを観ること。

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