生理前は女性ホルモンの働きで体温が上がるので、少し熱っぽく感じることがあります。しかし、生理が始まっても体温が高いままだったり、生理の度に熱がでたりする場合は、なにかしら原因があるかもしれません。生理中に発熱する原因や対処法を紹介します。
生理中に発熱する原因は3つ
生理中に発熱する原因として、考えられることは3つあります。
1.月経困難症
日本では800万人以上の方が、月経困難症に悩まされていると推定されています。月経困難症とは、月経中に起こる病的症状のこと。主な症状として、下腹部痛、腰痛、お腹の張り、嘔気、頭痛、イライラ、憂鬱などがあり、微熱などのの症状が出る場合もあります。
月経困難症は、以下のように2種類あります。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、若くて子宮や卵巣が未発達であるなどの理由により、子宮を収縮させるプロスタグランジンが過度に分泌されたり、子宮の入り口が狭く生理の血が排出しにくいことが原因でおこります。
器質性月経困難症
器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因でおこります。
2.妊娠やホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンは約28日間の生理周期の間で、分泌量が変化します。その変化によって、基礎体温は変化し、生理前は高温の時期が2週間ほど続きます。
通常なら、生理がはじまると体温は下がり低温期になるのですが、妊娠していたりホルモンバランスが乱れていると、高温期が持続したり生理がはじまっても体温が下がらないことがあるのです。
風邪・感染症・炎症など
風邪やウイルスに感染などが原因で発熱している可能性があります。咳、鼻水、のどの痛みや38度以上の発熱が続く場合は要注意です。
生理中に発熱したときの対処法
生理中に発熱したときは、風邪をひいている可能性もあるので、まずは休息をとって身体を休めましょう。必要に応じて解熱剤を服用します。
しかし、生理のたびに熱が出る人は、一度婦人科を受診してみましょう。その際は、体温の変化や基礎体温の記録をつけて持参すると診察がスムーズです。
婦人科では、内診や経膣検査、血液検査などを行って総合的に診察が行われます。
機能性月経困難症の治療
解熱剤や痛み止めなどが処方されるので、服用してゆっくり過ごすことを心がけましょう。
痛み止めは飲んでから効果が出るまでに30分ほどかかるので、痛くなる前に早めに飲んでおくと安心です。
また、月経困難症の治療薬として低用量ピル(低エストロゲン・プロゲスチン配合薬)というピルを使用することもあります。
器質性月経困難症の治療
機能性月経困難症の場合は、根本原因となっている病気を特定し、治療を行います。子宮内膜症に対しては、痛みをコントロールする女性ホルモン剤や低用量ピルの服用を勧められることが多いです。
症状が強い場合は、子宮筋腫や卵巣嚢腫(内膜症)を手術で取り除く方法があります。
生理中は、普段以上にリラックスと休息を心がけましょう。生理のたびに発熱する人は、なんらかの原因が潜んでいるかもしれないので、一度婦人科を受診してみましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。https://twitter.com/ayako700