国際協力NGOジョイセフが行う、SRHRに対する意識向上プロジェクト「I LADY.」は、「性と恋愛 2023」の調査結果を発表した。
同プロジェクトは2年に1度、「性と恋愛ー日本の若者のSRHR意識調査ー」を行うことで、日本の若者が抱くSRHRに対する意識の実態を調査している。
参考記事:
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)とは?すべての人の性と生き方に関わる大事な権利
今年は15〜29歳の日本の若者5800人を対象に、5つのテーマを設け、調査を実施した。
- リアルな恋愛・結婚・家族観
- 性・セックスの意識
- 避妊・性感染症予防の本音
- セクシュアル・ヘルスについて
- 自分の人生を決められるか
セックスの悩みは、性別による違いアリ
「セックスに関して悩みごとや困りごと、コンプレックスなどはありますか」という質問への回答には、性差が見られた。
女性と「男女どちらでもない」を選択した人は、体型や性器など自分の身体に関する悩みが上位に。
男性は「悩みがない」「相手が満足しているか」など自分以外に悩みの対象があることが分かった。
性的同意は認識と実践にギャップ
「性的同意は絶対に大事だと思う」と回答した人が9割を超えた(90.1%)ものの、「性的同意を得ているつもりだが、本当に得られているか自信がない 」と答えた人が、男性では約2人に1人(49.1%)、女性では約3人に1人(36.0%)という結果に。
また、「具体的に性的同意とはどういうものか、正直わかっていない」という回答が4割を超えていた(42.0%)。
男性側が避妊をコントロール
「あなたは、これまでに、妊娠を望まない性交渉において、避妊をしなかったことがありますか。※腟外射精は避妊をしたことに含みません。」という質問に対し、約4割の女性人が「ある」と回答。
避妊をしなかったことがある人の割合は、前回調査よりもわずかに増加する結果に。
避妊をしなかった理由として、男性は「コンドームをつけると快感が損なわれるから」、「盛り上がってコンドームを忘れてしまった」、「避妊なしで性交渉しても大丈夫だと思った」などが多かった。
女性は「相手に言いづらかったから」、「避妊したいと言ったが、相手がしてくれなかったから」の回答が多い傾向にあった。
人生の決断に自信が持てない若者たち
「あなたは、進路や職業選択など、あなたの人生において大きな決断をするときの、自分の決断に自信はありますか。」という質問に対し、「ない」または「あまりない」と回答した人の割合は、女性が4割(43.6%)、男性が3割(30.8%)という結果に。
「大きな決断の際には自分を頼りに決めている」という人が6割(62.3%)を超えているものの、一定数はその決断に自信を持てていないことが判明した。
今回で3回目となる「性と恋愛ー日本の若者のSRHR意識調査ー」。
70%以上の人がセックスに関する悩みを抱え、「性的同意」の重要性は理解しているが具体的なことは分からないなど、多くの課題が可視化された。
特に、性的同意の取り方を理解していない様子は「気が乗らないのに性交渉に応じたことがある?」という設問でも明らかに。「ある」と回答したのは、男性28.6%、女性46.1%と男女差が顕著な質問のひとつとなった。
今回の調査結果に対し、ジョイセフ事務局次長の小野美智代氏は以下のようにコメントしている。
「プロセスやノウハウを学ぶ人権教育の機会の不足が日本における大きな課題です。(中略)基本的人権としてのセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の情報提供、そのための包括的性教育の機会を、この日本でどうしたら増やせるのか。日本の若者を対象にSRHRの意識向上することを目的としたI LADY.プロジェクトを始動して8年が経過した今、改めてここにいる専門家、アクティビスト、団体、学校、自治体、政府と共に再考し、連帯強化したい気持ちが湧いています。」
<調査概要>
- 調査対象:日本国内在住の15-29歳 これまでに恋人・パートナーができたことがある人(未既婚不問)(男性2350人/女性3156人/男女どちらでもない294人)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査日程 :2023/8/9(水)~8/17(木)
- 調査目的 :恋愛、性、セクシュアル・ヘルス/ライツなど、パートナーとの関係性も含めた意識調査