画像=Laundry Box

【今月のお悩み】

来年で45歳になります。

もう40数年も生きているのに、ここ最近、過去への後悔が止まりません。「あのとき、あの道を選んでいればよかった」と思い落ち込んでしまいます。

昔付き合っていた人と結婚せずシングルを選んだことや、転職活動でいいなと思っていたけれど辞退した会社。30代の頃、ずっと親友だった友達とケンカをしてもう連絡が取れないこと。

年を取れば、自然と後悔は吹っ切れて前向きになるのかもしれないと思っていたのですが、全然そんなことはなくて焦ってしまいます。

これからまだまだ続く人生を、さっぱりとした前向きな気持ちで老いていきたいです。露の団姫さんのアドバイスを教えてください。(45歳・女性)

こんにちは。露の団姫(つゆのまるこ)です。

お便りを読ませていただきました。「年を取れば、自然と…」というお気持ち、とてもよく分かります。

実は私は幼稚園の頃から極度の怖がりで、小学生になっても「1人で寝るのが怖い」と思っていました。そのときは「2年生になったら怖くなくなるはず…」「3年生になったら…」と毎年、期待をしていましたが、6年生になってもそれを克服することはできませんでした。

それからも、「中学生になったら…」「高校生になったら…」「落語家になったら…」「お坊さんになったら…」を繰り返してきましたが、お恥ずかしい話、落語家となり住職となった今でも「1人で寝るのが怖い」というのが私の現実です。

「年」を取っても「苦しみ」は取れない

Photo by Aron Visuals on Unsplash

僧侶の私が思うに、「年を取れば自然と心が軽くなる」と考えるのは、あくまでも私たちの希望にすぎず、年齢は心の苦しみを自然に変えてはくれません。

年齢が自然に変えるのは体力や食欲といった身体に関することがほとんどです。

それも決して前向きなものではなく、「老いる」変化です。年を取ることに心の変化を期待することは、心のモヤモヤを先送りしているだけなのかもしれません。

例えば、仏教では、年齢も性別も身分も関係なく悟りを開けると説かれています。しかし、年齢と悟りが関係ないということは、「年を取れば自然に悟りを開けるわけではない」という見方もできます。

ですから、まずは年齢に苦しみをとってもらおうと期待することをやめましょう。むしろ、年齢とともに苦しみは増すと覚悟しなければいけません。

まずは自分を信じなければ、自分の選んだ道も信じられない

Photo by Nadine Rupprecht on Unsplash

ところで、「後悔」とは自分で選んだ道の行く末にあるものですが、過去に選択をするとき、自分に自信をもって、責任をもって、選びましたか?

仏教をひらかれたお釈迦様は、お亡くなりになるときにお弟子さんに向けて「自灯明・法灯明」という教えを残されました。これは「自らを拠り所とし、法(お釈迦様の教え)を拠り所としなさい」という意味です。

ここで重要なのは、拠り所とする順番が「法」よりも「自分」が先だということです。

ですから、人間は、まずは自分自身を信じなければいけません。まずは自分を信じて、それから教えを信じなさいというのです。

自分を信じている人が神仏を信じ、その道を実践することは「信仰」ですが、自分を信じていない人がどれだけ素晴らしい教えを信じても、それはただの「依存」になってしまうでしょう。

ものごとを決断するとき、選択するとき、信頼する人のアドバイスを聞くこともあると思います。それ自体はとてもいいことですが、そのようにさまざまな人の手助けをもらいながらしていく選択を、その後に後悔のないものにするためには、まずは自分を信じることが大切です。

「後悔」はいとも簡単に移り変わるもの

Photo by Cristian Escobar on Unsplash

また、今は後悔している過去の選択も、未来には「やはりこの選択でよかった」と一変しているかもしれません。

例えば、転職活動で選ばなかった会社が、後に倒産したと聞いたら…?

例えば、ケンカ別れした友達が同級生に片っ端から電話をかけ、高価な宝石をむやみに売りつけていると聞いたら…?

例えば、結婚を選ばなかった彼がある日突然「妻に暴力をふるった」と知らされたら…?

いかがでしょうか?

「後悔」はあくまでも私たちの捉え方にもとづくものですから、ちょっとしたきっかけで、いとも簡単に「これでよかった」に変わるのです。

ですから、今感じている「後悔」に囚われる必要はありませんし、「あの選択でよかったのか」と悩む必要もありません。

もし今の自分に満足できないのでしたら、その原因を過去に求め、それを「後悔」と名付けることをやめてみましょう

自分で選択した道に全力で向き合う勇気を出して、後悔とさよならする

「自分を信じる」「自分に責任を持つ」ということは「自分で選択した道に全力で従う」ということです。

自分で自分に従うことは簡単なことではありませんが、自分の選択に全力で向き合う道は、決して後悔を残しませんし、後悔を感じるヒマもありません。

あなたが過去に選びとった道を「正しい選択だった」と納得する未来にできるのは、あなた自身です。

結婚しなかった、今の会社を選んだ、あの友達とは縁を切った、大いに結構です。是非、自分を信じてその道を全うしてくださいね。

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