今まで一般的な生理日数は短くて3日、長くて7日とされてきましたが、世界産婦人科連合・日本産科婦人科学会で見直しがおこなわれ、変更されました。新しい生理日数は「8日以下」が正常になります。生理の出血が極端に少ない場合は過少月経、9日以上の場合は過長月経・過多月経の可能性があります。今回は過少月経、過長月経の症状や原因について解説します。
正常な生理日数や出血量の目安
正常な生理は、日数が8日以下、出血量が1周期の総出血量20~140mLとされています。思春期や更年期の女性の場合はホルモンバランスが揺らぎやすく、正常範囲内に収まらないこともあります。しかし、生理が安定している20~30代の女性で、生理日数が9日以上の場合は注意が必要です。
生理日数が長く9日以上の場合(過長月経)
生理日数が9日以上の場合は、過長月経や過多月経の可能性があります。過長月経・過多月経の原因としては、以下のようなことが考えられます。
- 女性ホルモンバランスの乱れ
- 無排卵周期、黄体機能不全
- 婦人科系の疾患(子宮筋腫、子宮腺筋症など)
- 子宮内避妊器具の使用
- 妊娠や自然流産
一時的に生理が長くなった場合は、生活習慣(睡眠不足など)やストレスによる女性ホルモンバランスの乱れが原因の可能性が高いでしょう。しかし、常に生理日数が長い場合、以下のような婦人科系の疾患がひそんでいる場合もあります。
婦人科系疾患が原因でなくても、過長月経は出血が続くために貧血になる可能性もあります。生理日数が9日以上の月が続く場合は、婦人科を受診してください。
生理の出血が極端に少ない場合(過少月経)
生理の出血が少ない場合、過少月経の可能性があります。過少月経の原因としては、以下のような原因が考えられます。
- 女性ホルモンバランスの乱れ
- 無排卵周期、黄体機能不全、甲状腺機能異常
- 婦人科系の疾患(子宮発育不全、内膜癒着など)
女性ホルモンの乱れが、過少月経の最も多い原因です。過度なダイエットを行うなどして、正常に女性ホルモンが分泌されなくなると過少月経になる可能性があります。
また、先天的な子宮発育不全や子宮内膜癒着があると、女性ホルモンの分泌が行われていても子宮内膜が厚くならないため生理日数が短くなります。
過少月経や無月経は、生理がなくて楽だと感じる人もいるため、あまり気にしていない場合があります。しかし、長期間放置しておくと不妊の原因になる恐れも。日常生活に支障がなくても、生理の量が極端に少なかったり、3カ月生理がこない状態が続いている場合は、一度婦人科を受診してください。
生理は身体の不調を知るバロメーターにもなります。生理日数が9日以上や3カ月生理がこないときは、婦人科を受診しましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著書に女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。 https://twitter.com/ayako700