自分の体の一部なのによく知らない。他人と比べたこともないから、自分のものが「正常」かどうか分からない。
そのようなイメージを持つことが多いのが、女性の生殖器だと思います。
しかし、いつも手入れをしている歯や顔のように、性器も健康の重要なバロメーター。自分の性器について知ることは、体からの異変・SOSを知ることにも繋がります。
この記事では、女性の生殖器の構造や役割について解説をしていきます。
女性性器の基本的構造や役割
女性の生殖器は、体外にある「外性器」と体内にある「内性器」の2つに分けられます。
外性器
外性器は、恥丘(ちきゅう)、大陰唇(だいいんしん)、小陰唇(しょういんしん)、陰核(いんかく=クリトリス)、膣口(ちつこう)、外尿道口(がいにょうどうこう)、会陰(えいん)などにより構成されています。
外性器は、小児期、性成熟期、老年期といった年齢によって変化をしていきます。また、外性器の色やサイズ、大きさは人それぞれ。どの性器にも、正解・不正解の見た目はありません。
恥丘(ちきゅう)
恥丘は恥骨の前方(お腹側)にあり、思春期以降に陰毛が生じるところです。
大陰唇(だいいんしん)
大陰唇は、外性器のいちばん外側の左右にある厚い皮膚のところで、男性の陰嚢に相当します。脂肪組織でできており、陰核(クリトリス)や膣口、尿道口を保護しています。性的に興奮したり妊娠したりすると、充血してふっくらとします。
また、大陰唇は小陰唇より大きい場合が多いですが、小陰唇の方が大きいこともあります。大陰唇の色も、ピンク色や茶色など、さまざまなバリエーションがあり、どれも間違いではありません。
小陰唇(しょういんしん)
大陰唇の内側にある皮膚のヒダです。陰核(クリトリス)から会陰(えいん)まで伸びており、膣口や尿道口を保護しています。大陰唇と同様に、性的に興奮すると充血して膨らみます。
小陰唇の形やサイズ、色も人それぞれです。小陰唇が左右対象の人もいれば、大陰唇から見えない人もいます。
陰核(いんかく=クリトリス)
陰核は、「クリトリス」とも呼ばれ、男性の陰茎海綿体(いんけいかいめんたい)に相当します。左右の小陰唇が前方で融合する部分にあります。
陰核の皮下は知覚神経と血管が豊富で、陰核は性的刺激により膨らんだり拡張します。
外尿道口(がいにょうどうこう)
外尿道口は、陰核(クリトリス)の下にあり、尿の出口です。
膣口(ちつこう)
膣口は、外尿道口の下にあり、部分的またはかなりの部分が処女膜で覆われています。
膣口の奥にある外から見えない部分は、セックスのときにペニスを挿入したり、月経のときに経血が流れ出たり、胎児が生まれてくるところです。
会陰(えいん)
会陰は、膣口と肛門の間の部分を指し、この部分の皮膚は薄いことが特徴です。
内性器
内性器は、腟(ちつ)、子宮(しきゅう)、卵管(らんかん)、卵巣(らんそう)から構成されています。
腟(ちつ)
膣は、外性器と子宮開口部の子宮頸部をつなぐ長さ7〜8cmほどの管を指します。腟の前方には膀胱や尿道があり、後方には直腸と肛門があります。
出産時、膣は胎児の通る産道の役割を果たします。また、月経時には、経血が膣を通ることで膣口から外に排出されます。
さらに、腟では常に腟分泌液(粘液)が分泌されており、この腟分泌液は、腟のうるおいを保ち、腟の自浄作用を担うことで細菌から守る役割があります。
子宮(しきゅう)
子宮は、骨盤内腔のほぼ中央に位置する器官です。形は、扁平(へんぺい)な西洋ナシのような形をしており、膣の上端と接続している子宮頸部と、その奥の子宮体部に分けられ、内側は子宮内膜という粘膜で覆われています。
子宮は、妊娠時、胎児を育てる部屋にあたります。
また、女性の生殖器は毎月排卵が起こります。排卵がおこると、子宮の内側にある子宮内膜が厚くなることで、受精卵を受け止める準備を始めます。生理前になると子宮内膜は厚さ約1cmほどまでに厚くなりますが、妊娠しなかった場合、新しい内膜がつくられやすいように古い内膜はこわされ、溶けて血液といっしょにはがれ落ち、月経が始まります。
卵管(らんかん)
卵管は、子宮の上の部分の両側から伸びる10〜12cmの器官を指します。
排卵日になると、卵巣から卵子が排出され、卵子は卵管を移動しながら子宮の方へむかっていきます。膨大部というところで、卵巣から排出された卵子と膣から侵入してきた精子が出会い受精し、受精卵ができます。
卵巣
卵巣は、子宮の両側にあり、親指ぐらいの大きさでアーモンドのような形をしています。
卵巣の中には、「卵胞」のもととなる「原始卵胞」という細胞があります。女性は、この卵巣の中に、「卵胞」のもと(原始卵胞)を約200万個持って生まれてくると言われています。そして体が成熟し妊娠可能な状態になると、女性ホルモンの働きにより一定のサイクルで、「卵胞」が排出されるようになり、排卵が起こります。
また、卵巣には排卵のほかにも、女性ホルモンを分泌するという重要な役割もあります。
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女性性器は、体の大切な一部分。自分の体を大切にできるよう、一度鏡などを使って見てみて、理解を深めるのもおすすめです。
わたしのカラダは、わたしのものだって言うけれど。
My Body My choice – わたしのカラダはわたしのもの。
あたりまえだし、大切なことだとわかっている。でも、私たちって自分のカラダのことをちゃんと理解している?プライベートゾーンもそう。
「自分にとって、プライベートな場所はどこなのか?それはどのような場所なのか」大人でさえも向き合うことや学ぶことがありません。
本特集では、Vulva(外陰部)をテーマに、さまざまな切り口で、自分のカラダやSRHRについて対話するきっかけを提供できればと思っています。
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