東京都は2021年9月より、都立学校全校の女子トイレに生理用品を配備することを決定した。

2021年5月より都立学校7校で生理用品配備を先行実施しており、配置場所などの管理上の課題の整理などを踏まえて、9月より全校で実施予定だという。

都議会にて東京都教育長が「全校で実施」と答弁

6月2日に行われた都議会の本会議において、都議会議員の高倉良生氏が代表質問に立ち、「生理の貧困」に関連して都立学校への生理用品の配備を求める質問をした。

それに対し東京都教育長の藤田裕司氏は2021年5月から「都立学校7校に先行して生理用品を配備し、配置場所や補給方法など管理上の課題の整理などを進めてい」るとし、これを踏まえて2021年9月から「全校で実施」すると答弁した。

3月9日に行われた都議会予算特別委員会において、都議会議員のまつば多美子氏による学校のトイレにおける生理用品配備の提案に対し小池都知事は「今後、検討する」と回答した。また、同月12日には教育庁に対して公明党が「学校における生理用品の無償提供に関する緊急要望」を行い、藤田教育長は「何らかの対応を検討していきたい」と答えており、それが実現する形となる。

対象校は254校で、学校側で生理用品を選択可能

今回、生理用品の設置が決まった対象校は都立学校全校にあたる254校。ランドリーボックスの取材に対し、東京都教育庁の高等学校教育課の担当者は、「高校や特別支援学校、また高校の附属中学校5校と中等教育学校(いわゆる中高一貫校)5校が対象。都立学校以外の都内の区立、市立の中学校などにおける配備に関しては、それぞれの区・市による判断になる」としている。

また5月より先行導入していたモデル校における、手洗い場や個室内の棚、キャスター設置など配置場所などの洗い出した課題をふまえて、9月より全都立学校で生理用品を配備していくという。

各校に配備される生理用品の種類については、都がいくつか指定したものの中からそれぞれの学校が選択する形で、ナプキンに関しては羽つき、羽なしなども各校が選択可能だという。また、特別支援学校における車椅子の生徒も想定し、女子トイレだけでなく多目的トイレへの配備や、ショーツ型のナプキンの配備も個別に検討しているという。

全国で進む生理の貧困への取り組み

「生理の貧困(Period Poverty)」とは、生理用品を購入するお金がない、または購入できない環境下にあることを指す世界的な課題で、世界各国ではそれぞれ取り組みが進んでおり過去にランドリーボックスでも継続して取り上げてきた。

イングランドでは、2020年1月より「教育機関での生理用品の無料配布」が正式に始まり、2020年11月にはスコットランドで生理用品無料化を義務付ける法案が制定された。フランスでは、2020年3月に政府が生理用品の無料配布を発表し、韓国でも2016年から国家行政機関が「保健衛生物品」サポート事業を開始している。ニュージーランドでは今年6月より全ての学校で生理用品を無料提供している。

日本では、任意団体「#みんなの生理」が3月4日に発表した「生理の貧困の実態調査」では、金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者が約5人に1人の割合で存在することが明らかになったことで話題になり、3月23日の定例閣議で政府が生理用品のサポートを決定した。

「生理の貧困」への取り組みは自治体単位でも進み始めており、群馬県では全ての県立学校や県有施設で、生理用品ナプキンを提供する方針を決めたとの報道もあった。

ランドリーボックスでは、「生理の貧困」に関する国内外の情報を集めています。自治体や教育機関、企業、団体などが取り組んでいる施策、無料配布が行われている地域など情報をお持ちの方はぜひ、こちらのフォームにご記入ください。

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