生理が近づいてくるとやってくる、頭痛、お腹や胸の張り、便秘、手足のむくみ、肩こりなどのさまざまな不調をPMS(月経前症候群)といいます。
女性にとって、PMSはとてもやっかいな存在。この記事では、PMSの原因や、PMSを緩和する対策について、お話しします。
PMSの症状について
生理が始まる3~10日前の期間に訪れる身体と心の不調をPMS(月経前症候群)といいます。生理のある女性の約70%がこうした症状に悩まされています。
PMSによる身体の不調
・身体全体や一部がむくむ
・胸が張る
・肌が荒れる
・体重が増える
・頭痛
・腰痛
・下腹部痛
・眠気など
PMSによる心の不調
・気持ちが落ち込みやすくなる
・怒りっぽくなる
・感情が不安定になる
・集中力が続かない、など
うつ状態になったり、無気力になることで、絶望感にとらわれたり、涙がとまらなくなったりするほど、心の不調が強い場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
心身共に調子が悪いと、ちょっとしたことで周囲の人との関係が悪化してしまうことも。そのことがさらなるストレスとなり、PMSの症状が深刻化するという悪循環に陥ってしまうこともあります。
PMSが起こる原因
PMSには、以下の要因が影響しているといわれています。
・生理周期によるホルモン変化
・脳内の神経伝達物質の変化
・過剰なストレス
PMSの症状に対しては、以下のような工夫をすることで緩和できると言われています。
PMSの症状を緩和する対策
1.食事療法
複合炭水化物を積極的にとることで症状が改善すると言われています。(複合炭水化物は全粒粉のパン、パスタ、シリアル、大麦、玄米、豆類、レンズ豆などに多く含まれています)
ビタミンB6やカルシウムは症状の改善効果があると言われ、脂肪や糖質のとりすぎはPMSの症状が悪化しやすいと言われています。
2.薬物療法
・低用量ピルを飲む
低用量ピルは、避妊の目的で使用されますが、PMSにも効果があります。その理由は、ピルは排卵を起こさないようにする働きがあり、女性ホルモンの変化が起きにくくなるからです。
「ヤーズフレックス」という超低用量ピルの場合は、最大120日間飲み続けることができ、生理回数を年間3回ほどに抑えることができます。
ヤーズフレックスを実際に利用して、PMSが緩和した人の体験談を、「つらいPMSが生活の中心……。そんな私の救世主「ヤーズ フレックス」(医師監修)」の記事で紹介しています。興味のある方はチェックしてみてください。
・漢方薬
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、桃核承気湯、女神散、抑肝散などの漢方が、症状に合わせてつかわれています。体質や相性によって効果がみられます。
・抗うつ薬(SSRI)
PMSの症状が重い方やPMDDと診断されるほど心の不調が重い場合は、うつ病の薬であるSSRIを処方されることもあります。
うつ病の薬と聞くと心配するかもしれませんが、PMSの症状に合わせて服用するため服用量はそれほど多くありません。
3.ストレスをなるべく溜めない
PMSの時期はただでさえ心身不調で疲れやすいとき。そのため、あらかじめPMSの時期を予測しておき、その時期はなるべくゆったりと過ごせるようにしましょう。
たとえば、湯船にゆっくりつかる、好きな音楽を聞く、家の照明を暗くするなど、一つひとつは些細なことですが、気持ちをリラックスさせることができます。
イライラしやすかったり、周囲の人にあたってしまう人は、人と会う回数をなるべく減らしたり、一人でゆっくり過ごす時間を設けたりするといいかもしれません。
「メンタル絶不調……!生理とPMSでめっちゃしんどい日の対処法(休日編)」の記事では、PMSの休日におすすめの過ごし方を紹介していますので、参考にしてみてください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。