フェムテックとは?

Female(女性)× Technology(テクノロジー)をかけ合わせた造語で、生物学的女性の健康課題をテクノロジーで解決するヘルスケアのジャンルです。

「生理」「更年期」「婦人科系疾患」「不妊・妊よう性」「出産・育児」「セクシャルウェルネス」などのカテゴリがあり、それぞれの問題をタブー視せず、前向きに解決するためのサービスやアイテムが数多くあります。フェムテックの市場規模は、2025年には5兆円規模に成長するといわれています。

グローバル有力市場調査会社Market Research Future調べ

年々盛り上がりをみせ、スタートアップが増加するフェムテックは、イノベーションが不足していた女性の健康課題解決に新たな風を吹き込みました。

既存の企業もフェムテックのビジネスを立ち上げたり、スタートアップとコラボレーションしたりすることが増えてきました。誰もが知っている企業がフェムテックに参入することで、女性の健康課題解決がニッチな需要ではなく、重要な分野であることが社会に周知されてきています。

今回は、海外の企業が取り組むフェムテックをご紹介します。

アップル

アップルは毎年開催する世界開発者会議WWDC2019にて、2019年6月からiPhoneの「ヘルスケア」アプリとApple Watch内アプリにて、生理の周期管理機能を追加すること発表し、大きな話題になりました。

グローバル展開する企業がこれまで「タブー」とされてきた生理をヘルスケアの一環として扱うことは、私たちの生活や文化にポジティブな影響をもたらしました。

さらに最近では、ハーバード大学の「Apple Women’s Health Study」チームによって、アメリカ在住の1万人を対象にした生理に関する調査データを発表し、生理にまつわるスティグマ(差別や偏見)をなくす取り組みもしています。

FitBit

スマートウォッチのFitBitは、Apple Watchに先駆けて2018年から生理周期をモニターできる機能を搭載しています。2021年1月にGoogleに買収されたことから、テクノロジーの最大手企業も女性の健康に関わる分野を担うようになったといえます。

https://www.instagram.com/p/BmQiF09ADDt/?utm_source=ig_web_copy_link

Garmin

Garminは、2019年春から生理周期や更年期の状態を管理できる機能をスマートウォッチに追加。

さらに、2021年2月発売の女性向けスマートファッションウォッチ『Lily』シリーズより女性向けヘルスケアとして、妊娠状況をトラッキングできる新機能を初期搭載。妊娠週数による成長の目安を表示したり、胎児の動きや陣痛の持続時間と間隔をトラッキングしたりと、妊娠中の気になる情報がわかるようになっているそう。

妊婦と胎児の健康に寄り添うスマートデバイスは比較的新しい分野です。創業30年以上のGarminから「妊娠トラッキング」機能が生まれたのもフェムテックムーブメントのもたらしたいい効果かもしれません。

THINXと老舗メーカーのキンバリー・クラーク

フェムテックの吸水ショーツブランドで有名なTHINXは、製紙・健康衛生用製品の老舗メーカーであるキンバリー・クラークから2,500万ドルの資金調達を受けました

これにより、オンラインでしか手に入らなかった吸水ショーツをスーパーマーケットなど身近なところで、さらに低コストで購入できるように販路を広げました。

ウォルマートと在宅不妊検査キットModern Fertility

不妊治療の在宅検査キットを提供するフェムテックスタートアップModern Fertilityが、2020年9月に小売業大手のウォルマートとの提携を発表しました。

スーパーマーケットチェーンの印象が強いウォルマートですが、店舗併設の診療所を運営するWalmart Healthを設立するなど、近年はヘルスケアに力を入れています。

医療費が高額として知られるアメリカでは、小売業が医療システムのギャップを埋める動きが起きています。この提携によって、全米のウォルマート店舗の約1,600カ所でModern Fertilityの在宅不妊検査キットが購入可能になりました。

身体にまつわる課題解決を企業の経済活動につなげることは、一見すると世界中で問題視されている「生理の貧困」問題と相反するように思えます。しかし、低コストな製造工程で商品やサービスを低価格にしたり、流通面で誰もがより簡単に入手できたりなどのメリットがあります。

さらに、企業の社会的責任としてSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが注目されている現在、社会課題を重視しない企業は消費者に選ばれず市場で淘汰されていく時代になってきているのではないかと感じます。フェムテック市場が活性化することは企業と消費者どちらにとってもいい潮流だと思っています。

次回は、海外における勢いのあるフェムテックスタートアップに負けじと、女性の健康課題に取り組む日本企業のフェムテック事業をご紹介します。

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