学校で生理について授業があったとき、 ナプキンの説明はあったけどタンポンは「タンポンというのがあります」程度だったような気がします。

私が初めてタンポンを使ったのは20年ほど前、学生の頃でした。ほとんど知識もないまま説明書片手に血と汗まみれになって入れた記憶が今でも鮮明に残っています。

筒状のものが中に入り、頼りなく紐だけがヒョロっと出ている状態で「この紐まで中に入ってしまわないか」とても不安で何度も確認しました。

入れるのにも時間がかかりましたが、抜くときは更に時間がかかりました。紐を引っ張れば簡単に抜けると思っていたのですが、引っ張った瞬間なんとも言えない感覚に襲われました。

お腹の中が下に向かって重く引っ張られているような、子宮ごと出てくるんじゃないかと思って慌てて引っ張るのをやめました。

タンポン初心者の私にとってこの感覚が正常なのかどうか確認する方法もなく、ただただ不安と緊張のなか時間だけが過ぎていきました。

「入れなきゃ良かった」

そう何度も思いながら、やっと抜くことができた時は

「もう二度と入れない」、そう思いました。

これが私が初めてタンポンを使った日のことです。

31歳で診断された若年性パーキンソン病

Photo by Curology on Unsplash

それから20年近くタンポンとは無縁の生活をしてきました。経血量が多い日でもタンポンを使うという選択肢は全くありませんでした。

そんな私が人生2度目のタンポンを使ったのは、ある病気を発症したのがきっかけです。

2014年12月、31歳で若年性パーキンソン病と診断されました。若年性パーキンソン病は40歳以下で発症するパーキンソン病のこと。パーキンソン病は神経伝達物質である「ドーパミン」が減少することで発症し、運動機能に障害が出てきます。なにか物を取ろうとしても、身体をどう動かせば良いのかわからない。歩き始めの一歩が出せずすくみ足になる。歩き出したら止まることができず、なにかにぶつからなければ止まれない(突進歩行)。その他、思考力や集中力の低下など、さまざまな症状があります。

現在の病状はオン(薬が効いている状態)とオフ(薬が効いていない状態)がはっきりしていてオフの時は自分のこともままなりません。

<参考:「こんな姿なのに、生理があるなんて」私が若年性パーキンソン病を患ってから、トイレで起きたこと

パーキンソン病患者にとって、生理時の対処は困難

当たり前にできていたお風呂や食事などの日常生活動作全てがスムーズにできなくなります。中でも困ったのがトイレ。

トイレに行きたいと思っても動きにくいため時間がかかります。やっとトイレに着いたかと思ったら今度はズボンや下着の着脱。

私たちパーキンソン病患者にとって衣服の着脱はかなり難易度の高い動きになり、もたもたしていると間に合わず漏らしてしまうこともあります。家族の手を借りることもできますが、この歳でトイレ介助は頼めませんでした。

更にトイレ問題を深刻にさせたのが生理です。

下着にナプキンを装着させるような細かい動きは時間がかかり、床に血液が落ちたり下着についたりして総替えすることもありました。

ナイト用のナプキンはお尻までカバーできるよう大きいサイズなのでその分装着するのが難しいです。

「生理時の煩わしさをどうにかしたい、オフでも着脱しやすいパンツが作りたい」——そう考えネットで調べていたところ、今回執筆させていただいているランドリーボックスの記事が目に飛び込んできました。

「コンタクトを取りたい」そう思った時には既にメッセージを打っていました。それからご縁あってやり取りをさせて頂くようになり、生理時の悩みなども相談するようになりました。

タンポンに再チャレンジ。装着のタイミングが重要

Photo by Satomi Iwai / Laundry Box

そこで1つの提案として教えて頂いたのが「タンポン」でした。

タンポン初体験は既述した通り良いものではなく、そのことを伝えたところタンポンのメリットや、アプリケーターありのタンポンとなしのタンポンの違いなどわかりやすく説明してくれました。

ほとんど知識のないなか、恐怖と後悔だけが残った初体験から約20年、もう一度トライしてみようと決心しました。

前回と大きく違うのは私がパーキンソン病であること。まずは睡眠時の経血漏れを防ぐため入眠前に試すことにしました。(基本、睡眠中はオフ状態です)

ここで重要なポイントはタンポン使用可能時間内(最長8時間)に最低2回のオンの状態が来るように逆算すること。1回目は入れる時、2回目は抜く時。オンの状態で入れ、朝目が覚め薬を飲んで効き始めた頃に抜くように調整しました。

Laundry Box

時間配分は問題なくクリアしました。タンポンを入れるときは、まず動くことのできるオンの状態から試しました。余程激しいジスキネジア(意志に反して体が動くこと)でない限り問題なくできました。

次にオフの状態でもタンポンの挿入に試してみることにしました。

オフの時は指先にも力が入らずタンポンを包装紙から出すところから苦戦し、タンポンを落としたり時間がかかり過ぎて清潔な状態で挿入することが難しかったです。抜くときも力が入らず抜くことができませんでした。

日に何度かオフの状態が来ますが、タンポンの最大使用時間は8時間。それを考えるとオフの状態が8時間も続くことはないため、きちんと計算したらオンの時にタンポンを入れ、抜くことができます。

また生理の時は、ホルモンの関係か体を動かすための薬の効きが悪いことが多いです。

以前、女性の同病の方と生理について話したときも「薬の効きが悪い」と言っていました。中には、ほぼ1日横になっているという方もいました。

私自身も動くことが辛く横になっていると漏れ出てきて衣類を汚したことがあります。

「生理なんてあがってしまえばいいのに」何度大きなため息をついたかわかりません。動きにくさに加え、できていたことができなくなる現実に強いストレスを感じていました。

タンポンで生理時のストレスが減った

Photo by Satomi Iwai / Laundry Box

でもタンポンを使用してみて、全く漏れないわけではありませんが、ナプキンにつく経血量がかなり減り、強いストレスを感じなくなりました。

人によって経血量やタンポンに対する考え方は違うと思います。

私のように以前のトラウマから拒否している人や、なんとなく嫌という方もいると思いますが、以前のものに比べ扱いやすくなっていますし、ネットで検索したら動画で使い方を見ることもできます。

若年性パーキンソン病になってどんどん体は動きにくくなっているのに、月に一度の生理は必ずやってきます。その期間をいかにストレスなく過ごせるか。

私と同じように悩んでいる方がいらっしゃったら、一度タンポンを試してみるのも一つの手ではないでしょうか?

今回、生理用品を試すことで新しい気づきがありました。これからも、様々な生理用品を試しながら、自分にフィットするカラダとの向き合い方を見つけていきたいと思っています。

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集