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【お悩み】

30代前半、独身です。親からの「早く結婚してほしい」「孫の顔が見たい」という声に悩んでいます。

今は付き合っている人もいませんが、友人や仕事にも恵まれ、趣味も充実しており、毎日を楽しく幸せに過ごしていると思っています。

親の安心してほしい気持ちがプレッシャーで、「30代で結婚していない私って親不孝なのかな?」「親へ感謝を伝えるためにも結婚して披露宴をしたほうがいいのかな?」と悩んでいます。どうすればいいでしょうか。

(30代・女性)

こんにちは。露の団姫(つゆのまるこ)です。お便りを読ませていただき、あなたはとても真面目な人だと思いました。

そして、真面目な人だからこそ、親のことも真剣に考え、悩んでおられるのでしょう。

でも、あなたは本当は自分がどうしたいのか、もう、決まっているのではないでしょうか。

それならば、あとはあなたの心の中にいる「自分らしい選択をしたい私」が「良き娘である私」をどう納得させてあげられるか、という部分が課題となってきます。

今回も一緒に考えていきましょう。

なぜ親は「幸せ」=「結婚」「出産」になりがちなのか

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まずは、親が子どもに結婚や出産を急かす理由を考えてみましょう。その言葉の根底にあるのは、「我が子に幸せになってほしい」という思いに他なりません。

とはいえ、「幸せ」の形は結婚や子育てだけではないはずです。

ではなぜ、親は「幸せ」=「結婚」や「出産」になってしまうのでしょうか?

それは、あなたの親世代である60代以上というと、まだまだ男性が一家の大黒柱として働き、女性は専業主婦、またはパートなどをしながらの兼業主婦という家庭が多かった世代だからだと思います。

また、仕事をバリバリしながら子育てをしてきた女性でも、労働環境や社会の風潮、また待遇などの制度も現代のように整っていなかったでしょうから、現代よりも家庭と仕事の両立が難しかった世代だと思います。

だからこそ、親世代は「キャリア」や「ひとり」という現代女性の生き方があることを知ってはいても、その生き方で幸せになる我が子の姿を想像しにくいのかもしれません。

また仮に、親が自分たちの世間体や老後の過ごし方のために結婚や孫を…というのであれば、そのような意見は聞き入れる必要はありません。

祈りとは本来清らかなものです。他者の幸せを祈る気持ちに私情や都合が含まれているのであれば、それは祈りでもなければアドバイスでもないからです。

あなたのご両親の場合は前者だと思いますが、だからこそ「結婚」や「出産」を実現するのではなく、あなたが自分の選ぶ生き方を親に説明し、宣言して「安心」してもらうことが大切です。

結婚は自立した人同士がするもの

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それでも、あなたが親のために結婚や出産をするのであれば、その結婚生活こそ、幸せとはかけ離れたものになるかもしれません。

なぜなら、結婚とは自立した大人同士がするものであり、そうでなければ良好な関係を築けないからです。

「親のためを思って結婚をする」ということ自体が、まだ親という存在から自立できていない証拠です。

そのような理由で結婚することは、パートナーとなる人にも失礼ですし、そのようなスタートは、二人の関係に少しずつひずみを生むでしょう。

今後、本当に結婚したい相手と出会うのであれば別ですが、親を理由に結婚や出産を考えるのであれば、私はそのような選択はおすすめしません。

仏教では「恩」は「返すもの」ではなく「知るもの」

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ところで、あなたはご両親に感謝の気持ちを伝えるために「恩返し」をしたいと考えておられるようですが、そもそも仏教では、「恩」というのは「返す」ものではなく「知る」ものだと説かれています。

なぜなら、「恩」は返そうとすると、その「恩の重さ」を秤にかけてしまうからです。秤にかけるということは、「恩に値打ちを付けてしまう」ことです。

例えば、あなたが就職活動で悩んでいたとき、素晴らしい励ましの言葉をくれた人がいたとしましょう。

なにか御礼をしたいと思いデパートへ行くと、素敵なお菓子が並んでいます。ところが、そのお菓子たちにはそれぞれ値段がついているため、2000円のチョコにするか、3000円のクッキーにするか、思わず悩むでしょう。

その悩む瞬間こそが、恩に見合ったものを探すばかりに、「恩の重さを秤にかけている瞬間」なのです。

だからこそ、「恩」は「返す」ものではなく「知る」ことが大切なのです。

人の恩を知った者は恩を施してくれた人へ直接なにかを返すのではなく、その恩を、他者や社会へ広く還元するものだと説かれています。

この場合であれば、あなた自身が、困っている人がいれば手助けをしたり、励ましの言葉をかけたりできるような人物になることが、その恩に報いる行いとなるでしょう。

あなたが結婚・出産をしない人生を選んでも、それは決して「親不孝」ではありません。

むしろ、親としては「我が子が自分の人生を自分で選択できるように育った」ということが、なにより喜ぶべきことでしょう。

あなたが親への感謝の気持ちを忘れず、自分らしい選択で自分の人生を宣言して歩むこと。それが、最高の親孝行ですよ。

ランドリーボックスでは特集「#ひとりのわたし」をスタートしました。

性別に限らず、私たちには様々な「役割」があります。

ですが、その「役割」をまっとうすることだけが自分の人生ではありません。

私たちには様々な役割と同じように、様々な価値観や欲求が存在しています。

あらゆるジェンダー規範に囚われることなく、一度きりの人生、わたしの人生を謳歌してほしい。

わたしを謳歌するということは、自分で選択し、自分の足で前に進むということでもあります。

女として、妻として、母として、子供としてではなく、ひとりの「わたし」として。

ただ、それは決して、ひとりきりであるということではありません。

そんな想いをこめて、ランドリーボックスでは、それぞれの「ひとりのわたし」に関するコンテンツをお届けします。

目の前に続いていく道が、「ひとりのわたし」たちが手を取りあえる未来に繋がりますように。

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