厚生労働省の薬食審・薬事分科会は、国内初の経口人工妊娠中絶薬・メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)について国内での使用を承認する見通しを発表した。

イギリスの製薬会社ラインファーマの「メフィーゴパック」は、妊娠9週までの妊婦を対象としている経口人工妊娠中絶薬。

承認にあたっては、医師による服用管理、流通・使用管理、正しい情報提供を行うことを前提としている。厚労省の吉田易範氏は同分科会後の会見で、入院または外来による「院内待機」などを必須にする考えを述べている。

処方・服用の条件等を取りまとめ、近く厚生労働大臣より正式発表される見通しだ。

これまでの中絶方法は?

日本国内での中絶方法は、これまで外科的な手術が行われてきた。

・子宮内に金属製の器具を入れてかき出す「そうは法」(全体の約24%)
・プラスチック製の器具などを使って吸い取る「吸引法」(全体の約36%)
・そうは法と吸引法を併用する方法(全体の約40%)

(日本産婦人科医会が2019年に実施した全国調査により)

このデータから日本で、そうは法は全体の60%以上の割合で行われていることがわかる。中絶だけでなく流産に対する手術でも用いられていることから、そうは法を経験する女性はかなり多いことがデータから読み取れる。

世界保健機関(WHO)は、「そうは法」は子宮内膜を傷つけ、強い痛みや出血をともなうため、比較的、負担の少ない中絶薬や吸引法を推奨している(ただし中絶薬、吸引法ともにそれなりの痛みはともなう)。

WHO=世界保健機関は経口中絶薬について、「安全な方法」としていて2005年には、妥当な価格で広く使用されるべき薬として「必須医薬品」に指定している。

なお、今回取り上げた「経口中絶薬」は、「緊急避妊薬」(アフターピルなど)と混同して語られがちだが、まったくの別物であることを添えておく。

 *

中絶とその方法に関する選択もまた、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利=SRHR)の考えのひとつだ。医師の指導のもと安全かつ、個人の考えが尊重される社会になることを願っている。

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