生理日管理ツール『ルナルナ』は、女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人シンクパールと共同で「女性特有のがんとHPVワクチン」について調査を行った。調査結果によると、HPVワクチンの接種を考えていない人は約7割となった。(調査実施時期 : 2021年2月19日~2月22日、調査対象:10~50代以上の女性、4194名、アプリ『ルナルナ』『ルナルナ ベビー』『ルナルナ 体温ノート』内でのアンケート調査によるもの)
女性特有のがんへの知識、9割以上が「不十分」と回答
女性特有のがんの存在自体を問う設問に対し寄せられた回答は「はい」91.8%、「いいえ」8.2%だった。また種類の認知についての設問では、「子宮頸がん」99.2%、「乳がん」93.1%と、いずれも極めて高い結果となった。
しかし「女性特有のがんに対する知識は自分に十分足りていると思いますか?」という設問に対しては「はい」が7.2%、「いいえ」が64.7%、「よくわからない」が28.1%と、女性自身も知識不足だと感じていることが明らかに。
92.8%を占めた「いいえ」「わからない」の理由としては、「病名くらいしかしらない。症状や治療法などを知らないから」「言葉だけ知っていて、詳しい内容は充分に分からないと思う」「良くないことですがあまり興味を持てず他人事のように思ってしまう」「テレビや雑誌に載っているくらいの内容しか知らないから」といった声が寄せられた。
日本人女性で一番多いがんの原因は「ウイルス感染」
がんの原因として日本人女性では「ウイルス感染」による罹患がもっとも多いという事実への認知については、「知っていた」が16.0%、「知らなかった」が84.0%となり、8割以上が知らない現状が明らかとなった。
参考:国立がん研究センター「日本人のためのがん予防法 ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん」
「子宮頸がん」の主な感染経路は「性交渉」
子宮頸がん発症の原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)の感染であると言われているが、その主な感染経路が「性交渉」であることを知っているかを聞いてみると「知っていた」が60.9%、「知らなかった」が39.1%となった。年代別にみると、24歳以下の若年層では約5割の人が経路について知らない(昨年比で2ポイント減)という結果に。子宮頸がんは、20歳代後半から増加することからも、感染経路を含めた正しい知識が広い層に認知される必要がある。
HPV感染予防のワクチンへの認知は半数以上
「子宮頸がん」の予防として、HPV感染を予防するワクチンの存在について知っているかを問う設問では、「知っている」が55.4%、「知らない」が44.6%となり、半数以上が知っている結果となった。
「なぜHPVワクチンの接種が推奨されるか」については認知広まらず
しかしHPVワクチンの接種が推奨される理由について、「他人に説明できるくらい理解している」と答えた人は6.3%、「なんとなく理解している」と答えた人は45.6%だった。「あまり理解していない」(41.9%)と「全くわからない」(6.2%)を合わせると5割弱となり、HPVワクチンの存在は知っていてもその理解度は不十分なことがわかる。
「HPVワクチンの接種を考えない」と回答した人は7割以上
厚生労働省が定める定期接種とされているHPVワクチンだが、実際に接種したことがある人は15.1%にとどまった。また「今後接種する予定がある」と回答した人は0.7%、「接種について悩んでいる」が13.8%、「接種する予定はない」は70.4%となり、合計すると7割以上の人がHPVワクチンの接種を考えていないという結果に。
「HPVワクチンの接種を考えない」最多の理由は副作用への懸念
「接種する予定はない」の理由として最も多かった回答は「接種後の副反応が心配だから」(49.4%)、次いで「信頼できる情報がないから」(29.7%)、「接種の必要性を感じないから」(23.4%)だった。自由回答にも「副反応が怖いから」「ワクチンの副反応での訴訟ニュースを目にしたから」といった声が目立ち、接種後の副反応に対して不安を感じている人が多いことがうかがえる。
またHPVワクチンがあることを知っていると回答した娘を持つ母親に、娘がHPVワクチンを接種することについての考えを問うたところ、「すでに受けたことがある」が8.7%、「受けて欲しい」が22.6%、「迷っている」が54.7%、「受ける必要はない」が14.0%となり、接種を迷っている母親が多いことが分かる。その理由(複数回答)を聞いてみると「接種後の副反応が心配だから」が最も多く、「信頼できる情報がないから」「接種の効果効用がわからないから」と続く。
20歳〜39歳のがん患者、女性が占める割合が8割
国立がん研究センターと国立成育医療研究センターが公開している「がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016-2017年小児AYA集計報告」(2019年)によると、15歳から39歳までのAYA(思春期とヤングアダルト)世代ではがん患者のうち女性の占める割合が高く、特に20歳以降は約8割の患者が女性であることがわかっている。
今回の意識調査では、女性特有のがんの症状や治療法など疾患の詳しい内容についての知識が不十分だと感じている女性が多いことが分かった。また、子宮頸がんの予防となるHPVワクチンを実際に接種するに踏み切るための情報が足りないと感じる人が多くいることが明らかに。
2人に1人ががん患者になると言われる現代。予防接種や、定期検診による早期発見は大きな意味を持つ。若年層を含めた幅広い層が原因や予防法についての知識を身につけていく必要は、今後より一層高まっていくだろう。