画像=Laundry Box

【お悩み】

職場での人間関係の不和が原因で休職中です。

転職を検討していますが、転職活動をしていくなかでふと「私は、休職している今の会社でも満足に仕事ができないのに、別の会社でも仕事ができるのだろうか」と不安になり、涙が溢れてしまいます…。

私はどうしたらちゃんと転職できるでしょうか…?

(24歳)

仏教でいう「憂」と「苦」の違い

こんにちは。露の団姫(つゆの・まるこ)です。

お便りを読み、まずは相談者さんのご体調が心配になりました。

というのも、私たちは日常生活のなかで悩みごとがあると憂鬱な気持ちになります。仏教では元々、悩みの度合いが軽度であり心に苦を感じていても身体に影響が及んでいない状態を「憂(う)」といい、悩みの度合いが重くなり身体に影響を及ぼしたときに、これを「苦(く)」と呼びます。

今、あなたは「不安」という心のはたらきが「涙」となって体に表れているので、これは「憂」ではなく「苦」の状態だと思います。一度、専門の医療機関を受診することをおすすめします(*)。

また、転職についてですが、私の考えでは急いでする必要はないと思いました。

ここでお伝えしたいのが、お釈迦様のお弟子さんであったアヌルダッタさんの話です。

*心身の不調が続くようであれば、医師や専門家への相談をおすすめします。

すべてのものには糧が必要

Photo by Holly Stratton on Unsplash

あるとき、アヌルダッタさんはお釈迦様のお説法の間に居眠りをしてしまいました。

反省したアヌルダッタさんは「二度とお釈迦様の前では眠りません」と誓いました。そして、アヌルダッタさんはその日からお釈迦様の前ではもちろん、夜も眠らないようになってしまったのです。

お釈迦様はきちんと睡眠をとるよう説得しましたが、アヌルダッタさんは応じようとしません。次第にアヌルダッタさんの眼(め)は疲れ、病んでしまいました。

そこで、お釈迦様がアヌルダッタさんを医師のもとへ連れていくと、医師は「寝たら治りますよ」と言ったのでした。お釈迦様はアヌルダッタさんに言いました。

「すべてのものには糧が必要です。眼には睡眠が必要なのです」

しかし、アヌルダッタさんはお釈迦様の言葉を聞き入れず、結果、視力を失ってしまいました。

相談者さんは現在、休職中とのことですが、休職は転職を考えるためだけのものではなく、その言葉通り、一度休むための期間であると考えてみてはどうでしょうか。転職を1番に考えていては、頭はなかなか休まりません。

働くことはいいことですが、働くためには休むことが必要なのです。

眼には睡眠が糧であるように、また、今後の働き方を考える眼を養うためにも、今は休んでみることをおすすめします。そこに、罪悪感や焦りを感じる必要はありません。

休むことは「労働」という「働き」以上に、心と体にとって必要な「はたらき」なのです。

休職できる会社は再チャレンジできる会社かもしれない

Photo by Brooke Cagle on Unsplash

今回の休職の原因は人間関係の不和とのことでしたが、逆に、人間関係の不和が不安の元とはっきりしているのであれば、これまでの人間関係や仕事のやり方を検証することもできます。

相手が威圧的だったのか、自分が主張できたことをできなかったのか。はたまた、仕事の進め方や、客観的に見たときの仕事の完成度はどうだったのか…など、これらから、改善の余地も見えてくるでしょう。

休みを必要とする社員が休職制度を利用してきちんと「休職」できる会社は健全であると思います。

休職ができる会社なのであれば、労働環境の改善にも一緒に取り組んでくれるかもしれません。急いで転職をするよりも、しっかりと休み、今の会社で改めてチャレンジさせてもらう選択もあります。

もしそれができる会社だったら、転職を考えるのはそのあとでも十分です。

仏教をひらかれたお釈迦様は、別名・ブッダと呼ばれています。ブッダとは「目覚めた人」という意味です。今後の自分の道を見極める目を開くためにも、今は焦らず、ひとやすみ、です。

*本記事の内容は個人の見解です。心身の不調が続くようであれば、医師や専門家への相談をおすすめします。

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