フェムテック、フェムケア関連のブランドやショップが多数出展した第1回Femtech Tokyoは、2022年10月20〜22日の3日間、東京ビッグサイトで開催されました。
来場者は1万4千人(主催者発表の速報値)を超える盛況ぶりだったようです。多くの女性が熱心に商品を見て回っている様子でしたが、ビジネスデーは男性の割合も3割ほど見られ、企業におけるフェムテックへの注目度の高さも感じられました。
このレポートでは、出展者のなかからランドリーボックスがとくに注目した生理関連プロダクトを2つご紹介します。
じつは医師もよく知らない?経血量がわかる進化型ショーツ
経済産業省が「フェムテック等サポートサービス実証事業」を推進し、生理用品をはじめ、日本でも新しいタイプのフェムテック・フェムケアの商品が続々と発売されてきました。
近年とくに注目を浴びたのは、各社から発売された「吸水ショーツ」ではないでしょうか。
筆者としては、妊活/避妊アプリやセクシャルウェルネス(性の健全性にかかわる)製品にも注目していましたが、今回の展示会では非常に多くの国内メーカーの生理用ショーツが出品されていて、あらためて吸水ショーツの勢いを感じました。
その草分けのひとつが「Bé-A(ベア)」。2020年からバージョンアップしながら超吸水型サニタリーショーツ「Bé-A」を販売しているフェムテックブランドです。
今回の展示では、特殊な金属繊維を用いて電気的に経血量を計測できるショーツとアプリのプロトタイプをお披露目しました。
経血量を計測できるショーツには、小型のトランスミッターを取り付けることでデータを定期的にアプリ側に送信し、時間・日ごとなどの経血量を計ることで健康管理に役立てられる製品です。
本体は吸水ショーツそのままというイメージ。こちらはボクサータイプ
「Bé-Aショーツの開発する際、漏れを解消しつつ着け心地のよい製品に仕上げるために、何ml程度の吸水能力とするかを決める必要がありますが、そもそも、自分の経血量って知らないですよね。多め、少なめもかなり主観的で、実際には数字で把握できていません。専門医の方に相談しましたが、やはり基準となりうる調査データはありませんでした」
だったら、私たちで測れるようにできない? 知りたいよね?と始まったのがこのプロジェクト。
吸水部分に編み込まれた金属繊維を通して、定期的に吸水した量を計測、ショーツに取り付けたトランスミッターを通じてアプリにデータを送信します。
ショーツを換えるときにはトランスミッターをスナップから外して、新たなショーツに付け替えて継続計測します。
発売日は未定ですが、2022年度中の発売を目指して開発協力のミツフジ株式会社とともに3社協定を結んでいる福島県川俣町の町民および町で働く方を中心に、100〜200名規模の実証実験を開始予定だそう。
将来的に、「経血量の測定」が女性の健康管理の起点となることを目指しているとのこと。
(公式サイトはこちら )
快適さがハンパない、初の日本製「月経ディスク」が2023年発売!
使い捨てナプキンに代わり、買い換え不要で繰り返し使えることで経済的な負担や環境負荷の軽減が期待される「月経カップ」もここ数年利用者が増えています。
月経カップは臭いやムレ、肌に密着することによるかゆみもない良さがあり筆者も愛用していますが、慣れるまでに定位置に挿入しづらかったり、煮沸消毒の手間などから敬遠する方もいるのかなと考えています。
こういった月経カップのデメリットを解消する製品として、使い捨ての月経ディスクという製品が登場しています。
これまでは海外製しか存在せず、日本では個人輸入や並行輸入するしか入手方法がありませんでした。
そんな月経ディスクの利便性に惚れ込み、もっと日本に広めたい!と起業してしまったのが、「MOLARA(モララ)」代表の向井桃子さん。
株式会社MONA代表の向井桃子さん
YouTubeの「令和の虎」で出資を獲得され、事業展開を進めたそうです。きっかけは自身の出産経験からでした。
「第二子の出産後に悪露(おろ)があったため、ナプキンやパンティライナーを使用していたのですが、においが気になっていました。友達と話しているときに海外では月経ディスクというのがあるのを知りさっそく試すと快適すぎる!」
「ところが日本では販売されていません。なんとか日本で気軽に買えるようにできないかと製造工場探しから開発までゼロから取り組み、いよいよ発売できる予定です」
MOLARAの快適さには、挿入の失敗が少なく初めての人でも入れやすいことや、違和感がないこと、最大容量が59mlとタンポンの5〜10倍のキープ力があること、また、挿入中でもトイレで前屈みの姿勢をとるとたまった経血だけ捨てられ12時間取り替えなしで利用可能と、さまざまな理由があります。
実際に手にとってみると、たしかに月経カップよりも大きいです。容量は1.5〜2倍程度。リング部はかなりしっかりしており「大きすぎるのでは?」と感じるかもしれませんが、膣に対して斜めに挿入するのでサイズは1サイズのみ。ホールド部はかなり薄い素材です。
上の模型写真でもわかるとおり、膣の奥の位置で固定することが他の生理用品との大きな違いです。
またタンポンと違い、取り出し用の紐を気にせず温泉やプールに行けることもメリットだそう。
気になるお値段は、10個入りの1ケースが6,435円の予定。使い捨てになるので一日2個使えば1周期分1ケースのイメージです。他の生理用品と組み合わせて、ここぞという時に使うのもいいかもしれません。
ほかにも格安の定期コースやロット販売などを提供する予定だそう。
「ひとりでも多くの人に、この快適さを!」と話す向井さん。発売は2023年2月予定。最新の情報は、公式インスタグラムをどうぞ。
吸水ショーツ使用率はまだ5%
今回Femteh Tokyoに参加した約200社のなかでも、生理用品の出展社数は多かったのではないかと思います。「こんなにいろいろな吸水ショーツがいつのまに揃ったのか」と驚きました。一方でBé-Aの調査によれば、18〜49歳の生理がある人で「吸水ショーツを買ったことがある人」はまだ5%。
今ひとつ広がっていない数字に思えますが、「吸水ショーツを知らない」「現状維持でいい」「初期コストが高く試しづらい」などの理由が考えられます。
今回ご紹介した2つのプロダクトは、高価格帯ではあるが付加価値があり、女性の健康や生活にプラスアルファを与えてくれるアイテムが欲しいという人にはピッタリはまる、インパクトのある生理用品だと感じました。
今後どんな製品が世に出て広まるのか、楽しみです。