画像=Laundry Box

【今月のお悩み相談】

27歳、食品メーカーで働いている会社員です。

会社の同僚に、出勤するのが憂鬱になるほど苦手な人がいて悩んでいます。

その同僚は、とにかく同じ職場の人の悪口を言うんです。「あの人は要領が悪いから一緒に仕事をしていて疲れる」「あの人のせいで自分の仕事が増えている」など、悪口の対象がその場からいなくなった途端、私に不満をぶつけるように言ってきます。

だれしも会社や同僚に対するストレスや不満があるのは分かります。それにストレスを我慢しすぎるのもよくないとも思っています。

でも、「〇〇は仕事ができない・要領が悪い」といったことを言われると、自分もミスをしたときに同じことを言われているのではないかとすごく不安になります。私自身、ものすごく仕事ができるというタイプでもないので…。

その同僚のことを思い出すたびに胃がきりきりする感じに襲われます。やっと仕事を終えて家に帰っても、とにかくその人に対するイヤな気持ちでいっぱいになり、心が休まりません。

もし、その同僚とただの「友人」という間柄だったら、距離を置くことができると思います。しかし、会社の同僚なのでなかなかそうもいきません。一緒にプロジェクトを進行していて、連絡を取り合い、会社でも顔を合わせることが多いからです。

仕事のパートナーなので、まったく相手にしないというのも、業務に支障が出るため最善策ではないだろうなと思っています。

自分の気持ちを優先・尊重しながら、距離を置くことが難しい苦手な人とうまく付き合うにはどうしたらいいでしょうか?

(27歳・女性)

「悪口の奴隷」にならないために

Photo by Ivan Aleksic on Unsplash

こんにちは。露の団姫(つゆの・まるこ)です。

どこの職場にも必ずいる悪口ばかりの困ったさん。今回は、あなた自身が「悪口の奴隷」にならないために、一緒に考えていきましょう。

まずはお便りを読ませていただき、「胃がきりきりする感じ」といった症状がとても心配になりました。ストレスが体の不調となって現れるということは、黄色信号どころか赤信号です。一度立ち止まってみる必要があるでしょう。

そもそも、悪口を言う人と一緒にいるストレスは相当なものです。

  • 悪口を聞かなければいけないストレス
  • 悪口に同意しなければいけないストレス
  • 時間を無駄にするストレス
  • 悪口の共有を拒否すれば、自分も悪口を言われるかもしれないストレス

などなど。あなたにとって、プラスに発展する要素がひとつもありません。

だからこそ、これらのストレスから解放されるためには、悪口に「NO!」を出すのが望ましいです。

しかし、そんなことをすれば自分が悪口を言われる対象になってしまう…と不安に思うかもしれませんが、「自分が悪口を言われるかもしれない」と感じる時点で、「悪口の奴隷」になってしまっています。

悪口ばかり言っているどうしようもない人に、悪口を言われても気にしない、という気持ちを持つことを目指し、悪口に対して、勇気を持って自分は同意しないという意思を示しましょう。

では、どのようにその意思を示せばいいのか。ここで僧侶の私からお話したいのが、お釈迦さまの悪口との向き合い方です。

お釈迦さまは悪口にどう向き合われたのか

あるとき、お釈迦さまを怒らせようと、お釈迦さまに罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせた男がいました。

このとき、お釈迦さまはどのような態度を取られたのでしょうか?どのような説法で、その男を圧倒させたのでしょうか?

実は、お釈迦さまは一言も言い返さなかったのです。

お釈迦さまのこの姿に驚きを隠せない男。そしてお釈迦さまは、こう問いたのです。

「他人に贈り物をしようとして、相手が贈り物を受け取らなければ、その贈り物は誰のものですか?」

男は答えました。「相手が受け取らなければ、贈ろうとした人の物だろう」

お釈迦さまは言いました。「先ほど、あなたは私のことをひどく罵りました。でも、私はそれらの言葉を受け取らなかった。だから、あなたが言った言葉はすべてあなたが受け取ることになります」

お釈迦さまは言葉で諭すのではなく、「受け取らない」という方法で相手に「気づき」を与えたのでした。

「仕事のプロ」として、苦手な人に対処してみる

Photo by Christopher Gower on Unsplash

では、職場での悪口の場合、相談者さんはどのように「気づき」を与えたらいいのでしょうか?

悪口は、嫉妬をはじめ、その裏返しにある自信のなさなど、余裕のない感情から生まれているものです。そのような感情を持っている人に向かって、「他人の悪口を聞くのは、気分が悪いからやめて」という、相談者さんの「気持ち」を理由にして、悪口をやめてほしいと伝えてしまうと、悪口を言う人の負の感情を燃え上がらせる恐れがあります。

だからこそ、相談者さんはできるだけ「仕事のプロ」として、仕事の効率や、会社の利益と結びつけて「悪口を受け取らない」というサインを出すことが大切です。

「問題解決のために、チームとして前向きな話をしませんか」

「休憩中なので、今はそのお話は聞けません」

「それは私に言われても困ります」

「そこまで困っているのであれば会議にかけましょう」

と、毅然とした態度で対処するのです。

悪口を言う人は、あなたに同意してほしいが故に、共感という形で悪口を言う「共犯者」を求め、なかば強制的に他者を悪口の道へと引き入れます。

その誘いを拒否する、または悪口を受け取らない人が増えれば、その同僚もいずれ自身の愚かな行動を恥じ、改めるでしょう。

相談者のあなたは、同僚の行いを「ストレスを我慢するのはよくない」という考えで無理に受け入れようとしていると感じましたが、あなたがストレス解消の捌け口になる必要はありません。

誰かのストレス解消が、ほかの誰かのストレスになるのでは、それはストレス解消ではなく、負の連鎖です。相手もいい大人で社会人なのですから、会社以外の場でストレスを解消してもらいましょう。

自身のストレスに向き合い、愚痴ではなく「相談する」という冷静な行動ができるあなたは、きっと、「悪口の奴隷」にならない強さを持っています。あなたの行動が職場全体をいい方向に変えるきっかけになりますので、どうか、勇気を出して対処してみてくださいね。

*本記事の内容は個人の見解です。心身の不調が続くようであれば、医師や専門家への相談をおすすめします。

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